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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第12話「秋の忍び里」
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その8

 ハヤトを倒して屋敷へと侵入したアンバーは、迷うことなく松の廊下を駆けていき、ある部屋へとたどり着く。

 そこには、老婆が一人座っていた。


「おかえりなさい、アンバー」


 里の長・フローラは笑顔で言った。

 アンバーは、双剣を抜く。


「そこをどけ」

「あなたのためだったら、そうしてあげたいところだけれどね。どうして、こんなことをするの」

「あなたには関係ない」

「あるわよ」


 老婆は、笑顔を崩さない。


「だってあなたは、私のかわいい娘だもの」


 それを聞いて、アンバーの瞳が揺れる。彼女は続けて何かを言いかけたが、それをふり切るようにして、双剣を構えた。


「どいてくれっ、おんばあ! 私には精霊の力が必要なんだ!」


 フローラはゆっくり頷くと、一振りの刀を取り出した。

 アンバーは驚愕の表情を浮かべ、その場を後ずさりした。


 精霊のご神刀であった。


「最初からそうお言い。何をするつもりか知らんがね、あんたがこれを使って悪さをするだなんて、私は思わない。何か理由があるんだろう。だったら使いなさい。でもね、全部終わったら、きちんと返すんだよ」


 アンバーはそれを見て、明らかに動揺していた。彼女は少し息を荒げながら、悲しげに言った。


「どうして、あなたはいつもそうやって……」

「いいのよ。五年前に蒼き“波動”の大きな揺らぎが起こった時から、何かが変わったことだけは、私でもわかっているからね。それが関係しているんだろう?」


 アンバーは答えない、というよりも答えられないように見えた。彼女はやがて、ゆっくりとご神刀を拾いあげ、背を向けた。

 その表情は、もう、耐えられないといった風に、せっぱ詰まっていた。


「いずれ……」


 彼女は、姿を消した。


「おんばあ様! ご無事ですか!」


 すぐにロックが現れた。フローラは畳を見つめていた。


「何を悩んでいるのだか……」

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