1.診断がつくまでがタイヘン!
難病ってどんなものか、知っている人ってどのくらいいますかね?
実は私は看護師でありながら詳しい所まで知らなかったんですよ。
そんな時、なんと自分が難病と言われる病気になりまして。
結構レアな経験だと思うのでエッセイにしてご紹介したいと思います。
とりあえずお固い話し、「難病」の定義から。
難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年五月三十日法律第五十号)って言うのがあるんですよ。
(↓読み飛ばし可)
『第一条 この法律は、難病(発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいう。以下同じ。)の患者に対する医療その他難病に関する施策(以下「難病の患者に対する医療等」という。)に関し必要な事項を定めることにより、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び難病の患者の療養生活の質の維持向上を図り、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。』
まぁ要するに研究の進んでいない、治らない病気の人を保護しましょうって言うありがたい法律。
今回これには助けられました。
第一条って書いている以上、第二条以降もあるのですが今回は関係ないので割愛。
興味があったら調べてみてください。難病に関する行政の姿勢が書いてあります。難病を研究している大学への支援とかそんな感じ。
それと難病って言うのは「発病の機構が明らかでなく」とか言う文言が入っているので、もちろん原因とか治療とかがはっきりした時点で難病では無くなるそうです。
見直しは五年ごと。この辺りははっきりしていますよね。
次に私自身についてなのですが。
今年の2月くらいから喘息とよく似た症状がありました。
昨年の7月にも同様の症状があり、その時は喘息の治療で治ったように見えたので、そのまま喘息の予防薬を吸入していました。
ところが、2月の喘息様の症状は全く収まる気配を見せず、仕方なく仕事は病欠になりました。
症状のメインは全身倦怠感、発熱、息切れです。
今考えると喘息じゃないんですよね。咳も痰も無かったし。
まぁとにかく、しばらくはちょっと職場に顔を出しては、息切れの酷さに帰されるという失態を繰り返しついに休職して身体を治せということになりました。
しかし、治せと言われて治るものなら、呼吸器内科の医師もそこまで悩まないでしょう。
呼吸器内科は頑張ってくれました。3割の保険が効いてなお手出しが一回四万円を越えるという高額な注射も使ってみました。
でも私の症状は酷くなる一方で、リハビリがわりに書いていた物語も書けなくなるほどでした。
私の小説書きは、長く椅子に座っているためのリハビリが始まりだったんです(笑)
なので主人公は病気も治せる治癒魔術師です(笑)
そして、そのままズルズルと日は過ぎていきますが症状は悪化の一途です。とうとうパソコンの前に座ってもボーっとしてお話が書けなくなりました。
呼吸器内科は「喘息の治療はもう全部やってるんだけどな……」と呟きます。
そんなことは私も承知の上です。
でも治らないんですよ。
この時の症状は全身倦怠感、体動時の息切れ、37.5度から38.5度の発熱。
それがだんだん酷くなって行く。
昨日出来たことが今日は出来ない。
一日のほとんどをベットで過ごす。
どう考えても変だ。
これはいよいよおかしい。
とにかく呼吸器内科に相談して次の手を考えなければ。
……でも、どうやって?
私の症状は、喘息ではないかもしれないけど呼吸器系だと思っていました。
大穴で慢性の炎症性疾患。更に確率は低いだろうけど膠原病のマイナー系。
結構レアなケースが多く簡単に検査も出来ないものが多かったので二の足を踏んでいたのですが、どうもそんなことを言っている場合では無さそうです。
こうなれば仕方ありません。
セカンドオピニオンです。
よその病院に相談に行く方法です。
私は自分の病院を信頼していましたけど、さすがに大学病院ほどの症例数はありません。
私は呼吸器内科の主治医にその事を相談しました。
主治医の先生も攻めあぐねていたようで私の希望を聞いてくれて、一言言いました。
「確かに呼吸器以外の症状がない。これでは何科に紹介すれば良いか分からない。もう仕方ないから、まず下手な鉄砲でも数を打ちましょう」
…………。
先生、正直すぎです。
一応、地域の基幹病院の部長先生なのですが。
しかし医師は神ではない事など百も承知の私は、数を打つ事にしました。
でもそのお陰で、なんとビックリ診断がついたんですよ!!!!
循環器(息切れならココ)・神経内科(だるさとか筋力低下とかならココ)・放射線内科(全身CTでの熱の原因検索)・耳鼻科(気道系ならココ)と回った後に膠原病内科(もうどうにも分からなくなったら助けてくれる先生がいる)に行きました。
ここでも、メジャーな検査項目にはっきりした異常は出なかったのですが、膠原病内科の先生が一言。
「このデータは何となくおかしい。この病院で一番マイナー系に強いのは皮膚科のS先生だから、S先生のところに行っておいで」
そう言って膠原病内科の先生はS先生に電話してくれました。
さすが院内の最後の砦、頼りになります。
しかしです。皮膚科のS先生といえば、救急外来では一度寝たら朝まで起きないと有名な方で、救急外来ではあまり評判のよろしくない方です。
でももう、苦しくてキツくて限界だった私は素直にS先生に受診しました。
S先生は30歳前後位の可愛い系の女医さんです。
そのS先生、症状を聞いて、私の肘にあった打ち身と思うほどの紅斑を見て、
「あ、皮膚筋炎ですね」
と、にこやかにおっしゃいました。
…………。
一言かい?!
さすが、院内一のマイナー好き。
この瞬間、私の半年に及ぶ正体不明の症状との戦いが終わったのでした。