--史上最強の誕生と運命の終わり--
私はある気配をたどった。それはまだこの世界には誕生しておらず、おそらく運命の気配をたどっただけだという方が近いだろう。その気配を無視するほどの度胸は私にはなく、申し訳ないが誕生の前に終わらせるしかない。将来どのような成長を遂げ、何をなすのかも確定してはいないが、ある一点だけが確定している。大きく世界と隔絶した力を持つものはいずれ何らかの形で崩壊をもたらし、世界を終わらせるだろうといことだ。
運命に介入するのは私をもってしても非常に困難だった。神の配慮に背いたのだ。まもなく報いを受けてしまうだろう。
「だが・・・ようやくたどり着いた。非常に心苦しいが、私は君をここで終わらせないといけない。君の誕生は世界を苦しめることなる。」
何もない真っ白な空間に虹色の球が浮く。その球は徐々に人の形を作り上げていった。果たしてそれが人の形をかたどったのはただの気まぐれなのかもしれない。
「最後に聞かせてくれ、何か望みはあるか?私の身勝手で消えるのだ。最後にかなえてやりたい。」
虹色の光は無限の可能性を感じさせるには十分な気配を持っていた。そして口を開く。
「遊ぼう!」
「わかった。存分に遊ぼう。」
どこまでも純粋無垢な虹色の光だ。様々な運命の形を見てきた私からしても初めての経験だ。果たして今から私がやろうとしていることは本当に正しいことなのだろうか。
考えているさなか、微笑んでいる虹色の光はこちらに突進するように突っ込んできた。
【たどりし者】はその攻撃をギリギリで防ぐ。そしてまるで消えてしまいそうなほど悲しそうに笑った。
やはり危険だ。この威力、そして素早さ。この段階ですでに私がかつて相手にしたどの存在をも上回っている。ありえない。実態なき運命の段階でこれほどの力を発揮するとはな。まるで神の領域にいるかのようだ。
【たどりし者】はおそらく現在、過去すべてを含めても、最強の領域に至っている。そしてそれは他を隔絶する領域に至っており、世界を守ることはおそらく自分の義務であるとさえ感じていた。だがそれは生まれる前の気配だけの存在を前に崩れ去ろうとしていた。
虹色の光は攻勢を続ける。まるで存在を打ち付けるような連撃を放つ。【たどりし者】は何とかその攻撃を防ごうとするが、ほとんど防御が意味をなさず、何発かもらってしまう。【たどりし者】は音速を超える速度で吹き飛んだ。
【たどりし者】は起き上がることができない。
虹色の光が【たどりし者】に手を伸ばす。
「ありがとう!楽しかったよ!」
「そうか、それはよかった。」
【たどりし者】は虹色の光の手を取った。
その瞬間運命の光と【たどりし者】が一瞬共鳴した。どこまでも純粋でいて無垢。ないだ海、永遠に続く草原、雲一つなききれいな空。【たどりし者】にそのようなイメージが一斉に入り込んだ。
そして彼の頬を涙がつたる。
悲しいほどに純粋な光だ。私は世界を守るためにどのような手段をも取ろうと考えていた。それが間違いだったのだ。やはり運命は無限だ。だが一つだけわがままを言わせてくれ。私はこの運命さえも守りたいのだ。この純粋なる光を守るために。
「やはり君には謝らないといけない。君は生まれてすぐにありとあらゆる存在から狙われてしまうこだろう。その力を利用すればおそらくどのようなことでも実現可能だ。それは必然であるがまだ可能性でしかない。君には申し訳ないがそれを防ぐために君の力に少し蓋をさせてほしいのだ。かまわないか?」
あくまで虹色の光の意思を尊重する【たどりし者】。そして虹色の光はまるで天使のような微笑みでそれに答えた。
「ありがとう。いつか必ずお礼をするね!」
「ありがとう、待っているよ。それでは封印を実行させてもらおう。」
「プリヴェント オブ ダイヤリング レベルハンドレット!
・・・いつの日か君が世界に愛され、笑って暮らせることを私は願っているよ。」
【たどりし者】の頭上にダイヤルのようなものが現れ、何度も回転を繰り返す。封印魔法の最上位格が虹色の光に施される。
「さらばだ。」
【たどりし者】がそういうと、彼の周りに幾重もの鎖が現れそれに拘束された。
彼は消えていった。
新しく小説書いています。
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【king G】~神で魔王な俺は同時にGでもある~
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