第2話〜全てを知りたい〜
〜前回のあらすじ〜
両親が死んだことを警察のおっさんに伝えられて絶望した。
ついでに相続した家も捜査のためにしばらく住めなくなった。
「レイ君……元気出してくださいって。きっと……これからいいことありますから。」
アルーラの家に連れてこられたレイ。
レイは床に倒れ、「ああ、神さま……夢オチにしてください……」
と小声で頼み込んでいる。
「ちょっ……ちょっと! アルーラ!? その人……誰だよ!?」
あ……ルイスだ……16歳の黒色ウールライト。
相変わらずメガネが本体みたいな顔してるなぁ……
「レイ君。一緒に遊んだことない?」
そういえばアルーラのが唯一タメ口で話す相手だっけ……
夢オチはなさそうだ……もうやだよ。いやだ。クソが……
「レイ……うーん……あ!思い出した。……なんでここにいるの?」
「今近くで起きた高級住宅街連続強盗事件。
たまたま両親の休日と被って……うん……」
「あー……何も言わないってことは……御愁傷様としかいえないな……
とりあえず外の空気を吸わせるってのはどう?
綺麗な空気を吸えば落ち着くよ……多分」
なんかミョーに優しい。
小さい頃遊んだ時はいつもイライラしてたような印象があったけど。
ルイスに連れられるままに外の空気を吸いに行くことになった。
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人と車がよく通ること以外はこの前通りがかった時の風景と同じ。
ビデオショップに行く最短ルートだったからなぁ……
「なんか言ってよ。なんかさ……
こっちも親が死んだ時のことを思い出しちゃうじゃんか……」
もう何も言うまい……
考えるのをやめたい……
もう言うことも思いつかない……
「お前がレイ=レインロードか?」
剣を持った女性に話しかけられる。人間だ。
「聞きたいことがあるんだ。
賞金稼ぎグループSBCに参加してるものなんだが……」
SBC……スーパーバウンティーハンターカンパニー……
ニュースで聞いたことがある。
シンプルな名前ってネットで馬鹿にされてたな……
「お前の親だが……おそらく麻薬売買関係のトラブルで、
連続強盗のついでに暗殺されたっぽいんだ」
「な……何を言ってるんだ?意味がわからないんだけど……」
「それについて知ってることはないか?
取引現場を目撃したとか……」
急展開だ……もうやだよ……
「さっさと答えてもらわないと困るぞ。特にお前がな。
アタシはそれほど疑ってないが、
一応お前は麻薬売買に加担した容疑者なんだぞ」
「……知りません」
思えば両親には不審な点があった。
突然電話が入って用事ができたって家を出たと思ったらすぐ帰ってきたり、
突然『お金ができた』と言ったり、
今後の参考にしようと職を聞いても答えなかったり……
休日というのもトラブルの件で問題を解消するための
組織から言い渡された処分だったりするのか……?
「やっぱりお前が嘘をついているようには見えないな。
わかっていたとしたなら驚き過ぎだ。」
真相を知りたい……何がどうなってこうなったのか……
この期に及んで好奇心が湧いてくる。
「あの……捜査に……参加させてください……」
「は……?」
「レ……レイ? えーと、僕には言ってる意味がわからないんだけど……?」
女性もルイスも「言ってる意味がわからない」と言わんばかりの顔をする。
「真相を知りたいんだ……ついでに今日、バイトの時間過ぎちゃったし……
多分バイト先から切り捨てられてると思う……」
「……そうか。わかった。」
「え!?いや、ちょっと!?」
「アタシはチェイサーだ。チェイサー=クローバー。
邪魔だと思ったら問答無用で切り捨てるが……
ついてこいよ?」
「ほ……ホントに!?」
「ぼ……僕はアルーラに伝えてくる……とにかく理解不能だって……」