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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第9話「海上決戦」
65/212

その13

「破壊の、力……」


 ハヤトたちは凍り付いた船首部分に降りた。アンバーはそれを聞いて頷く。


「もうわかっているのだろう? 『蒼きつるぎ』は単なる威力の強い剣ではない。その力の本質は『破壊』にある」


 ハヤトは思い返す。

 オウルベアに始まり、ファロウの街道にビンスが作った障壁、そしてマヤの深い傷、先ほどの戦いでの「ウォール」の床。

 そう、全て自分が「破壊しよう」と認識したものばかりだ。


「原理はわからんが、私はソルテスが『蒼きつるぎ』で様々なものを『破壊』するのを、この目で見てきた」


 ハヤトは何か言いかけたが、アンバーが手で制す。


「もう時間がない。頼む、今はその力で、船を救ってくれ」

「で、でも、この状況をどうやって……」


 ハヤトがうつむくと、肩に手が置かれた。

 マヤが少しほほえみながら、こちらを見ていた。


「私を使って」

「マヤ!?」

「さっきの翼の力で、この船を運びましょう」


 マヤは言い終わる前に、自分の体から金色の翼を再度出した。

 アンバーはやはり少し悲しげに、その姿を見ていた。


「そうだな……彼女の力を媒介にするのが、一番合理的だ」


 ハヤトは少し迷ったが、すぐに考えを切り替えた。

 考えるだけ無駄だ。

 護れ。今は全力で、みんなを護れ。


「わかった。やってみよう」


 アンバーは「媒介にしろ」と短剣を一つ、彼に手渡した。

 ハヤトが目を閉じると、蒼いオーラが彼の周囲にゆらゆらと立ち上った。

 船長を含め、船に乗る全員がその姿を見ていた。


「剣よ……!」


 「蒼きつるぎ」が姿を現す。ハヤトの瞳が蒼く輝いた。

 先ほどまでと同じように、紅い紐が柄についている。アンバーはそれを見て、少しだけ目を細めた。


 ハヤトは剣を上空に掲げた。


 破壊する……。

 いったい、何を破壊すべきだろうか。

 少しばかり考えて、ハヤトは叫んだ。


「この船の『質量』を、『破壊』するっ!」


 ハヤトの手元から、蒼い光の筋がのぼる。

 光の筋は上空で無数のそれに分かれ、船を取り囲んで円を作る。

 丸みを帯びた、光の檻ができあがった。


「マヤ、頼む!」


 マヤの翼がはためき、檻の上部を掴んだ。


「いけるわ、ハヤト君!」

「よしっ、いくぞおおっ!」


 船体が大きく揺れ出す。アンバーはそれを確認すると、自分の「凍雨結界」を、ハヤトたちが立っている部分を残して解除した。


 同時に、船がゆっくりと上昇しだした。

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