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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第19話「強襲、現実世界」
176/212

その2

 リブレが地を蹴ると、その姿が消えた。

 ハヤトは首を右方向に向け、その場にしゃがみこんだ。空気が裂ける音だけが聞こえる。

 剣を振り切ったリブレがそこにはいた。


「さすがはハヤト。もはや僕の動きが見えているらしいね」

「お前等に鍛えられたからな。“魔力”がだだ漏れなんだよ、お前の攻撃は」

「だからこそ速い。それが僕の力だ。僕が“魔力”を込めれば込めるほど、君は追いつけなくなる。さあ早く『蒼きつるぎ』を出せ。次はこんなもんじゃないぜ」


 リブレの姿が、再び消える。

 ハヤトは少しばかり躊躇した。

 『レッド・ゼロ』。世界を破壊するという現象を、自分はあの塔で引き起こしてしまった。

 同じことが、起こりえないだろうか。


「出しなさい、ハヤト!」


 だが、ビンスの攻撃を避けながらリノが声をかけた。


「問題ないわ! だからこそ、こいつらはここに来ている!」

「……それ以上しゃべらないでもらえるかな。リブレ、引き離すよ。頼んだからね」


 ビンスがその隙をつき、「ドール」で彼女の体を掴んで屋上から遙か遠方に飛ばした。


 ハヤトはその言葉を信じるほかなかった。でなければ、「ブレイク」能力には対抗できない。

 彼は胸のポケットから、一本のシャープペンシルを取り出した。

 “魔力”を込めると、ペンは輝き出し、一振りの剣となった。


「やるしかない……! 絶対にお前たちの好きにはさせない!」

「いいぞ! その感じだ! あの時の興奮が、悔しさがよみがえってくる! ぶっ殺してやるぞ、ハヤトッ!」




「どうしてだろう」


 同時刻。

 森野真矢は、自分の行動に疑問を感じていた。


 竜、だろうか。アニメや小説、ゲームなどに出てくる、あれだ。翼を生やした、想像上の生き物。


 折笠隼人と別れて家に向かっていた彼女は、近くのマンションでそれが飛んでいる光景を目の当たりにした。

 周囲を歩いていた人たちはパニックになって悲鳴を上げたり、携帯電話で写真を撮っていたりと反応は様々だが、誰もがその光景を異様なものとして捉え、恐怖していた。


 だが彼女は、どうしてかその非現実的な光景が一目で納得できた。

 そして、歩いていた。マンションに向かって。

 そうしなければならないような気がしたのだ。


 自分でも、なぜそんな風に感じて、今こうやってマンションの入り口に向かっているのか、理解できない。

 しかし、その行動には奇妙な確信があった。

 怖いと一瞬思ったりもしたが、それ以上に彼女は強く感じていた。

 行かなければならない。


「折笠……ハヤト」


 彼女はそうつぶやきながら、歩き続けた。

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