第3話 アリで死にかけ
ちょっといいか?
『なんですか?』
解析さんは相変わらずの口調で答える。AIみたいなもんだしそれもそうか。
生存体力が0になったらどうなるの?
『死にます。ちなみに戦闘体力が0になっても死にます』
マジで?えっとえっとえっと……。
あ、岩陰のちょっと先にアリがいる。ありがとさ〜ん!!
さすが森、ちゃんと虫がいるね。ズリズリズリズリ。
体長十センチ程か。でかいな。てか近くに行っても逃げようともしない。ま、いいか!
パクっ。
硬い殻のような口の外側を歯のように使って、うまいこと噛み潰す。
『【顎力Lv1】を獲得しました』
あ、滅茶苦茶すっぱい。あ。舌がヒリヒリする。の、飲み込むしかない!
ゴクン。
『戦闘体力【5/5】
↓戦闘体力【4/5】
↓生存体力【3/5】
↓戦闘体力【3/5】』
待て待て待て!!何で戦闘体力減ってんの!?ヒリヒリはもうしてないぞ!?お腹の中にもう入れたぞ!!
『戦闘体力【2/5】
―――――』
あ。止まった。
はぁぁぁ。良かった。死ななくて。あ―――。よかったぁ……。
解析、何があったの?
『解析終了しました。個体・リトルエッグズアントの情報を開示します
個体名なし 【Lv1】
【リトルエッグズアント】
アリ。基本的に卵の殻を栄養源とするという変わった生態を持つ。運んでいる餌を奪われると群れで集まってくる。
【微弱毒作成Lv1】【電気魔法耐性Lv1】』
ねぇ、何で説明こんなに雑なの?ステータスもないし。
『虫だからです』
虫ならステータスないの?いいのそれ?
『ステータスは魔物にのみ存在します。仮にステータスを作り表示しますか?』
解析さんは当たり前のように話す。すげえな、情報取り込んだら。
頼む。
『個体名なし・Lv1
【リトルエッグズアント】
戦闘体力【1/1】
魔力【0/0】
生存体力【1/1】
物理攻撃力【1】
物理耐久力【1】
魔法攻撃力【1】
魔法耐久力【2】
素早さ【2】』
魔力ないんか……。魔力の有無で魔物か決まるのか?
『不明です』
あ、うん。わかった。その前に!――微弱毒ってなに!?あと電気魔法耐性!!
『卵に含まれる、カルシウムイオンにより電荷が保存され、それが繰り返し……』
わ、わかった!!つまり卵食ってるから電気に強いんだな!?
『微弱毒は解析の結果、蟻酸でした』
あ。それか。てか蟻酸ってそんなにヤバイのかよ。昔舐めたがなにも感じもしなかったぞ。
『消化器官が完全に発達していないのでダメージを受けます』
あ、そゆこと。俺は未熟児だったしじゃあしょうがないな。
――そういえば!!
熟練度ってある?
『あと五匹補食すると、【微弱毒作成Lv1】【微弱毒耐性Lv1】を獲得可能です。そして、さらに五匹補食するすることで【電気魔法耐性Lv1】と、【電気魔法Lv1】を獲得出来ます』
うぇい!!こんな仕組みなら案外戦えるかもしれん!
『生存体力が【3/5】から【2/5】になりました』
あ、さっき上がった生存体力がもう減ったんだが。アリの食べる量少なかった?あ、でも次食ったら戦闘体力切れて多分死ぬよなぁ。アリはいるけど、どうしようか。
解析さん、アリの毒ってどこに入ってる?
『腹部です。胸部以外なら無毒で食べられます。ですが、その場合は毒や電気に関するスキルは得られません』
ま、そうだよね。あ、良いこと思いついた。これでしばらくは飢えないんじゃないか!我ながら天才かもしれん!
個体名・??【Lv1】【フィナーリザンド】
○○の未受精卵から発生する、最弱クラスの魔物。基本は○○に補食されるため、詳しい生態は不明。身体は殻に覆われているが、強度はほぼない。
戦闘体力【5/5】
魔力【5/5】
生存体力【5/5】
物理攻撃力【5】
物理耐久力【5】
魔法攻撃力【3】
魔法耐久力【6】
素早さ【4】
【スキル】
【解析】【吸着Lv2】【遠視Lv1】【思考Lv2】【隠密Lv1】【退避Lv1】【顎力Lv1】
≪称号≫
≪セカイへの挑戦者≫