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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第6話「魔術師ビンスとファロウのほこら」
37/212

その5

 戦況は思わしくなかった。


 ミランダが大声をあげながら突きを連射する。しかし、ドールはそれらをすべてはじきとばし、彼女の頬に拳をぶつけた。


「ぐうっ!」


 その姿を見て、ビンスは腕を組んで口角をあげた。


「ミランダ、きみの声はやはりいい。どうだい、そろそろ僕とつき合うってのは? 強い男が好みなんだろう?」


 ミランダは立ち上がりながら、血の混じったつばを吐いた。


「例え強くても……あんたなんかごめんだよ」

「残念だ。じゃあ、死ぬしかないね」


 ロバートは、ルーを守るようにして人形と戦っている。


「おチビ。あの男を魔法で狙えるか?」


 ルーは珍しくぶすっとした表情で、すでに“魔力”を溜めている。


「あの人……“魔力”はすごいけど、ハヤトを傷つけたの。絶対許さないの!」


 ルーは「エッジ」を生成し、発射する。

 しかしビンスはそれを“魔力”を込めた手で軽々とはじいた。


「人獣のお嬢さんは“魔力”の錬成が甘いね。だが筋はいい。末恐ろしいよ」

「えっ……!」


 ハヤトとマヤは、二人で連携する。


「ハヤト君、次は左右で揺さぶって! 剣が出せない以上、冷静になるのよ」

「わかってるよっ! てやぁあああっ!」


 ハヤトが人形の横から斬撃を浴びせる。

 人形は左腕でそれを受け止めた。ガン、という重い音とともに火花が散る。


「くそ、堅いっ!」

「だったら!」


 マヤの腕から電撃がほとばしった。握った手を人形にぶつけ、電撃魔法を直接浴びせる。

 だが、効き目はない。人形はひるむことなく、マヤの腹を殴って吹き飛ばした。

 ビンスはそれを見て額に手を当てた。


「あぁ、残念! 僕の『ドール』に電撃は効かないんだよね」


 全員が圧倒されていた。

 ビンスの人形「ドール」たちの戦闘能力は、いずれもハヤトたち一行を上回っていた。

 ハヤトは初めての苦戦に、焦りを感じていた。

 こんなところで負けていられない。

 はやく、「蒼きつるぎ」を出さなければ。


「ちくしょうっ! 剣よ、どうして出ないんだ!」


 ビンスがうんうんと頷く。


「だよね。おかしいよね。だってさっき、すごい量の“魔力”を出してたじゃない。もしかしてあれで全部使っちゃったのかい? だとすると、困ったな」


 ビンスはハヤトのほうを向きながらも、腕を掲げて右方向から飛んでくるルーの「エッジ」をはじく。


「お嬢さん、ちょっとうざったいよ」


 ルーは構わず、もう一度「エッジ」の詠唱を始める。だがビンスが指をはじくと、彼女の足下の床がどがんと突きあがった。


「ルー!」


 ハヤトは人形の攻撃をかわしながら、空中に投げ出されたルーのほうへと走って受け止めた。


「大丈夫か!」

「び、びっくりしたの」


 ビンスはそれを見て、何かを思いついた顔をした。

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