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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第1話「裸の金髪少女と蒼きつるぎ」
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その2

「待て、この変態!」


 森野真矢似の少女に追いかけられながら、隼人は森を進む。

 さっきからなにがなんだか、訳がわからない。

 ひょっとして夢だろうか。だとしたらなんて悪い夢なのだろう。……いやでも、剣を向けられるまでは……。


「待ちなさい!」


 少女の声が思考を遮った。同時に、さっきと同じばちばちという音が聞こえてくる。

 次の瞬間、隼人の走る先にある木々に火花が走り、倒れてきた。隼人は思わずそこでストップしてしまう。振り向くと少女が剣を構えていた。


「観念しなさい」

「だから、話を聞いてくれって!」


 少女が剣を突く。隼人は体をずらしてそれをよける。

 剣道の竹刀とはわけが違う。体で受けたら大けがするだろう。


「ちっ! ちょこまかと!」

「やめろって!」


 隼人は必死で少女の剣をかわす。

 だが、どうにも不思議だった。

 なぜだか、太刀筋に見覚えがある。小手、面からの、フェイントを入れた引き胴。


 そうだ、森野真矢。彼女にそっくりだ。


「森野、もしかして森野真矢なのか!?」


 少女は一瞬手を止めた。


「モリノ? どうして私のマヤって名前を知ってるのか知らないけれど、混乱させようったって無駄よ」


 マヤは剣を正眼に構えた。

 どうやら人違いらしい。だが、このマヤと森野真矢の顔と、太刀筋が同じなのは確かだ。

 隼人は、なぜか少し笑みを浮かべた。


「だったら、やりようもあるってもんだ」

「せやっ!」


 マヤが間合いを詰める。

 隼人はそれを見た瞬間に判断する。胴があく。


 隼人は突進し、マヤの開いた腹に向かってタックルをかました。マヤは意表をつかれて倒れ込んだ。

 マヤが手放した剣が、ざしと音をたてて地面に突き刺さった。


「くっ……す、好きにしなさいよ」


 またしても押し倒された格好になったマヤは、悔しそうに横を向いた。隼人はすぐに立ち上がって手を広げた。


「な、なにもしねーよ! まったく、いきなりこんなもんで襲いかかってきやがって」


 隼人は剣を引き抜いた。結構重い。やっぱり本物だ。物騒なので、マヤの手に届かない方向に投げ捨てた。

 マヤはそれを見て、意外そうにした。


「変態の痴漢なのに、襲いかかってこないの?」

「だからー、それは誤解だって……」


 その時、草むらからがさがさと音がした。二人はそちらを向いた。


 熊のような、毛むくじゃらの化け物がそこに立っていた。

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