表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イモータル・マインド  作者: んきゅ
プロローグ
4/212

その4(終)

 隼人は唯の部屋を見回した。

 誰もいない。さっき確かに、返事が返ってきたはずなのに。

 隼人は小走りでトイレへと向かってドアを開いたが、誰もいない。唯は完全に姿を消してしまった。


「唯、どこだ? おい!」


 返事はない。

 だがその時、窓にほのかな光が見えた。


 そうだ。さっき確か、部屋から風が吹いてきた。


 隼人は窓を開く。密集した夜の住宅地が眼前に広がった。ほとんどの家の電気が消えている。

 そのため、すぐにわかった。さっきのほのかな光と同じものが、道を進んでいく。隼人はそこに妹の後ろ姿を見た。

 なぜか輝く唯が走ってどこかに行こうとしている。


「唯! バカ野郎、お前は病気なんだぞ!」


 声は届いていないようだった。

 隼人は慌てて階段を降り、家を出た。


 さっきの方向に、光が見える。

 隼人は駆けだした。


 唯はなぜ、外に出たのだろう。そしてなぜ、あんな風に光っているのだろう。

 そんなことを落ち着いて考える暇もなく、足を前へと向ける。

 しかしどういうことか、追いつく様子は全くない。

 唯は中学生女子。それも肺の病気持ちだ。高校生の隼人ならばすぐに追いつくはずなのだが。

 

「唯、待ってくれ! どこ行くんだよ!」


 光がふと、消えた。

 隼人は大急ぎで走っていった。



 そこは、草がぼうぼうと茂る、小さな空き地だった。


「唯! どこだ! どこ行った!」


 隼人が叫ぶと、空き地の奥が、少しだけ光った。


「唯!」


 そこには、ポニーテールの少女が立っていた。

 隼人は妹の名を呼ぼうとしたが、思わずやめた。

 確かに顔は唯なのだが、なぜか髪の色が真っ赤で、瞳の色も違う。そして妙な黒い服を着ている。


 少女は、隼人を見てふふっと笑った。


「唯……なのか?」


 少女は答えない。彼女を包む光が強くなった。


「おい、待てよ! おいったら!」


 少女の体がすうっと消え始める。

 隼人は目の前の、訳のわからない現象にパニックを起こしそうになった。

 しかし、気づいた頃には光に向かって駆けだしていた。


 少女の表情が、少しだけ変化するのが見えたところで、視界が光で塞がれた。

【次回】

少年の旅が始まる。

次回「裸の金髪少女と蒼きつるぎ」

ご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ