その4
暗い空間の中で、コリンは目をさました。
辺りは砂だらけで、そこに半身が埋もれるようになっていた。彼女はなんとかそこから抜け出し、頭を振って砂を落とす。
「ここは……!?」
コリンは、辺りを不思議そうに見回す。
その時すぐ近くで、ざし、と砂を踏む音が聞こえた。
コリンはそちらに振り返る。
全身に包帯を巻いた人型のモンスターが四体ほど、彼女を取り囲むようにしていた。
「マミー……めんどうね」
コリンは眉間にしわをよせ、背中にくくりつけていたナイフを取り出した。
マミーが彼女にじりじりと近づいてゆき、その手をのばして襲いかかる。
コリンはそれをひらりとかわすと、その腕を取って足を蹴り、マミーを叩き伏せた。そこを二体目がねらうが、彼女はその場を飛び上がって危機を脱する。そのまま空中で回転するようにして、遠心力のきいたキックを頭にぶつけた。
華麗に着地を決めたが、その脚に包帯が絡まった。見ると、残りのニ体につながっていた。
彼女はナイフを閃かせ、それらを切り払う。そのまま攻撃に向かおうとしたが、多勢に無勢。包帯は次々と彼女の体に絡まっていく。
さすがのコリンも、汗をたらした。必死に包帯を切りつけている間に、マミーは獲物に近づいてゆく。
「ふせろ、コリン!」
声に反応し、コリンはその場にしゃがむ。
すぐ後ろに、砂だらけのハヤトが幅広の剣を構えて立っていた。
「うおおおっ!」
ハヤトが剣を横に一閃する。マミーはひるんだだけだったが、それで十分だった。
手足の包帯を切ったコリンが、マミーの一体の頭にナイフを突く。ハヤトがもう一体にとどめを刺し、二人は危機を脱した。