頭の中に響くは聞いた事がある声?
出来る限り更新していきます。
蒼井翠は普通の高校生?
段々普通の高校生であったのか不安に思えてきた翠
いや、きっと、多分......
しかし、いきなり私が貴女の父親とですと
カミングアウトされてもイカツイ見た目(スキンヘッドに頬には十字キズ)の男の口から[ミドリン]なんて言葉が出て来た事に面食らう
「......」
場の空気を読んで挨拶は返したもののこの世界の事は未だ分からず周りの雰囲気から何か間違えたのか?周囲の反応からやり過ぎた感は否めない。
何故ならその後もガラハドは娘は天才だだの女神だの親バカぶりを大爆発させ周りの盗賊達ですらどこか冷めた様な目をガラハドに向けている。
天才はともかくとして女神は言い過ぎだろうと翠は思う。
外見はまだ幼児にしか見えないものの精神的には17歳である。
ただ、無条件に最大限に褒められているのは分かるので強ち悪い気はしていないのも事実ではあった。
しかし、[ミドリン]と呼ばれた事に対しては疑問に残る。
ミドリと呼ばれたならまだ分かる。
何故[ミドリン]なのか?
聞き間違いだとも思ったが、その後もガラハドは
[ミドリン]を連呼しており、この世界において翠は
[ミドリン]だと認識せざるを得ない。
実は翠は知らなかった事なのだが、元の世界では隠れて翠をミドリンと呼ぶ者が居た事を。
今となっては知る由も無いが、まさか異世界転移してからニックネームで呼ばれる事になろうとは翠自身も想像出来なかった事だろう。
盗賊達の馬鹿騒ぎを他所に、翠ことミドリンは読んだ事がある異世界物のライトノベルの内容を思い出すべく思考を巡らせる。
転生したら勇者だったや大賢者はたまた特殊能力を授かりそのチート能力で世界で無双するなんていう話があったなと思い出す。
しかし翠が異世界転移した先では自分は盗賊の娘である。
「現実は厳しいよね」
独りごちる。
盗賊という職業についても詳しく知っているわけではない。字面からは悪い集団にしか思えなかったからだ。
勇者等存在しておらずましてや奇跡も魔法もないんだよ!僕と契約して魔何て事はなく、物理法則の強固たる科学の世界で生きていた翠にとっては、知識の中でだけの存在であり漠然としたイメージでは悪党の集団、翠の居た世界でのマフィア位の認識しか持てなかったのは仕方のないことだろう。
この世界での親という存在がある以上
今の所一人で野に放たれる等といった事態にはなりにくいと思った反面、職業が職業だけにいつどうなるか分からない不安もある。
ましてや特殊な能力も今の所無さそうなので
今後どうやって生きていくのか考えるとこちらの世界の親を頼らざるを得ないのである。
何とかこの世界でも生き抜いていかねばならないのだった。
翠は異世界に転移した事により身体的にもかなり変化している。ただ幼くなっただけではあるが
何らかの能力が付与されていないかと考える。
ゲームの様に自身のステータスが見れるなどの能力があるだけでもこの世界においては有利に働くだろうと
あわよくば凄い力なんてのが見つからないか
ステータスの確認が出来ないかと意識を集中する。
ゲームや小説の知識から『ステータスオープン』などの言葉を呟いてみても何も現れる様な事はなかった。
その後も動作を加えてみたり別な言葉を使い色々試してみたがその日はステータスウインドが現れる様な事は無かったのであった。
今や自分の寝所となった洞窟の中に入りいつもの皮を敷いただけの岩肌の寝所で目を瞑ると直ぐに意識は闇に落ちていったのだった。
翌日、翠は早起きするとこっそりと洞窟を抜け出し
近くの森に入る。
木々の色は緑一色というわけではなく赤や青、白から黒までかなり色彩豊かではあった。
木々の間からは聞いた事がない鳴き声やら見た事もない植物が目に映る。足を止めたくなる気持ちを抑え
森の中を進んでいく。
ふと木陰から元の世界でもそれなりに有名だった
粘性の青いゼリーの様な魔物らしき物が飛び出してきた。
そうスライムである。
見た目も凶暴というわけではなく青くて丸く美味しそうにしか見えないのだった。
食べたらどんな味がするのか?そんな意識を振り切りスライムから少し距離をとる。
地面に落ちている石を拾い試しにスライムに向け投付けてみる。
スライムは難なくその石を弾き返す。
見た目では特に傷付いた様子は無いものの翠は引き続き石を投げ続ける。
石を20個程投付けた辺りで急にスライムが赤色の光を放ち爆発した様に飛び散ったのだ。
どうやら石を投げ続けた事により
少しずつスライムにダメージが入っていたようでスライムのHPを石を投げ続けた事で削り切った様である。
スライムが爆散したのち瞬間後、翠の脳内にアナウンスが流れる。
「ミドリンはLVが2になった。スキル【奪う】を覚えた」
確かにそう聞こえたのだった。
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