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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第5話「肉食系お姉さんと謎の障壁」
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その4

 ハヤトは地べたに広げたスクロールに手を置いた。


「たしか意識を集中させて、手に力を集めるイメージ……だったな」


 実践してみると、手の平から少しだけ光が漏れた。ハヤトは口を開いて驚嘆した。


「おおっ、今の感じでいいのか? こいつは、案外早くできるようになりそうだぜ」


 だが、どうしてもむなしかった。


 自分以外の人間は、さっきの障壁で何か作業をしている。

 ハヤトは、「蒼きつるぎ」が出せなかったことでマヤから戦力外通告を受け、さっき買ったスクロールで魔法を練習するように言われてしまったのだった。


「ちぇっ、自由に出せる訳じゃないんだな。出る時は自然に出るもんなんだけどな……」

「なあ、それってホントなのか?」


 ハヤトが驚いて振り返ると、ミランダがいた。

 無言でいると、彼女の眉間にしわが寄った。


「おい、聞いてんのか?」

「は、はいっ……」


 ハヤトは気のない返事をした。彼にとって苦手なタイプだった。

 ミランダはずかずかと近づき、ハヤトのスクロールを見た。


「へえ、魔法の練習してるのかい。最強の『蒼きつるぎ』があるのに?」

「ええ。魔法を使えるようになりたくて」

「それより、『蒼きつるぎ』を出す練習をしたほうがいいんじゃないのか?」

「ま、まあ確かにそうなんですけど、あれはどうやって出すのか、いまいちわかってないんです」


 ミランダはしばし黙っていたが、ハヤトを見て言った。


「この間、ちょっとした噂を聞いた。なんでも『蒼きつるぎ』の勇者が、ベルスタでレッド・ドラゴンを一刀両断にしたとか……それって、もしかしておまえのことなのか?」

「え、ええまあ」


 するとミランダはハヤトを立ち上がらせ、両肩を掴んだ。


「ちょ、ちょっとミランダさん?」

「やっぱりそうか。やっぱりか」


 ミランダはにやりとした。


「アタシってさ……結構勘が強いんだよ。だから最初に見た時、なんとなくそんな気がしていた」

「は、はあ」


 ミランダは続ける。


「あんた、名前なんて言ったっけ」

「ハヤトです、ハヤト・スナップ」

「よし、ハヤト……」


 ミランダは、ハヤトに顔を近づけて言った。


「あんた、アタシの男になれ」

「は、はぁっ!?」

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