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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第15話「再会」
142/212

幕間「妹と兄」

「こんな所にいたのか、マヤ。探したぞ」


 夕暮れ時の草原で、青年は少女に声をかけた。

 マヤは青色の目元をはらしながら草原に腰掛け、ベルスタの城壁と、さらに先に見える茜色の空を見つめていた。


「やだ」


 マヤは彼のことを見向きもせず、一言だけ言った。

 青年は、眉を下げて彼女の隣に座る。その目は優しかった。


「マヤは、今年いくつになった」

「九歳」

「だったら、わかるはずだ。兄さんは、行かなきゃならないんだ」

「やだ!」


 マヤは、立ち上がって兄を見る。


「どうして兄さんが行かなきゃならないの!? 別の人だっていいじゃない! どうして、どうしてグラン兄さんなの……」


 グランは、泣きじゃくる妹の頭をなでた。


「ごめんな……。でも、『蒼きつるぎ』の勇者と一緒に行けば、魔王を倒すことができるかもしれない。そうすれば父さんと母さんの敵も取れるし、魔族がいなくなって、みんなで幸せに暮らしていける。マヤだって、あの泉で水浴びしたいんだろう?」

「でも……兄さんがいなくなっちゃったら、マヤはどうすればいいの!? マヤも、マヤもつれてってよ……」

「マヤ、わかってくれ。危険な旅なんだ。お前を連れて行く訳には行かない」

「兄さんが死んじゃったら、マヤはどうすればいいの」

「大丈夫。兄さんは死なないよ」


 グランは笑顔を見せた。

 金色の髪が風に乗って、ゆらゆらと揺れた。


「きっと世界を平和にして、ベルスタに帰ってくるよ」

「本当?」


 マヤは不安げに兄を見つめた。

 グランは腕をクロスすると、その場に“魔力”の塊を作り出した。


「兄さん……」

「絶対に、帰ってくる。兄さんの電撃魔法の強さを、魔族の奴らに見せつけてやるんだ。父さんたちを殺したあいつらを、根絶やしにしてやる」


 グランが腕をはじくと、“魔力”の塊がはじける。轟音と共に雷が起こり、龍を象った魔法が天へと昇っていった。


「きれい……」


 マヤはそれを見て、涙を止めた。


「そして、笑顔で、お前の前に戻ってくる。約束するよ」

「……絶対だよ?」

「ああ。もちろんだ。マヤも電撃魔法の練習、続けておくんだぞ。魔王が死んでも、モンスターがいなくなるわけじゃないんだ。きっとその力はベルスタのために必要になる」

「うん」

「帰ってきたら、また二人で練習しよう。父さんが残した電撃魔法を、世界一にしような!」

「うん!」


 二人は、夕暮れの中を歩いて城壁へと戻っていった。





「……うそつき」


 ザイド・スプリングの廃屋で目覚めたマヤは、力なく言った。

【次回予告】

少年たちは、悪意と戦う。

少年の可能性が運命を切り開いた時、

悪意はどうして、そんな笑顔を見せるのか。

悪意はどうして、そんな道を進むのか。


次回「ザイドの聖域」

ご期待ください。

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