表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
98/212

その1

 オータムの里の朝。

 それまで布団で眠りこけていたハヤトは、突如として上体を起きあがらせた。

 彼はその場を転がるようにして布団を脱出する。

 直後、布団に何本かのクナイが突き刺さった。


「……あっぶね」


 ハヤトが息をついたのもつかの間、彼の脚にロープのようなものが絡まり、彼の体は天井に宙づりにされた。


「うおあっ!?」

「あらあら、油断しちゃだめよ。今のをよけても、まだ仕掛けがあったのに」


 笑顔のフローラが襖を開けて出てきた。

 ハヤトは逆さまのまま、頭をかいた。


「……あの、フローラさん。これって何の意味があるんですか」

「自覚がないのかもしれないけれど……ハヤト、あなたは危機判断が遅いのよ。一体どんな環境で育ってきたのかしら?」


 ズバズバと言われ、さすがのハヤトも傷ついた。しかし事実なのだろう。モンスターなどいないあの世界で生きてきたのだ、当然そういった危機認識能力は低い。


「ともかく、それをほどいたら外に出なさい。昨日と同じところよ」


 ハヤトはすぐにナイフで縄を切り、中庭へと出る。


 すでにロバートとマヤ、ルーの三人が、輪を作るようにして“魔力”を錬っていた。

 彼らを指導していたディアナが声をかける。


「おはよう、ハヤトさん。今日も、おんばあ様とマンツーマン?」

「ええ、そうみたいです」


 ディアナはにやりと笑う。


「色男」

「そ、そういう事ではないと思いますけど」

「おんばあが直々にけいこをつけるなんて、里でも滅多にないことよ。きついことばっかり言ってるけど、それだけあなたに期待しているってことなのかもね」


 “魔力”を練るロバートが手をふるわせはじめた。


「ディアナさん、話に夢中になるのもいいんですけど、ちょっと、長くないすか。そろそろキツいんですけど」

「あっ、ゴメンゴメン。じゃあマヤちゃんとルーちゃんは休憩。ロバートくんは五分追加」

「なんでそうなるんすか!?」


 ハヤトはその様子に笑いつつも、視線をうつす。

 ミランダがひとり、必死の形相でぶんぶん槍を振っていた。

 ロバートがキツそうな表情を浮かべながら言った。


「ハヤト君、ミランダの奴は放っておけ。あいつは“魔力”とかが嫌いだし、時々ああなるんだ。今は何を言っても無駄だ」


 ディアナが彼の額にでこぴんを食らわせた。


「ここでは“波動”って呼ぶのよ、ロバートくん。間違えたからまた五分追加ね」

「な、なんでだよっ!? 俺はマヤちゃんやルーみたいに“魔力”の絶対量がそう多くないんだぜ!? 死ぬって! 死んじまう!」

「ばかねえ、だからやるのよ」


 ハヤトはディアナに礼をして、屋敷の外へと向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ