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第二話:なにも、おかしくはない

 あたしの名前はインフィ。職業は冒険者。性別は女だ。そして百合だ!


 つい先日、二十歳の誕生日を迎えたばかりだが、12歳で冒険者登録をして8年かけて腕を磨き続けたおかげでメイン拠点として活動しているサバナの街では最高位のS級冒険者として名を馳せている。


 自慢になるが、あたしの所に届く依頼は王族貴族に大商人と、金払いの良い連中ばかり。受けた依頼は必ず成功させるために依頼者からの信頼は厚く、

 同じ冒険者たちとも実力主義の職業だけに交友範囲は広い。


 他の冒険者が狩れないような大物を狩りに行けば単独で必ず成功し、街中でも一般市民から親しく挨拶され、楽しく過ごしている。


 金に困っていないために娼婦を買って夜の街を遊び歩き、勢いで暴れて喧嘩したり、通りすがりの女の子をナンパしてホテルに直行なんてのもよくある事だ。



 だけど、何時からか自分が満たされていないことに気づいたんだ。


 当たり前の幸せ、当たり前の毎日。良い酒と良い女。仲の良い冒険者たちと殴り合って肩を組んで笑いあって。

 そうしていると「自分は何のために生きてんだ?」みたいな、よく分からん自問自答になってしまう。


 あたし自身は無宗教だし、神様が居ようが居まいが、関係ないんだけど、何だろうな……、人生における目的? みたいな、そういうのが欲しくなってきたんだ。


 金が余っているから豪邸を建ててみたけど広すぎて落ち着かないからすぐに売った。


 最強の武器や防具を素材から集めて知り合いの職人に作ってもらったけど、そもそもあたしは素手と普段着で戦うからこれも売っ払っちまった。


 そうしてあたしは気づいたんだ。自分には人生を共に笑いあって添い遂げてくれる伴侶が居ないことに。


 でも百合のあたしは男とは友達以上にはなれないし、肌を重ねた女性たちも伴侶と言うには少し違った。


 探し出すと簡単に見つからないことが分かったが、だからこそ燃えたんだ。あたしが本気を出しても簡単には見つからないってことに。


 そうやって普通に探したんじゃ見つからないと思って、危険な魔物が多く生息する森に単身飛び込んでみたらドンピシャだ♪


 居たよ、あたしの伴侶♪ それもちょっとばかり幼い容姿だけど、滅茶苦茶に可愛い少女だ!


 勢いでキスをして我ながら性欲に走ったファーストインパクトだったが、どうやら目の前の少女はそんなあたしを気に入ってくれたようだ。



 ◆ ◆ ◆



「……と、言うのがあたしのこれまでの経歴なんだが、本当にあたしで良いのか?」


「うん、いい♪」


 目の前には先ほどキスをしてしまった少女がいる。


 目と目で通じ合ったとはいえ、言葉にしなきゃ伝わらない思いもあるということで、自己紹介をしてみたんだが、どうやらこの少女もあたしを恋人として受け入れてくれたようだ。


 いやぁ~、良かった良かった♪



「それじゃあ次は私の番。

 私はニーティ。魔族の中でも淫魔と呼ばれる種族です」


 そしてニーティから語られるのは涙なしでは語れない苦労の連続話であった。


 淫魔として生まれながらも他者を魅了する能力を持たない彼女は淫魔の一族から冷遇され、単身飛び出して人間を相手に身体を売れば認められると思いきや、幼く貧相な身体で客は取れず、逆にその手の商売をやっている元締め連中から追われて逃げ出したのだとか。


 そうして淫魔としての能力が低すぎる自分で魅了出来るような相手はまともな人間ではないだろうから、

 まともじゃない(自分が催淫出来るような)人間を伴侶とするべく人里離れた森の中に突っ立っていたとのだそうな。


 そう決意してから現在で一週間ほど。


 今は手持ちの食料をあげたので肌に張りは多少戻っているが、それでもガリガリにやせ細るまで突っ立っているとは根性のある女の子だ。


 紙一重でバカなのかもしれないが、そんな彼女の魅了にかかってしまったあたしもまたバカなのだろう。



「あ~……、それで普通じゃないあたしが君の魅了に引っかかったって訳か。

 それよりも、よくこんな森で一週間も平気だったな?」


「弱くても私は淫魔。魔族です!

 大気中の魔力を吸収すれば最低限生きて行けるし、この森の魔物程度ならチョチョイのチョイ。

 この森に来るような人なら、きっと私を生涯愛してくれる奇特な人に違いないのですから頑張れて当然なのです♪」


「なるほど、完璧な理論だ!」



 つまり、その奇特な人間であるあたしはこの子がストライクゾーンだったわけだ。


 あたしは百合ではあるが、ロリコンだとは知らなかったな。ある意味新しい扉が開けた気がする。



「そんじゃ、あたしの家に恋人として来てくれるのか?」


「ええ、こんな淫魔としては半端な私でも、インフィさんの身体の火照りを慰めることくらいはできますから♪」


 改めて少女――ニーティを観察すると、薄い胸に細い四肢、あどけない表情に薄く桃色で張りのある唇。年に似合わぬ色気のある瞳、それらに胸がときめいた。


 あぁ、自分はこの子と出会うために生まれて来たんだな、と。出会ってすぐに愛していることに気がづいたのだから。



「それじゃ、よろしくなニーティ♪」


「えぇ、不束者ですが、これからどうぞよろしくお願いします、インフィさん♪」


 不肖、あちこちで夜遊びしまくった性に奔放なS級冒険者インフィは森の中で嫁をゲットしたのだった♪



 ◆ ◆ ◆



「ちなみに私は魔族だからインフィが生きている間はずっと幼い姿のままだけど、ごめんね?」


「気にするなニーティ!

 あたしは今日この瞬間からロリコンになったからな!

 エターナルロリータとのえっちな新婚生活を楽しむぜ♪」


 こうして結婚を決めたのであった。


 ~キャラ紹介:ニーティ~


 森の中に突っ立っていた可愛らしい少女。


 色々と思惑があるのだが、インフィに出会った瞬間、目と目で通じ合ったために求婚に応じた。


 種族は魔族。それも淫魔であり、異性(または同性)を性的にたぶらかすことに特化しているために男女ともに顔立ちが整って肉体的にも本来は発育の良い種族。


 戦闘力は低めだが、魔族そのものが人間よりは強めの設定。


 そしてニーティの実年齢は不明だが淫魔の割に外見は幼い。


 あとはそうですね。今作のタイトルって適当に動画とか観ていて「月まで届け、永琳の匙」から作風に影響を受けているので内容に関してもそんな感じの話が多いです。何だかモンハンのクエスト名みたいになっちゃっていますがw


 一応、全力全開で百合作品です(百合方向だけとは限らない)。

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