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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第15話「再会」
141/212

その13(終)

 折れたビンスのナイフが、地面へと落ちた。


「やあ、やっぱりねえ」


 ビンスが右肩を押さえながら言った。彼の右手は、二の腕から先が吹き飛んでなくなっていた。


「こ、これは!?」


 コリンが声を上げる。

 ハヤトの体から、紅色の“魔力”が吹き出していた。

 彼の体を拘束していた「ドール」は、跡形もなく消え去っていた。 

 ハヤトは、自分の体から溢れる“魔力”を見て声をあげた。


「なんだよ、これ!? 俺、こんなの出してないぞ!」

「ハヤト、いい感じじゃないか。まさかこんなに禍々しく成長しているとはねえ。印の付け甲斐もあるってものだよ」


 ビンスは素早く左腕を振り、“魔力”を練る。

 コリンが反応し、なりふりかまわず「糸」での攻撃を敢行しようとしたが、ビンスの「ドール」がそれを防いだ。


「残念。最初から待つだけ無駄だったんだよ。せいぜいそこで僕の『ドール』と遊んでいてくれ」

「ちいっ!」


 コリンを後目に、ビンスは練り込んだ“魔力”をハヤトへと向ける。


 ハヤトは抵抗しようとしたが、なぜか体が動かない。


「ハヤト。その力は危険だ。君が使うにはまだ早い。だから僕が、君のその力を封印してあげよう。『蒼きつるぎ』も使えなくなるけど、我慢してよ。僕は君のためを思ってこうするんだからね」

「なっ……どういう……!」


 ビンスは笑いながら、“魔力”を込めた手でハヤトの胸を突いた。


 ハヤトの体に衝撃が起こり、胸に魔法陣のような紋様が刻まれる。

 同時に紅い“魔力”が消え、ハヤトは膝をついた。


「ぐあっ……!」

「それでは、ここで決め台詞といこう。それを解除してほしかったら……そして、僕らのことを倒したいのなら、聖域においで。何人になるかは未定だけど、僕たちは、君を待っている」


 ビンスは羽織っていたローブをはためかせ、体を覆うようにした。

 吹き飛んだ腕が、復活していた。


「それとは別に、ルーちゃんのことを教えてくれる時は、僕一人に頼むよ。どうか、僕一人にね」


「それじゃ、また」と、またも友人と別れるかの如く言い放ったビンスは、その場から姿を消した。

 同時に、コリンと戦っていた「ドール」が消える。彼女はすぐにハヤトのほうへ駆け寄った。


「ハヤト!」


 地面に伏すハヤトは、薄れゆく意識の中で、悔しげに言った。


「あいつらの目的は、一体なんだっていうんだ……」

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