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イモータル・マインド  作者: んきゅ
最終話「史上最大の兄妹喧嘩」
206/212

その6

 二人が剣を付き合わせたところで、「時止め」が解除される。

 隼人がたたき壊した城壁の残骸が、そこかしこに散らばった。


「邪魔」


 唯はその一言だけで、それらの存在をすべて「破壊」した。

 隼人が床を踏み切って攻撃に出た。


「『蒼きつるぎ』ッ! このバカな妹を止めるまで、最後まで付き合ってくれ!」

「『ゼロ』に意志はないよ、お兄ちゃん。『これ』は、単なる思念の集まり。だからそんな風に言ったからって、強くなることはないの」


 二人の周囲数キロが、波を起こすようにして猛烈な勢いで爆発を始める。

 互いの「完全無詠唱」による魔法がぶつかり合い、相殺しあっているのである。


「使い方は簡単よ。従わせればいい。『紅き』――」


 唯の持つ「ゼロ」が剣の形であることをやめ、“魔力”の塊となって縦方向に伸び始める。


「『槍』!」


 隼人はすんでのところでその突きをかわしたが、「鎧」の肩部分が弾け飛んだ。「紅き槍」は既に、姿を変えている。


「『斧』!」


 「スポット」の空間が、大きく縦に割れる。

 隼人は宙を飛んで避けた。


「はい、逃げても無駄。『鞭』!」


 数百本に枝分かれした「紅き鞭」が、「グローボ」と隼人の足を掴む。


「その見苦しい『球』を破壊!」


「グローボ」は全て鞭に縛り上げられ、割れるようにして消え去ってゆく。隼人の体は地へと叩き付けられた。

 唯は、攻撃の手を緩めない。


「『ナイフ』」


 「紅きナイフ」が次々と飛び、隼人の体に突き刺さってゆく。隼人は大声を上げながらも立ち上がり、地に剣を突き立てて姿を消す。

 唯は、兄を嘲笑した。


「パクりはダメだよお兄ちゃん。『時止め』のシステムを破壊」


 目の前に、「つるぎ」を振りかぶっている隼人が現れる。

 隼人は、やはりと思った。


 確かに、唯と自分の能力は同じものだ。

 だが、先ほどまでに比べて、その力の差が、どんどん開いている。

 本気か、そうでないかなどというレベルでは、ない。


「くっ……!」

「次はその『鎧』だッ! 『銃』!」


 唯は「紅き銃」の引き金を引く。

 弾丸は「鎧」を突き破り、隼人の体へと届いた。


「ぐああッ!」

「邪魔なんだよ! 私のお兄ちゃんにこんなものを着せやがって! ミランダ! てめえは後で生き返らせて、もう一回殺すからな!」


 銃弾が次々と「鎧」をはがしてゆく。

 隼人は「グラスプライン」の布で障壁を張った。

 唯はそれを見て、いらついた様子で「銃」を大きな「鋏」に変えた。


「私の世界にいたコリンは、もっといい子だった!」


 すぱん、とあっけなくまっぷたつにされた布の先に、隼人はいなかった。

 唯はため息をついて、「紅き弓矢」を上空に放つ。


「知覚できなくても、いるってことがわかっていたら無駄じゃん! グランお兄ちゃんの方は、もっとうまくそれを使ってたよ」


 矢に貫かれた隼人が、再び倒れる。

 隼人は確信した。


「やっぱり、そういうことなのか……!」

「そう。そういうことだよ、お兄ちゃん」


 唯は再び、「レッド・ゼロ」を「紅きやいば」へと戻し、右手に掴む。


「時間切れ――。お兄ちゃんの分の『レッド・ゼロ』が、覚醒したの」


 左手には、全く同型の剣が握られていた。

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