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蒼井翠は盗賊である

初投稿です。書き貯めてはおりませんが出来る限り更新はしていくつもりではありますので宜しくお願い致します。

 蒼井 翠 17歳 


 普通の高校二年生


 普通の定義というのは人それぞれ


 翠は運動、勉強共に平均よりは少し出来る

容姿は、特別な美少女とまではいか無いが

小動物的な可愛いさを持っている。

そんな女の子としてクラスでは受け入れられていた。


 趣味は読書、小説を書いたり読んだりなんてのも

好きだったので文芸部に籍を置いていた。


 今日も変わらない日常、6時間の授業をこなした後、

住処である文芸部部室へと足を運ぶ。


 このいつも変わらない日常こそが、

翠の愛すべき学校生活の一部であったのだ。


 ニ年生三学期にもなると、大学受験が頭の中を過ぎってくる時期である。

で、あるものの翠は堅実な試験結果に加えて、

無遅刻無欠席無早退

日々の積み重ねにより既に自宅から通える大学へ推薦入学を決めているのだった。

よって憂いなく卒業まで部活動に従事出来る環境にいる。


 今日もいつもの日課である部室で

昨日から読み進めていた本の続きに目を走らせ、

本の世界に埋没しているのである。


 時間を忘れるように本の世界に埋没していた翠は

普段なら本を読みながら眠ってしまう......

なんて事はないのだが、

この日に限って意識を手放してしまう。


 数分、又は数十分その位の時間だろうか


 眠ってしまっていた事に気付く。

慌てて顔を上げた翠は辺りの様子から違和感に気付いた。


 文芸部の部室の長机で本を読みながら眠ってしまっていた事は覚えている。

だけど今周りに映る光景は部室ではなく・・・

薄暗い天井、岩肌の地面で見に覚えがない光景だったのである。


 夢の続きの様な・・・・・・

そんな現実と夢の境界の中で

意識を覚醒させる為、自分の両頬に手を当て

頬を叩く、頭を左右に振り目醒めを更に促していく。

大きく深呼吸をして数秒のち眼を開け周りを見渡す。


 風景は先程と一寸違わず同じ景色が広がっていたのだったり


 「一体どうなって・・・・・・」


それ以上言葉は続かない


 翠は今置かれている状況について一旦落ち着いて

考える。


 第一に考えられる可能性は、未だ夢の中である事

意識を覚醒させるべく行った先程の行動から考えてみても周りの風景に変化が無かった事から夢の中である可能性はないと否定する。


 第二に眠っている間に何者かに拉致された可能性

全校生徒とまではいかないが、校内や運動場にはまだ部活をしている生徒はそれなりの数残っている。

そんな中で部室から人目に付かず眠っている人間を拉致する等といった事が可能だろうか?


 完全に出来ないとは言い切れないが可能性は低いと思う。


 その他にも多種多様な可能性について推理してみるも今翠の置かれている状況を説明するに足り得える解答に行き着く物は見当たらないのであった。


 このまま時間を費やしていても事態が進展する様子は無いと判断し、翠は現状を少しでも把握したいと考え勇気を振り絞って行動を起こす。


 翠が最初に確認したのは身体に何かおかしな部分はないか。

頭から順に上から確認する様に触っていく。


 鏡があったなら一目瞭然だったけど辺りに鏡は無いので触ったり見たりする事でしか確認する方法はなかったのである。

一通り触ったり見た結果、身体の変化に気付いたのである。


 翠の感じた変化


 「手足が若干短くなってるし、胸周りが......。

背も縮んでいるし......」


 17年間慣れ親しんで生きて来た身体である。

その辺りの違和感に対する答え


 「幼くなっているような」


そうとしか思えなかった。


 元々背が高く胸が特別大きかったわけでは無い[全く無いとは言ってない]けど明らかに全てがサイズダウンしている。

例えるとLサイズからSサイズの様な


 特に胸部については消滅したといっても過言では無い平地の様な体型から幼児化したのは間違い無かったのであった。

 歩幅についても実際歩いてみた時に感じる違和感が強く進んでいる感じがしない。


 若返りは人類の夢ではあるが翠はまだ17歳である。

この年齢での若返りはどうかというと正直微妙な感じではあった。


 「喜んでいいのか悪いのか」


これは素直な感想だろう。


 翠は幼児化という変化に微妙な気持ちになる。


 幼児化については今は深く悩んでも仕方ないと一旦棚上げをする。

それよりもここは何処なのか、自宅に帰れるのかを確認する事の方が今優先すべき事態なのは間違い無かった。


 洞窟の様な場所から明かりを頼りに出口を探すべく歩いていく。

別れ道は無かったが、左右にくねくねと曲がっている道を暫く歩いていくと出口らしき場所に辿り着いたのであった。

 出口には左右に松明の様な物が燃やされており

灯の近くには人の気配の様な物を感じる。


 翠は警戒しつつも勇気を振り絞って慎重に出口から外へ出ようとする。

そこで見知らぬ男に声を掛けられた。


 盗賊の様な風体とでもいえる様な服装をした者から声をかけられたのであった。


 「目覚めたんですかい?お嬢」


 相手は翠を知っている様な気安い口ぶりではあったが翠には全く心辺りが無い人物

更には今まで呼ばれた事の無い呼び方が気になるが

目の前に居る盗賊の様な服装をしている男の言葉に咄嗟に出た言葉は


 「お嬢?」


 盗賊風の男は翠の様子から一瞬訝しげな様子を見せるも直ぐに納得した様な様子で再び口を開いた。


 「まだ寝惚けてるんですかい?お嬢。首領なら今商人達を待ち伏せする為に出はらってますぜ」


 そんな聞いてもいない事を言うのだった。


 翠はその後盗賊風の男(ダンという名らしい?)と会話をして今自分の置かれている状況について少しずつ把握する事が出来た。


 ここは自分の知っている国では無く、蒼井翠という高校生ではなくなっている事。

そして何より自分の父親は盗賊の首領である事。


 蒼井翠はどうやら盗賊の娘になっている


 そういう事だった。




誤字、脱字、設定矛盾等ありましたらご指摘頂けると幸いです。

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