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血に塗れた銀狐が自身の幸せを見つけるまで  作者: 骸崎 ミウ
銀狐と炎猫の出会い
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某県某所の山岳地帯。



そこは軍が保有している山岳地帯で軍隊が山岳訓練を行う際に使用されている。



その山岳地帯の舗装されていない山道を私と祖父は軍用車で駆け抜けている。



「すまんなぁ小鈴!道が荒れてるから結構揺れるじゃろ!」



「これ…………道が荒れてるのが、原因だけじゃ、ないと思、うっうぷ」



祖父の運転は……………非常に荒々しい。



カーブを曲がるのなんてグワングワン揺らしているから、お陰で頭と胃がシェイクされて気持ち悪い。



車が壊れるんじゃないかというくらいの道の悪さと祖父の操縦センスに翻弄されること2時間。ようやく目的地が見えてきた。



山中にポツンとある平屋の一軒家で側には畑と家畜小屋があった。なんだか古き良き田舎の家という感じだ。



「ほれ着いたぞ。無事か小鈴?」



「…………………無理。休ませて」



今動くと胃の中身が出そうだった。とその時、



「ーー龍善(りゅうぜん)!もう来たのか!」



遠くの方で男の声が聞こえてきた。



「おぉ、玄角か!すまんのぉ、世話かけて」



「いやいや、これに関しては仕方ないことだろ、俺もやりたくてやっている訳だからな。ところで、例のお前さんが自慢していた下の方のお孫さんは?」



「そこで伸びておる。道が荒れておったから、酔ってしまったのじゃろう」



「いや、あんたの運転が原因じゃ………」



男の人と祖父が何やら話していると、突然助手席の扉、つまりは私が座る座席の扉が開いた。



「ありゃま、めっちゃグロッキーじゃん。ちょっと失礼」



と助手席の扉を開けた人物はそう言うとシートベルトを外して、私を抱え出した。



「え、ちょっと」



「いいからいいから。外の方が気分が良くなるよ」



混乱する私をその人物はそう言って、私を近くの木陰に移動させて切り株の上に座らせた。



そうして私はようやくその人物の容姿を確認できた。



身長は170センチくらいで夜烏色の綺麗な長髪を腰まで伸ばしていて、顔立ちはキリッとしていて姉とはまた違う美人さんだ。ただ、火傷の跡なのか左目辺りが肌が変色している。体格も女性的ではっきりとしており、筋肉で引き締まっている。そして、群青色の綺麗な瞳に尖った黒い耳に長くしなやかな尾が2本生えていた。



「貴女は………?」



「私は日暮 燐だよ。君はなんで言うの?」



「私は、本条 小鈴です。………えっと、ありがとうございます。運んでもらって」



「別にいいよ。気にしないで。………………………」



日暮さんはそう言うと私の顔に両手を添えて、覗き込む様に見つめた。



「え、えっと、日暮さん?」



私は彼女の真っ直ぐで生き生きとした目が直視できず居心地が悪かった。



「………………へぇ、なるほど。大体わかった。本条爺ちゃんが連れてくるわけだ。気に入った!」



日暮さんはそう言って歯を見せて笑った。とても、眩しい笑顔だ。というか何だったんだ?今のは。



「おい燐!またやらかしたのか!」



と先程、祖父と話していた玄角と呼ばれていた男の人?がやってきて、日暮さんの猫耳をつねり上げた。



「痛い痛い痛い!耳引っ張らないでゲンさん!」



私や日暮さんの様な『ビースト系』は耳や尾に神経が行っていて、つねられたり、掴まれたりすると力の加減にもよるがかなり痛い。



「ほれほれ、なに茶番をやっておるんじゃ。そろそろ良くなったかの小鈴」



「うん。だいぶ楽になった」



私はそう言って立ち上がる。



「さて、燐についてはさっきしたみたいだから俺からか。俺の名前は五十嵐 玄角。嬢ちゃんの爺さんである龍善将軍の副官をしている軍人だ。今日からそこの猫と同じく、一時保護者になる訳だ。よろしくな」



そう言って熊みたいな…………というか完全にヒグマにしか見えない五十嵐さんがそう自己紹介した。2メートルくらいのヒグマで服を着て、ちゃんとした人の体格をしていなかったら、わからなかっただろう。



「は、はい。本条 小鈴、です。よろしくお願いします」



なんとか自己紹介できた。



「あー、わかるよそれ。ゲンさん、完全に熊だからねー。私も初めて会った時は悲鳴あげたから」



「まぁ、なんだ。立ち話もアレだから家ん中入れ。荷物はこいつが運ぶ」



「はいはい頼まれました!」



そうしてこれから私も住むことになる家に案内された

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