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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第6話「魔術師ビンスとファロウのほこら」
34/212

その2

「アタシにまかせな!」


 ミランダは槍をぶんと回すと、地を蹴って駆けた。

 空中を飛ぶコウモリのようなモンスター、バットは数匹で抵抗しようとしたが、槍は正確にその体を貫いた。


「す、すげぇな、ミランダさん」


 ハヤトは圧倒されっぱなしだった。洞窟に入ってからのエンカウントはすべて、この一連の流れだけで終わっていた。

 ミランダは自慢げに笑いながら武器を背にかけた。


「へへっ、ハヤト。惚れたかい?」

「ミランダ、残念だがハヤト君は、お前の常人離れした馬鹿力に引いているぞ」

「余計なこと言うんじゃないよ!」


 ミランダはロバートの冷静なつっこみに、強烈なラリアットで返事した。


 洞窟の中は、城のような外観とは違って少し狭苦しい。しめった土のにおいが充満している。

 だが、そこかしこがうすく光っており、洞窟というよりは、月明かりに照らされる夜の街道のようだった。


 マヤが辺りを見回した。


「なんだか、ちょっとふしぎな感じね。ロバートさん。ここはもともと、こういう場所なんですか?」


 ロバートは首筋を抑えながら立ち上がった。


「いてて……いや、前は真っ暗で狭い洞窟だった。もう二十分は歩いてるだろう? はっきり言って別物だよ。一体なにがどうなってるのやら、だ」

「ここ、“魔力”がすごいの」


 ルーがつぶやく。耳が色んな場所に向かってぴこぴこ動いている。


「ちょっと、ハヤトが『けん』を出す時と似てるの。きっとこれを作った人はすごい“魔力”の持ち主なの」


 ハヤトは地面を見た。

 確かに、「蒼きつるぎ」の輝きと少し似ている気がする。

 やはり、ユイのしわざではないだろうか。


「“魔力”ねぇ。じゃあやっぱりビンスだね」


 ミランダが言った。


「どういうつもりなのかは知らないけど、アタシをだましておいて、ただで済むと思ってたら大間違いさ。さあみんな、行くよ!」


 ハヤトは思わず目元をつねった。

 果たしてユイなのか、そのビンスという男なのか。はやくはっきりしてほしい。

 そして、できればユイであって欲しい。……とにかく会って、話がしたい。

 この世界や「蒼きつるぎ」のことについて、少しはわかるかもしれない。そう思うと彼の気持ちははやるばかりだった。


「ミランダさんの言うとおりだ。こんな洞窟、さっさと攻略しちまおうぜ」


 駆け足ぎみに歩いていくハヤトを、マヤが心配そうに見つめていた。

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