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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第19話「強襲、現実世界」
175/212

その1

 その光景は、異様でしかなかった。

 ドラゴンが飛んでいる。しかし……そのすぐ下には、マンションがある。日本家屋がある。車が走っている。鋼鉄製の橋が架かっている。

 自分の世界に、あのドラゴンが飛んでいる。

 ハヤトはその不可思議な景色を、驚きの表情で眺めていた。


「どういうことだ!?」


 魔王・リノがため息をつく。


「本当に、ルール違反にも程があるわ。世界を越えて攻め込んでくるなんて……。でもハヤト、もしあれにソルテスが乗っていなかったとしたら、相当まずいわよ」

「そんなこと言ってる場合じゃないっ! もしあいつらが少しでも暴れたら……それだけでこの世界がめちゃくちゃになっちまう!」


 ハヤトは“魔力”を足に集中させると、窓を踏み切って大きくジャンプする。リノもそれに続く。


「待ちなさい。まだあなたには知らなきゃならないことが残っているわ」

「あれをどうにかするのが先だっ!」

「まったく……つくづく対応者ね、あなたは」


 二人は止まっている車の上に着地し、もう一度飛んだ。



 ドラゴンから高いマンションの屋上に、一人の男が降りたった。


「へえ……ソルテスやお前が言っていた通り、不思議な世界だな。これだけの人間がいるのに、“魔力”を全く感じないなんて」


 リブレ・ラーソンが剣を抜く。

 続いて降りてきた、ビンス・マクブライトが笑った。


「でも、この世界はこの世界で面白いよ。独自の情報技術が発達しているんだ。中でもコンピュータという装置を使ったインターネットと呼ばれる情報伝達技術は、“魔力”のそれを遙かに凌駕しているとも言えるね。何度か使ってみたけど、物質の構造からして違っていた。この世界の在り方は、どこか内向的で実に興味深い」

「難しい話はやめてくれないか。お前はそうやって、他人にわからないことを敢えて話して喜ぶ悪い癖がある。言っとくがね、僕はお前のことなんて大嫌いだし、ハヤトと戦えさえすればそれでいいんだ。だからさっさと奴を探してくれ」

「ああ、わかってるさ。……ここまで大げさに登場したんだ。正義感が強くてまっすぐな彼のことだから、バカみたいに必死な顔をして、出てきてくれると思うよ。……そらね」


 ビンスの言葉に合わせるようにして、マンションの屋上に向かって二つの人影が現れ、着地した。


「魔王軍ッ! やっぱりお前らか!」

「ハヤト、もう少し考えて行動しなさい。物陰から様子を見るとか、手段はもっとあったはずよ」


 ハヤトを諭すリノを見て、ビンスが目を細める。

 リブレはにやりと笑って、剣を構えた。


「そうだよハヤト、また僕たちだ。僕たちを止めないと、君のこの世界が大変なことになるぞ。君のお友達もたくさんいるんだろう? 殺して回るのもいいかもしれないな」

「させるかよ、そんなこと……!」

「待ちなさい」


 “魔力”を練り始めたハヤトを、リノが制止する。


「にせ魔王軍のお二人さん。ソルテスがいないってことは、あなたたちは『時間稼ぎ』ってことになるのかしら。『レッド・ゼロ』のかけらを、あの塔で手に入れたのね」


 ビンスが“魔力”を練る。


「その語り口! やはり魔王か。お前は『どっち』だ?」

「どっちもこっちもないのよ。魔王は魔王。あなたたちに縦横に斬られた敗軍の将ってわけ」


 ビンスは『ドール』を召還した。


「本当にここに来てよかった。リブレ、君はハヤトとやりたい、そうだよね?」


 リブレは既に紅いガラスのようなものを掴んでいた。


「行くぞ、ハヤトォォッ!」

「バカで助かるよ、本当に。じゃあ、魔王の相手は僕ってことで!」


 二人が駆け出す。

 ハヤトとリノは身構えた。


「ハヤト、詳しくは後で説明するけど、とにかく急いでッ!」

「当たり前だッ! ロバートさんの敵を討たせてもらうぞ、魔王軍ッ!」

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