第五話:朝ごはん
朝ッ! 小鳥のさえずりによって目を覚ますと牢屋よりは見慣れた天井――何のことは無い。あたしの自宅だった。
だが隣に視線を移せばあられもない姿の少女――つまり全裸のニーティがいた。
裸なので布団をめくるのは冷えてかわいそうだったために、布団をそのままに彼女の素肌に手を伸ばす。
それがまた、ぷにぷにっと。どこを触っても手に吸い付くようにぷにぷにとするのだ♪
「おぉう♪」
思わず声が出てしまったが彼女を起こさないように慌てて口に手を当てる。
昨日の晩も目いっぱい堪能したが、ニーティってば本当に柔らかくてすべすべでムチムチで、淫魔だけあって幼いのに色っぽい身体してんなぁ~♪
胸の膨らみは小さいし、お腹は小さい子に特有のイカ腹だし、顔も身体も幼いのにッ! 今まで抱いてきた他の女の子と比べて圧倒的なまでに色っぺー! なんじゃこりゃ♪
……いや、女の子を比べるというのは百合として失礼だったな。言い直すとニーティの全てがあたしのストライクゾーンにド直球とでも言うべきだろう。
あたしの家には“そういう目的”で女の子を連れ込むことが多いから、ヤるためのベッドと寝るためのベッドで、寝室に二つもダブルベッドが置いてある。
が、昨日は出会ったばかりということもあって激しく燃えたからかヤる用のベッドで寝落ちしてしまったみたいだ。
シーツが若干湿っている。我ながら激しく楽しんだもんだ♪
と、昨晩の余韻に浸っているのもいいが、健全な魂のためには健全な生活。つまり朝なのだから起きねばならない!
「ん~、ニーティは元気だけど、一週間も森で恋人を探していたそうだし、今日はのんびり寝かせとくかな?
いや、でもあたしと寝たからか肌艶が半端なく輝いてるし朝ごはんをしっかり食べさせた方が……」
悩みつつも彼女の下へと指先がまさぐってしまう。んむむ、ちゅるんと吸い込まれるあたしの指! 吸引力の変わらない掃除機でもここまではいかないだろう。
あたしにのみ特化した淫魔ってのも、淫魔としては異端でもあたしからすりゃラッキーだよな。
ニーティもあたしのことを気に入ってくれているみたいだし、これからもっと好いてもらえるように頑張らねば!
「とりあえず、朝ごはんを作ってからにすっか。
ニーティも、作ってる間に起きるだろ」
ご飯は昨日の残りを温め直せばいいとして、味噌汁とアジの干物でいいかな?
それと一緒に、湯がいて冷蔵庫に突っ込んでいたブロッコリーとマヨネーズも一緒に食べよう♪
「お、アジもいい具合だぜ♪」
チリチリと焼けてきたアジの匂いに舌なめずりをしつつ、味噌汁もちゃっちゃと完成。今日は大根の味噌汁だな。
我が家は知り合いを呼んで宴会をすることが多いので食器は幾らでもあるが、どうせならニーティ専用の可愛らしいのもそろえたいな。
こう、夫婦茶碗みたいな? だっはっはっは、らしくないかもしれないが今あたしってば滅茶苦茶幸せじゃないか♪
そうして出来上がった味噌汁の味を見ているとニーティも起きて来た。
「……くんくん、この匂いはアジ!?」
全裸であることを恥じらいもせずに、とたとたとキッチンに入って来た寝起きのニーティ可愛い。
少し股間から滴っているが、あとでぺろぺろさせてもらうか。
「おう、おはようニーティ」
「おはようございますインフィさん。
朝から随分と手が込んでいますね」
どちらからともなく、まずはおはようのチューをして唾液交換。
うん、寝起きの口の中は汚いって言うけど、ニーティの口内は美味いな♪ それだけでなく“上手い”のは淫魔だからだろうか?
「ははっ、こんなもん手が込んでる内にゃ入らないさ」
「いえいえ、私が故郷の淫魔の里で食べていた食事など残飯や野菜屑でしたからね。
魔族は人間よりも身体的に優れているのでそれでも死なないですし、何より実力主義ですから」
強くなき者食うべからず、みたいな感じか? 人間は数が多いから良い奴が多い所ではンナ事ぁ~少ないんだが、それでも無い訳じゃないからな。
まぁ、種族が違えば文化も違うもんだろ。
だから、あたしはこう返すのだ。
「これからはあたしが愛してやるから気にすんな」
美味いもんを幾らでも食わしてやるし、気持ちいいことしてめいっぱい可愛がってやるさ。
たまに喧嘩したりして、それで仲直りしてプレゼントを贈り合ったり。寒い日に肩を抱き寄せ合ったりさ。
そういう、人間の恋人同士で当たり前にすることをニーティに、あたしがしてやろうと思った。
「はい♪」
笑顔で頷くニーティ。うむうむ、良きかな♪
さて、今日も楽しい一日にしていこうか。