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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第16話「ザイドの聖域」
149/212

その7

 ミランダとコリンのふたりは、石造りの通路を歩いていた。


「あーあ、どうしてこんなことになるかね、まったく」


 ミランダがけだるげに言う。コリンは無視して歩き続ける。


「ハヤトはどこ行ったんだろうなあ。おーい、みんなー!!」


 彼女の声はむなしく響いた。


 ループするエントランスのドアをくぐった二人は、気づけばこの通路に立っていた。

 一度は脱出を喜んだ二人ではあったが、二人の背後には出口がなかった。彼女らはは唐突にその場所にワープしたことになる。

 ならばと、続いてハヤトたちが現れることを期待したのだが、一時間、そして二時間ほど待ったところで、「おそらくパーティが分断された」という結論に至った。


「ルーのやつが悪いんだよ。アタシとあんたを並べて、どうしてあんな風にさ」

「私にイライラをぶつけないで。うざったい」


 とうとう、コリンが反撃に出る。


「これがソルテスたちの目的なら、奴らの思うつぼ。頼むから、黙って歩いて」

「これが黙っていられるかっての!」


 ミランダのイライラは頂点に達しつつあった。


「アタシはあんたとは違うんだよ! ハヤトといっしょにいなきゃならねえんだ! アタシはあいつと……」

「そう思うのなら、急ぐのが一番だと思う」

「あんたには、わからねえかもしれないけどなあ!」


 その時、通路の先から何者かが現れた。

 緑色の鱗をまとい、は虫類を思わせる外見だが、骨格はほぼ人間と同一。その手には剣を持ち、腕にはバックルをつけている。


 リザードマンと呼ばれているモンスターである。


 二人はそれを見るや、即座に戦闘態勢に入る。

 槍を構えたミランダがタックルをかけ、バックルを構えるリザードマンを壁に叩きつける。


 ミランダはリザードマンの右足に槍を突き刺すと、その場からステップして退いた。


 すでに、コリンが“魔力”の糸を重ね合わせ、大きな拳のようなものを作り上げていた。



「わかるよ」


 リザードマンが消え去ったことを確認したコリンは、唐突に言った。

 ミランダはきょとんとした。


「……何が?」

「あなたが、『わからねえかもしれないけど』って言ったこと。ハヤトには、手助けする人が必要。で……できれば私も……そうしたいと、思ってる……から」


 コリンはそこで、きびすを返して通路を歩いていってしまった。

 ミランダは、頭をぽりぽりかいた。


「さっきの戦闘、アタシら、何も言わずに連携したよな」

「うん。だいたいあなたの動き方は把握しているから、それに合わせただけ」

「なんつーか、アタシらってさ……いや、やっぱりいいや」

「うん、それが賢明。急ぐのが、一番だから」


 二人は通路を歩いていった。

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