第0.5話 悪の胎動 「ギルド」始動
どうも。中学生の時に書いた小説を若干改良して投稿します。あの…拙い文章ですけど、よろしくお願いします。
彼は玉座に向かって歩いた。まるで自分の部屋のように。
『汝。朕に入り用か』
と、そのとき、突然脳内から声が響く。恐れるでも、驚くでもなく、彼はヘラヘラと笑った。
「直接脳内で喋られるのは大変腹立たしいのですけども?」
『塵芥が拒否権を欲すか』
「だから…口で話せって」
『ざっけんなクソ雑魚野郎』
その声がした途端、周囲の壁が砕け地面が割れる。自らの玉座を声一つで崩壊させた主は、その姿をさらして更に問う。
『汝…いいやもう。おいテメェ、質問に答えろって言っただろが。何無視決めてんだよふざけんなよ。しかも朕の【神の権能】もあっさりスルーしやがって!なめとんのか』
「いやー神様を前に緊張してましてー」
その言葉を聞いて、玉座に座る神―あぶくだつ黒い物体がぶち切れる。いや、見た感じでは全く分からないのだが。
『嘘つけ!大体宇宙の最奥にある朕の神殿まで来てるのが頭おかしいってのにメッチャへらへらしてんじゃん!?どしたの?あまりの恐怖で頭狂った!?』
この物体の言い分は正しい。基本的に多くの生命はこのの姿を見た途端発狂しするのだ。だが、神殿に来てへらへらしている彼を甘く見てはいけなかった。
「そーんなわけないでしょう。まあ緊張は少ししてるし」
『少し!?おま、破壊神の権能を直で受けて少しだけなの!?』
「まあまあ…。それで、すこーしだけ、相談があるんですけど…」
彼は、自らの醜悪さを隠すことなく笑みを浮かべた。
その日。世界は重なり合った。
全ての可能性世界は繋がり、異世界のモンスターの襲来などで、未曾有の大災害。それでも人類が生き延びたのは奇跡的である。
その後国連は『異世界生物に対する特殊防衛法』を定め、モンスターの脅威から人を守る「ハンター」という職種をつくった。
無数に存在する「ハンター」の頂点と呼ばれるハンター集団がいた。「ギルド」である。
「うわぁ。でっかいねぇ…!」
彼らは今、巨大生物、大鬼の討伐に来ていた。
「えとね…富士山よりも大きいらしいよ」
黒いコートをまとう青年が感嘆すれば、茶色のジャケットを着た青年は解説する。
「ねえ。帰らない?私達の手には負えないんだけど。というかもう山じゃんあれは」
「では、あなた方を囮にして私は一足先に帰ります」
「どー考えてもあたしが優先でしょう!あたしもう帰るのです!」
そして緑のワンピースの少女は絶望し、水色のパーカーの少女と黒を基調としたドレスをまとった少女はケンカをし出す。
そう!これが「ギルド」である!!
逆に考えて欲しい。毎度毎度凶悪なモンスターと渡り合うのに、熟練者の慣れとかをもつ方がおかしいのだ。ハンターはいつでも命懸け、クエストを受けるかどうかで揉めることもあるという。「ギルド」程の歴然の猛者ならば当然相手の出方を窺うなどの戦略を屈指して討伐にいど…
「《弾けろ、世界崩壊穿》ッッッ!」
「ちょ、ふぁ!?」
挑むのが普通なのだが、「ギルド」程の歴戦のハンター集団ならば囮をやるような人物は凶悪なモンスターなどとうに見飽きているのだ。
「ちょっとぉ⁉馬鹿なの?そんなことしたら戦闘になるでしょうが!」
リーダーの少女、森田ひよこが悲鳴を上げた。当たり前である。なぜなら通常、戦闘を始めるときにはある程度陣形が整っているのが常識なのだ。いかに有利な状態で戦況を動かし続けられるかが、ハンターの腕の見せ所でもある。
「えぇ…始めないの?」
対して黒コートの青年、大劾瀬竜は理解できない、という顔をした。
「やるならさっさとやった方がいいと思うけど」
膠着しかけた空気を動かしたのは茶色のジャケットの青年、時雨鴇だった。
真顔で放たれた言葉に大劾はびくっとすると、おずおずと先頭に立ち翼を広げる。そう、彼は人外である。とはいえ、三年前の事件で人外と人間が交友関係にあることは全く珍しいことではない。強いていうのであれば、奇妙なのはこの真昼間に吸血鬼の彼が出歩けていることぐらいである。
「じゃー、頑張ってきます」
バサッと羽ばたき、天空に飛び立つと彼は右手を山のようなモンスターに向ける。魔法を放つ構えだ。
魔法は、超能力と同じように三年前からやってきた新技術だ。しかしもはやハンターで魔法が使えないのはよほど武器や素手での戦闘に自信がない限りありえないとされるくらいに重宝されている。
「いくよー《ファイアボール》!」
呪文は基本的なもので、恐らく一般人でも使える程度の魔法だ。しかし、彼と一般人では魔法を使うのに必要な魔力の総量が全く違う。よって、簡単な火炎球を撃つだけの魔法でも威力が全く違った。
ごう!!という音が聞こえそうな、彼の手から放たれたその火の玉は太陽のように燃え盛り大鬼を飲みこむ。これだけでも十分異常な火力を発揮しているのだが、彼はまだ止まらない。
「これくらいじゃあ死なないものね。《ドラゴニア・ファイアボール》!《ヘル・ファイアボール》、《サンライト・ファイアボール》!!」
魔法は、主な効果を表す【呪文】と効果を後付けできる【詠唱】の二つでできている。《ドラゴニア・ファイアボール》でいうと、ファイアボールの部分が呪文で、その前についたドラゴニア、の部分が詠唱だ。
まぁ要するに、大劾はただでさえ強力だった魔法に火属性強化、威力上昇、退魔効果をつけた魔法を立て続けに放ったのだ。当然
「《ファイアボール》っ《ファイアボール》っ!」
「あ、あの瀬竜?も、もう倒せたよ?やめてあげて!もうやめて!!見ててつらいから止めて!!!」
大鬼は狩る側の時雨に心配されるくらいの損傷の激しい死体、もはや焼き焦げたナニカになれ果てたのだった。
「ギルド」に所属しているメンバーはたぶん次回発表します。お楽しみに!
お楽しみにしててくださいね…?