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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第11話「砂上の遺跡」
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その6

 しばらく地下の廊下を進むと、だんだんと辺りが明るくなり、ついには本来の通路に戻ることができた。


 ハヤトがマヤらの名前を呼ぶと、少し先から声が戻ってきた。ハヤトとコリンは、小走りでそちらへと向かった。


 少し開けた場所に、マヤたちの姿があった。


「ハヤト君! 大丈夫だった?」


 マヤが笑顔を向ける。ミランダとルーに飛びかかられながらも、ハヤトは頷く。


「問題ないよ。どうやら、このダンジョンはコリンが以前来た時と変わっているらしい。元はあんな罠もなかったそうだ」


 ミランダの顔つきがかわった。


「だとすると、ファロウの時と一緒だね。まーた魔王軍のしわざってわけかい」

「……かもしれない。いるならいるで、戦うまでさ。コリン、頼めるね」

「ええ。この辺りは、変わっていないみたいだから問題ないと思う。でも、さっきみたいな見えない罠が増えているかもしれないから、そこだけは注意して歩いて、ハヤト」


 コリンは何事もなかったように歩いていったが、ハヤトたちは少しだけ面食らった。ミランダが腕を組む。


「けっ、なんだいあいつ。突然ハヤトを名前で呼びやがって。なにかあったのかい?」


 ハヤトは少しほほえんで歩きだす。


「なんにもないよ。さあ行こう」


 彼がそんな顔で言うので、女性陣は少し不満げだった。ロバートはその様子を見ていて、ちょっとだけ笑いそうになった。



 それから一時間程度、モンスターと戦闘しながら通路を進んだパーティは、開けた部屋に到着した。

 先ほどまでの通路とは明らかに異なっており、異様なほど広かった。壁が劣化している様子はなく、床もこぎれいだ。

 何より彼らを驚かせたのが、室内だというのに吹きこんで来る風だった。


「コリン、この風はなんなんだ?」


 コリンが振り返る。


「精霊様の“魔力”の影響。ここが精霊の間。そして……」


 彼女は、部屋の奥を指さす。

 ごつごつとした大きな丸い岩が見えた。その手前に小さな石でできた台のようなものが設置されている。台の上には、拳大ほどの大きさの、三角形のプレートがふわふわと浮かんでいた。


「あれが、夏の精霊様」


 ロバートが、こめかみに手を付けて台を見る。


「あの、ふわふわ浮かんでいる奴が、か?」

「違う。その先の岩。あのプレートは精霊様の依り代。あれに触ったら、生きて帰れない。話は私がするから、あなたたちは質問された時だけ答えて。精霊様の機嫌を損ねると、最悪死ぬ」


 最後の言葉は、全員の心を引き締めた。

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