4.1年生存率40%?!
入院した日の夜でした。
主治医のS先生が病室まで来て、病気の事について詳しく説明してくれました。
……やっぱりこれって普通は家族呼んでやることだよね?
とは思いましたが、私は医師の説明が100%理解できるので、私から家族への説明でも何の問題もないのでこのまま聞いたのです。
S先生はサラッと、
「この病気のタイプ、一年生存率40%なんですよ」
と、ホントにサラッと。
おーい。
それじゃ私は来年、死んでる確率の方が高いんかい?!
「でも、発見が早期だったので最初のステロイドで綺麗に治る確率の方が高いです」
……それじゃ、治るか死ぬかの二択?
うん、まぁ。……その二択なら悪くない。
これがその時の私の正直な感想でした。(←看護師の非常識)
私は救急外来で沢山の患者さんを看取ってきました。
ホントに沢山の。
そうか。
私の番か。
そう思いました。
強がりとかじゃなく。
人は必ず死ぬのだと。
医者は神ではないのだと。
多分一番知ってる部署の看護師ですから。
この時私は腹をくくったんだと思います。
それ以後の治療も何も怖くは無かったですし。
まぁ、最初の治療であっさり一番の死因の間質性肺炎は綺麗に消えたので、死なずに済んだんですけどね。
と言う訳で、医師の言う「余命○年」って、結構アバウトみたいですね。
割とメジャー系の疾患や、しっかり統計のとれている疾患はある程度信頼できるのかもしれませんが、それでも「ある程度」なんですよね。
医師がこれを告げる目的は、「もしかしたらこの位しか貴方の時間は残っていないかもしれないから悔いなく生きて下さい。がんとか難病だからってアレが出来ない、コレも出来ないとかじゃなくて医師と相談しながですが、生きたいように生きて下さい」って言う願いなのかもしれないな―と、今回思いました。
むしろ大騒ぎになったのは職場の方でした。
何しろ私が入院したのは、私の職場の病院です。
直属の上司に報告し、看護部のトップに報告した時点で退職を勧められました。(怒)
これから治療しようっていう患者に、仕事辞めさせる話をしてどうする!
でもまぁ、それだけ衝撃的な数字ですよね、よく考えたら。
普通、5年生存率とかで出てくるのに、一年で40%とか言われたら。
うーん、びっくりするかも。
その対策として、肺炎像が無くなったことを確認した後、S先生がわざわざ看護部のトップの所まで、私が救急に復帰可能であることを説明に言ってくれたんです。
それで事態は収束して、私はステロイドの量が落ち着き次第、元の病棟に戻れることになったのですが、この一件はあまりにも酷いと病院中の友人に話して回りました。
散々しゃべって少し落ち着きましたが、あんまりだと思います。
コレは自分の職場の病院に入院したメリットですかね?(話して回ってストレス解消)
それと、ホントに「難病」って言ったって「治療が長期」「数が少ない」「完治の方法が分かっていない」などの状況で決まって行くもので、時代の流れと共に変わって行くものです。
症例が少ないので、検査の数が多かったり血液検査のスピッツが多かったりはしますけど、それ自体が怖いものではないです。特に私は初期段階で発見された運のいいケースです。
もし万が一、貴方の近しい人が聞いたことのない病気だと言われたら、話を聞いてあげて下さい。病名に大した意味はありません。本人が何に不自由しているかとか、何に困っているか、それを聞いて手伝ってあげて下さい。多分それが一番の方法だと思います。
余談になりますが、「来年までに死にますよ」って言われた時、私はさすがに自分が死ぬという事を意識しました。
そして、一番に思ったのが、「いつまで救急外来にいられるかな?」でした。
そして何と次に思ったのが「これで私は死を意識した物語が書けるのかもしれない」とか、場違いなことを考えていました。
私はハッピーエンドしか書かないと心に誓っているのですが、それでも「死」を目の前にした描写は出来るかもしれません。
書きはじめたのは6月からだというのに、物を書くということは私の中でこんなに大きくなっていることにも驚きでした(笑)
もしかしたら、死んでいた命です。
時間を無駄にしないよう、精一杯書きたいと思いました。
生きてるって、すごいですよね。
だけど、私はきっと生まれ変わっても看護師やってると思います。
異世界は希望しません(笑)
そしてまた、ちょこっと物語とか書くかも(笑)