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Miracle.1『誕生日プレゼント!?』1

 ――此処は、日本の何処かにあるちいさな町・御摩可町(みまかちょう)

 この町には、何処から見ても目立つ建物がある。

 其の建物の名を八城メカニズム研究所という。

 名を聞いての通り、この研究所では、様々な最新技術の機械の実験を行い、世に出して来ていた。


「急げ!急げ!!」


 何やら、今日は中が騒がしい様だ。

 研究員達が、慌ただしく準備をしている。


「ん?」


 其処へ一人の小学生が通り掛かる。

 小学生の名は、八城 要(やしろ かなめ)。この研究所の所長の孫にあたる子供で、御摩可小学校の2年生である。因みに…


「何やってるの?皆して」

「あ、要坊ちゃま」


 研究員の一人が、要に声を掛けられ立ち止まる。

 そう…要は、男の子である。其の名と顔だけを見て聞けば、誰だって女の子と間違えてしまうくらいで、彼自身も自分の名前をあまり好んではいない様だ。良く見ると、名を呼ばれただけでムスッとしている。


「今日は、お父様――勇之助博士がお帰りになられる日ですよ」

「お父さんが?」

「忘れたのですか?今日は、要坊ちゃまのお誕生日ではありませんか」

「あ…」


 要は思い出す。今日が何の日なのか…

 要の父・八城 勇之助(やしろ ゆうのすけ)は、何時もは海外に留学しており、特定の日しか帰って来ない。其の一つが、要の誕生日だったのだ。


「お、お父さん、何時帰って来るって云ってた!?」


 要は、上機嫌になり研究員に聞く。


「た、確か…」

「確か?」

「すいません…つい、さっき連絡があったもので…今、急いで準備をしているのです」

「あははは…やっぱし、そう来たか…」


 要は、其れを聞いて、呆れてものが言えなかった。

 何故なら…勇之助は、何時も直前になって連絡を寄越し、一時間もしない内に現れるのだ。

 更に、研究員達が慌ただしくなって来ると――


『!?』


 外で何か大きな物ががぶつかった様な物凄い音がして来た。


「な、何!?今の音!」

「か、要坊ちゃまは、此処に居て下さい!私が…朽木(くちき)が見て来ます!!」


 研究員・朽木はそう言って、音がした方へと慌てて走って行った。

 良く見ると、其の方向には煙が上がっている。


「居ろと云われても…あれを見たら、動きたくなるじゃん」


 要は、居てもたっても居られず、煙が上がっている方へと走った。

 其処には…


「こ、此れは!」


 研究所の壁を突き抜けたかの様に、大型トラックが見事に追突していた。


「ありゃあ…こりゃ、当分起動は無理か…」


 其の真横には、要にとって見覚えのある美形の男が、腕を組みながら立っていた。


「と、父さん!?」



 要は呼ぶ。

 そう…この美形の男こそ、要の父・八城勇之助だった。


「やあ、要君♪」


 勇之助は、要に気付くと、ニコニコしながら会釈し、彼に近付いて行く。


「父さん、何時戻ったの!?」

「さっきだよ♪」

「さっきって、まさか…」


 父の言葉に、要は嫌な予感を感じる。

 其れは、直ぐに分かった。


「若先生!お怪我は!?」

「大丈夫だよ。大した事は無いから」

「其れにしても、ま…まさか、トラックで突っ込んで来るとは、思いませんでしたよ…?」


 如何やら…このトラックは、勇之助が運転していた物だったらしい。其れにしても、何故怪我をしてないのだろうか…


「いや〜ぁ…久し振りの運転だったから、手が滑ってね…」

「手が滑ったって!?貴方、前に免停食らった事あるでしょうが!?」


 相変わらずニコニコしながら答える勇之助に、朽木のツッコミが炸裂し、勇之助は地面に頭を叩き付けられた。


「やだな〜ぁ、瑠魅ちゃん。【アレ】を持って来るの、結構大変だったんだよ」


 勇之助は、顔を起こしながら言う。

 良く見ると、彼の額からは軽く血が流れている。恐らく、さっき切ったのだろうが…

 因みに、朽木の下の名は瑠魅るみという。


「其の名で、気安く呼ばないで下さい!お…奥様に怒られますよ!?」

「良いんだよ。俺の奥さんは、要君が生まれてから直ぐ亡くなったんだから」


 そう…要の母は、彼が生まれてから直ぐ亡くなっている。

 其の為…勇之助は、要の寂しさを埋める様にする為に、色々な女の人に会わせる様にしている。


「る、瑠魅さん…父さんを怒らないで」


 要は、瑠魅の白衣にしがみつき言う。


「か、要坊ちゃまがそう云うのなら…」


 瑠魅は、要の顔を見ると、赤めらせるが…


「ところで、如何やって脱出を?」


 先程から気になっていた事を聞いてみた。


「そ、其れがね…」


 勇之助は苦笑しながら、トラックの後ろから、重そうに何かを引っ張り出した。

 其れは、燃える様な紅くて短い髪のリアルな人形の様な物だった。

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