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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第4話「ケモ耳少女は子作りしたいの」
25/212

その7(終)

 外に出たマヤとルーは、屋敷がねじり斬られる様子をただ見ていたが、周りの景色が歪みだしたのに気がついた。


「どういうこと!?」

「障壁で作った世界の“魔力”が、なくなるの……」


 屋敷が崩壊を始める。ハヤトと、木の根のようになった剣が空中に残っていた。

 男の声がかすれるように聞こえた。


『こ、こんな……ことが』

「あんた自身が、屋敷の形をしたモンスターだったってワケだな」


 剣の姿が元に戻り、ハヤトは着地する。すぐにマヤが駆け寄った。


「ハヤト君、この場所はさっきの屋敷が作った世界らしいの! 急いで脱出よ!」


 見ると、景色のそこかしこに亀裂が入っていた。


「で、でも出口はどこにあるんだ!?」

「こっちなの」


 ルーが声を上げて指をさした。亀裂の中に、少し色の違う空間があった。


『ま、まてルー……』


 屋敷の声が聞こえた。


『人間、どもに……ついていって……何になる……。……だからわしに金をよこせ……金を……さもなくば殺すぞ……』


 ルーははっとしながら屋敷をしばらく見ていたが、ハヤトがその頭にぽんと手を乗せた。


「ルーちゃん。やりたいことを、やりな」


 ルーはハヤトを見上げた。

 彼女は頷くと、さっきの色が違う障壁の亀裂に向かって駆けだした。


「えーい!」


 ルーが障壁を蹴ると、空気がはじける音とともに亀裂が砕け、さっきまでいた森が姿を現した。ルーは外へと飛び出した。ハヤトたちもそれに続く。


『ルー、ルー……か、ね』


 そのせりふを最後に、屋敷のモンスターは息絶え、障壁の世界は閉じられた。




「でも、どうしてあの屋敷はお金をほしがったんだろう。屋敷なんだから、金なんていらないはずだろ」


 たき火にあたりながら、ハヤトが言った。マヤが薪を投げ入れた。


「断言はできないけど、お金って、人の“魔力”を宿しやすいの。欲望に直結するものだし、いろいろな人の手に渡るからね。きっとあの屋敷は、それをエネルギーにしていたのかもしれないわ」


 隣にはルーが座っている。


「それで、ルーちゃんはこれから、どうするんだ?」


 ルーはしばらく答えないでいたが、耳をぴくぴくさせながら立ち上がった。


「ルーは……」


 彼女はハヤトに向かってぽんと飛び、彼に抱きついた。


「ルーは、ハヤトと子作りしたいの!」

「へっ!?」


 ハヤトとマヤは、同時に言った。

【次回予告】

少年は自分の可能性と、むき出しの欲望に出会う。

順調に、順調に、運命は進んでいく。

次回「肉食系お姉さんと謎の障壁」

ご期待下さい。

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