表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今家に帰ります  作者: tomoji
魔王城までの道すがら
40/62

退室

ここまで読んでくれてる人ありがとうございます。

 「まさかスダ王自らお越し下さるとは」


スダ王は紺色の着物の裾を揺らしながら部屋の入口から姿を見せた。表情からは読み取れないがその眼には明らかに敵意を見せていた。


「自分の城で、ましてや忠臣に手をかけられてだまっていられるわけないだろう」

スダ王は見た目は丸腰であり一見隙だらけではあるがその眼光は人をひれ伏せさせるには十分すぎるほどの物だった。ジャックはそのスダ王の様子を見ても特に怯える様子を見せず陽気に両手を上に挙げてヒラヒラと動かし始めた。


「止めて下さいよスダ王様。僕はなにもあなた方と戦争をしようってわけじゃないんですよ。東ノ宮が現在国として機能しているからこそ今の僕の生活があるのですから。ただ、あなた方は僕のすることを黙って見ていいればいいんです。」


スダ王は部屋の様子を改めて見直した後またジャックに目を向けた。


「ここまでやっておいてよく言うじゃないか小僧め」

「安心してください。プロですから標的以外は殺していませんよ」

「今、俺殺されそうになってたんだけど」


どうやら口の中を切ったらしく口から血を垂らしながらナガタはジャックに突っ込みをいれた。

「貴様がここでどんな弁明をしたとしても見逃す理由にはならんな」

スダ王の右拳にどんどん力が入っていく。音はしない。だが明らかに場の空気は変わった。

「おいおいやる気かよ。これだから生真面目な王様は・・・」


ジャックはやる気なさげな顔で首を横に振った。そんなジャックを余所にスダ王は軽く伸びをしたり肩を回したりし始めた。そして明らかにジャックに直接手足が届かない間合いから左の掌を前に向け、右拳を後ろに引き狙い撃つかのような構えをとった。その構えを見た瞬間ジャックは口を閉ざしスダ王の右拳を見たまま微動だにしなくなった。スダ王から向かいの壁にもたれて座っているナガタはその構えを見て青ざめた顔になった。


「ま、まさかスダ王・・・ここで・・・」

「はあああォゥッ!!!」


気合の入った声と共に突き出した拳の一撃は直接触れる事無く一瞬にしてナガタがもたれている部分の以外の壁一面を轟音と共に粉々に吹き飛ばしてしまった。


「ッ・・・・・・・・・・!!」


ナガタは流石に自分は死んだと思い絶句したまま言葉を出すことが出来なかった。スダ王とナガタが前方を見てみるとジャックの姿が跡形もなく消えていた。


「いやお見事」


スダ王は声のする方を振り向くとジャックが部屋の窓枠に腰を下ろしてわざとらしい驚いた様子で拍手をしていた。


「流石の一撃。僕もまともにもらったら危ないかもしれませんねぇ」

「世辞はいい。さっさとかかって来い」


スダ王は左手で手招きするがジャックは特に興味なさそうにそれを一蹴した。

「いえ結構。私はこれにて失礼させて頂く」

そういうとジャックは部屋の窓を打ち破り都の景色に消えていった。それを見送ったスダ王は深く深呼吸した後ナガタの方に視線を移した。


「どうやらお互い命拾いしたようだなナガタよ」

「はい・・・・・そうですね・・・・・・・、何とか」

「イワタの命令を無視して単独でジャックと戦闘したことについての処罰はまた今度受けて貰うぞ」

「はい・・・ごめ・・・・申し訳ありません」

「近くに待機させている救護班を呼んでくるからそのままおとなしくしていろ。・・・貴様は部下絡みの事になると暴走しがちだ。以後気を付けろ」


スダ王はそう言うと部屋から出て行った。ナガタは怒られたはずなのに簡単に自分の事を見透かされていた事に思わず苦笑してしまった。腹部の何処かを痛めてしまったのか笑う度に鋭い痛みが響いてくる。


「ふっ・・・ふふっ・・・ふゥっ!・・・・・くぅっ!・・・・・・うっ!!痛っ!痛たたたた!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ