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2.診断がつけば治療は出来る……事もある


 ここでちょっと皮膚筋炎について説明します。

 現在、国の指定する難病のひとつで、比較的昔からあった難病です。

 初期症状は筋力の低下を来すことが多く、他に筋肉痛や、筋肉が壊れるときに出る血液検査のデータが証拠になります。


 でも、私の場合筋肉の症状は無かったんですよ。大体ですが5人に1人はこういう人もいるようです。


 そもそも、膠原病というものは、本来細菌などの外敵を攻撃するべき抗体が、何故か自分の細胞を攻撃してしまうという理不尽系の病気です。


 私は私の味方であるはずの抗体に、呼吸に必要な呼吸筋を攻撃されていたようです。攻撃された呼吸筋は炎症をおこし本来の動きができず、あの息切れになった、ということらしいんですね。


 とにかく、難病だろうとなんだろうと、診断がつけば治療ができるんです!!



 しかし私は院内職員という気安さからか

「じゃ、明日入院の準備して来てね」

 と、病名以外は何の説明もなく帰されました。


 ……仕方ないので、自分の職場である救急外来から入院の書類を持って帰宅です。


 いやその前に、

「オーダーだけ出しておくから、CT撮っておいてね」

 と言う伝言付き。



 いやまぁ、レントゲン技師さんとは顔見知りですから、時間外であろうとも頼めば取ってくれますけど……


 いや、何か変だな。


 難病の初期治療ってこんなもんだったかな?

 そもそもこう言う告知って、家族を呼んでするんじゃなかったかな?



 若干腑に落ちないもんもありましたが、まぁでも、明日から治療にはいれるんです。

 こんなにありがたいことはありません。CTだって自分で撮りに行っちゃいます。

 ……案の定技師さんには変な顔をされましたけど、事情を話したら大笑いされました。


 ……なんか変だな??


 救急外来にも事情を話して、大笑いされた後みんなで喜んでくれました。

 私が苦しい思いをしているのを知っててくれていたから。

 治療が出来るねって、これで良くなるねって、みんなで喜んでくれたんですよ。

 (看護師の常識は世間の非常識と言う言葉があるので、あまり一般的な反応ではないかも知れません/笑)


 

 とにかく診断が難病だろうと、あんまり関係ないんです。

 治療方法が見つかって、治療に入れる。

 今まで苦しかったのが治る。

 ホントにありがたいことです。







 そして翌日から入院しての、ステロイドの多量療法(ステロイドパルス)と言う恐ろしげな治療が始まりました。


 ステロイドって『何でも直す魔法の薬』と呼ばれる一方、『副作用の総合デパート』とも呼ばれる副作用の多い薬。

 それを連日多量に使用する。

 もちろん副作用に対する監視体制も万全だが、やっぱり血糖が上がってきたり、血栓予防のための血液をサラサラにする薬の副作用で体中内出血の青染みが出たりと、いろいろする。

 でもまぁ、小さいことだ。

 あの症状が治るんだ。



 私の期待通り、ステロイドは良い仕事をしてくれました。

 副作用も出ましたが。大したことはありません。

 何しろあの息切れが治って来たんです!

 トイレに行くのも一苦労だったのが、病棟を歩きまわったり自分の職場に遊びに行ったり(←看護師の非常識)出来るようになったんですよ!

 

 やっぱり、正しい診断と治療がこれほどありがたいとは、目から鱗でしたね。




 この病気は一生治りません。


 一生、ステロイドと免疫抑制剤とは離れられないことになってしまいましたが、何より私が嬉しかったのは、この薬を飲んでいても救急外来には戻れるとS先生が言ってくれたんです!


 私が一番心配していたのはそこでした。

 同じ看護師の仕事ではあるけれど、私は救急外来が好きでした。

 私の手は、人の命を助けるためにあるんだと、私は思っていましたので。

 

 戻れる。

 

 あそこに戻れるなら、頑張れる。どんな事だって。



 私はちょっと面倒な病気になってしまったけれど、一番大事な物を失わずに済んだんです。



 救急外来に私を配属することに渋る上司を説得してくれたのもS先生でした。

 もう、足を向けては寝られません。


 しかしこのS先生。

 外来にも入院患者にも丁寧に説明して、こんな退院後の患者の心配までしてくれて。

 救急外来での印象とギャップが大きすぎます。

 今までの私の態度を土下座で謝りたい位です(笑)

 確かに日中これだけ仕事してれば、夜目が覚めないわ。納得。


 私が救急外来に復帰した暁には、夜間先生を呼ぶような事態は絶対に避けようと心に誓いました。

 代わりに皮膚科の部長でも呼んでおけば問題にならないでしょう(笑)








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