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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第17話「聖域の塔 運命のはじまり」
153/212

その2

 まさに巨漢と呼ぶにふさわしい男だった。

 肩幅は先ほどまでいたグラン・グリーンの倍ほど。

 その腕や脚は、丸太のように太い。


 ミハイルと呼ばれたその男は、腕を上げて構えた。


「おれはミハイル・テツナーという。……そういえば、グランの奴から聞くのを忘れていた。きさまら、どちらが勇者だ?」

「……俺だ」


 ハヤトが剣を握りなおして言う。

 だが、ミハイルは目をぎょろりとさせながらマヤを見て笑った。


「いい女だな、お前。殺したくてしょうがねえ。たいそうキレーな声を出すんだろうなあ、オイ」


 二人は思わず、汗をにじませた。

 話が全く通じていない。これまでの魔王軍とは違った不気味さがある。


「いろんな方法を試したいな……まずいくつか手足を折るところから始めようか……。でも、それだけで死んじまったらつまらねえしな。気絶させてから、料理するって手もある」


 ミハイルがぶつぶつ言っている間に、ハヤトとマヤは目配せして、頷きあう。


「そうだ。まずそっちの男のほうで試してから――」

「『ヴォルト』ッ!」


 ミハイルが言い終わる前に、マヤの電撃魔法が炸裂する。

 「ブレイク」や秋の里での修行を経たこともあってか、その威力は以前の数倍にも上がっている。轟音が通路に響き、階段を破壊する。


 ミハイルの背後には、すでにハヤトが「空踏み」で回っている。

 彼は“魔力”を自分の剣に集中させる。

 「蒼きつるぎ」は使えないが、彼の“魔力”技術も、里での修行で大幅に成長している。


「いくぞッ! 『剛刃』!」


 ハヤトの言霊と共に、剣そのものを囲うようにして大きな“魔力”の刃が姿を現す。空を踏み、ハヤトは斬撃をミハイルに向けた。


「うらあッ!」


 だが、ミハイルは怒号と共に“魔力”を放出した。

 ハヤトの「剛刃」は一瞬にして砕け散り、上方に体を投げ飛ばされる。

 マヤは床に刀を刺して突風をこらえた。


「まだどうするか考えてるところだろうが! 邪魔するんじゃねえ! ブチ殺すぞ!」


 ミハイルは狂ったように叫んだ。

 なんとか着地したハヤトは、すぐに体勢を立て直す。

 だが、思わず言った。


「マヤの電撃魔法が効いてないっていうのか……!?」

「魔法!? 何のことだ! 知らねえぞ、おれは!」


 ミハイルがのしのしと階段を登ってくる。

 ハヤトは再び“魔力”で大剣を作り出す。


「マヤ、合わせてくれ!」

「ええっ!」


 ミハイルを囲む形になった二人は、同時攻撃をしかける。

 ハヤトの袈裟斬りがヒットしたところで、加速するマヤが逆方向から斬撃を浴びせる。

 二人の連携がリズムよくバシバシと決まる。


 だが、ミハイルはそれをものともしない。

 武器の攻撃が、全く通っていないのだ。

 二人はそれに驚愕しつつも、全力で攻撃を続けるしかない。


「お前等、おれをなんとしても怒らせたいらしいな……」


 ミハイルは、眉間に皺をよせて腕に力を込めた。

 ハヤトはそれを見て即座に判断する。


 この攻撃は、危険だ!


「うおおおおおおーーーッ!」


 ミハイルは大振りのストレートをハヤトに見舞う。

 回避に集中していた彼は、空を踏んですでに空中にいた。


 その刹那、床に大きな穴が開いた。

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