第四話:牢の中
『なろう』でのマイページにて、初めて「シリーズ」を分けてみました♪
こうして振り返ってみるとオリジナルでR18ではない、百合がメインの小説って意外と少ないんですねぇ~。
むしろ『ノクターン』での百合作品が多すぎると言うべきか。向こうの作品は全部が百合作品ですし。
目を覚ますと見慣れた天井――自分が暮らすサバナの街の牢屋の天井であった。
「……ここの天井を、これだけ見慣れた一般人はあたしだけじゃないだろうか?」
自分を“一般人”と言うことにツッコミが入らないことに寂しくも思うが、思わず独り言を言ってしまうくらいに寂しい気持ちになっただけさ。
起き上がって周りを見るも、他の牢には誰もいない。牢屋の出入り口に見張りすらもいない。牢の鍵も手足に枷もかかっていない。
これはアレだな。あたしが何度も街中で騒動を起こしては衛兵の隊長さんに牢屋に放り込まれて、そのたびに平然と脱獄するから、貧血で倒れた学生を保健室に運ぶノリで牢屋に放り込まれたに違いない。
せめてもの優しさなのか、お腹にかけてあった毛布をたたむと牢屋を出る。
一応、面倒をかけたので牢屋の隣にある衛兵たちの詰所にも顔を出しておこう。
「おっ、目が覚めたか。
隊長のチョップを受けて数時間で目を覚ますだなんて流石はS級冒険者だな」
毎度のことながらこの街の衛兵はフランクだな。一応、公務員なはずなんだが。
「ははっ、これはもう慣れだな♪」
「慣れるほどチョップされるような騒ぎ起こすなよ♪」
「そこに女の子がいれば、えっちしたいのが百合だろ?」
「フッ、確かにな」
ピシガシグッグッ! 顔なじみの衛兵に顔見せのあとは普通に街中へと繰り出した。
天気に恵まれた晴れ晴れしい陽気! んっん~、祝福されている気がするねぇ~♪
「くぅ~、娑婆の空気は最高だぜ♪」
毎回言っている一言。そしていつもはツッコミなど来ないのだが、今のあたしは違う!
「もう! インフィさん。
恋人の私をそのままに、一人で勝手に牢屋に入るだなんて牢屋好きなんですか?
私よりも牢屋の方がいいんですか?」
おぉ、あたしのベリィ~スウィ~トハニィ~の今日から伴侶であるニーティちゃんだ♪ さっきぶりだが、とても可愛らしい♪
「いやいや、確かにこの街の牢屋はある意味では出会い茶屋よりも慣れ親しんだ場所だが、今日からはニーティよりも優先させるもんじゃないさ。
つまり何が言いたいかというと、……うん、ごめん。ちょびっとはっちゃけ過ぎたぜ♪」
謝罪は実際大事! テヘペロっ!
流石に悪乗りが過ぎたな。付き合い始めた初日で捕まって牢屋にぶち込まれる恋人って、正直どーよ? みたいな、ね。
「まったくもう、本当にインフィさんはダメダメですが、そこに惚れちゃった私なので許すですよ。
これから先の長い付き合いでも何度もありそうですし」
「あぁ、たぶんこの先も何度か牢屋にはお世話になると思う。
すでにこの街の牢屋は“インフィ第二の住まい”みたいに住民からは思われてっからな♪」
ちなみにあたしが寝ている間に、街に入るための手続きはニーティが自分でしてくれていたそうだ。
一緒に暮らすということで何だかんだの費用もあたしの口座から結構な額が取られていたが、これはニーティに言ってあったからな。
惚れた女の子を養うためにも、明日っからまた仕事も頑張らねば!
「それにしても、インフィさんって凄いお金持ちだったんですね。
しかも、口座からお金を引き出すのに何の確認作業も無かったのって大丈夫なんですか?」
「あぁ、あたしは自分で言うのもなんだが、しょっちゅう騒動起こして罰金なり弁償なりで他人があたしの口座から金を持っていくのに面倒な手続きをしない方が楽なんだよ。
印鑑だの通帳だの、ましてや本人確認なんて金を出すたびにするの面倒じゃないか♪」
「それで赤の他人に丸々盗まれたらどうするんです?」
「そりゃ決まってる!
追って捕まえられれば取返し、逃げられたら相手を称賛して諦める!
あたしの馴染みの店はツケも効くから適当なS級の依頼を二、三受ければ問題ないからな♪
またゼロから稼ぎ直すだけさ♪」
まぁ、あたしと敵対したがる奴なんてこの街にはいないだろうがな。
自覚はあるんだが、この街に初めて訪れる人間にはあたしのことも説明されるらしい。
世界的に見てもS級までランクを上げた冒険者は少ないし、所属している国からは色々と便宜を図ってもらえるから貴族でもマフィアでも喧嘩売るには面倒過ぎるのがあたしなんだよな。
「じゃあ、家に帰ろーぜ♪
晩飯はあたしが作っけど、ニーティは苦手な食べ物あったりするか?」
「いえいえ、私は泥水を啜り、木の根を食べた経験もあるので何でも食べられますよ。
ただ、出来ることならインフィさんにアーンってしてもらって食べたいなぁ~って♪」
「ははっ、そいじゃあワカメ酒なんてのもイケるかい?」
「勿論、いただきます♪」
手を繋いで家路につくあたしらに、顔見知りたちは「まぁ~た、別の女の子と遊んでる」みたいな呆れたような顔で見てくるが、そんなもんじゃ~ないんだよな。
あたしの隣で並んで歩いてくれているこの少女こそ、あたしの生涯を共にしたい惚れた子なんだよ。
これから何年も何十年も共に歩んでいきたい。そう思ってニーティの絶妙な服の隙間から可愛らしいお胸のぽっちに指先を伸ばすのであった。
「あん♪ もう、インフィさんったら♪
私のサクランボは甘いですが帰ってからですよ」
「悪い悪い、帰ってから、な♪」
ぷにぷにと触れる指先の感触に頬を緩ませつつ、慣れた帰り道が新鮮に見えるあたしなのであった。
最終話までの流れが完成してこの辺の話を読むと色々と思うところもありますが、ハッピーエンドに繋がると思えばなかなんかに良い♪
あと、今作も触手タグを付けてはいますが最後にしか出ないんですよね。ガッツリ触手プレイを期待している方がいましたら申し訳ありませんが、『なろう』作品ですので♪
でもガッツリとした触手作品って、自身21,24作目の二本だけだったりしますし、次回作はまたガッツリと触手作品を書くべきでしょうね。
私の書いてきた小説の早見表は『ハーメルン』の活動報告の一番上にあるので興味があればそちらもどうぞ♪