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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第15話「再会」
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その9

 ミランダは街中を駆けめぐり、モンスターを次々となぎ倒していた。


「ちいっ、雑魚が群れやがって……」


 ロバートが彼女の肩に手をおく。


「無理するな、ミランダ。どうやらこちらが優勢のようだ。だいぶ数も減ってきた」

「でも、わかってんだろ。まだあいつがいるんだよ」


 二人が空を見上げると、灰色のドラゴンが飛んでいた。

 ミランダは、思い切り息をすいこんで言った。


「降りて来い、クソ野郎ッ!!」


 それに反応してか、ドラゴンから一人の男が飛び降りた。

 地面へたどり着く直前に“魔力”が衝撃を吸収し、男はふわりと着地した。


「ご指名ありがとう、ミランダ。久しぶりだねえ」


 ビンス・マクブライトはにやりと笑みを浮かべて手をひろげた。

 ミランダとロバートの二人は、武器を構える。


「ビンス……。やっぱり生きていやがったか」

「当たり前じゃないか。君を置いて僕が遠くにいくはずないだろう」


 ロバートが間髪置かず矢を放ったが、ビンスの目の前で静止した。

 ビンスはうすく笑いながらそれをひょいとつまんで捨てた。


「やめろよロバート。元々は仲間だろ」

「だが、今はありがたいことに敵同士だ」

「相変わらず君たちはシンプルでいいな。だから魅力的だし……むしょうに壊したくなるんだよね」

「グダグダ言ってんじゃねえよっ!」


 ミランダが駆ける。

 ビンスは即座に地面に手をつき、ドレスを着た人形「ドール」を召還する。彼の魔術はこれを操るものである。


 ミランダとビンスの「ドール」ががちりと組み合う。


「彼女は、前に君たちと戦った時よりも九つほどレベルが高い、僕のお気に入りだ。ハヤトの『蒼きつるぎ』でも、倒すのは……」


 ビンスが言い終わる前に、ミランダはドールの体を抱きしめるようにしてへし折った。


「『蒼きつるぎ』が、なんだって?」

「……へえ。こいつは驚いた。どうやら君はぶじ『ブレイク』したらしいね」

「そういうこった。能力は秘密さ」

「別にいいさ。それがわかっただけで十分だからね。とりあえずミランダ、君はしばらくそこに寝ていてくれ」


「ミランダ!」


 ロバートが叫んだ時には、もう遅かった。

 バラバラになったはずの「ドール」の手足が、彼女の手首、足首をつかんで地面に倒した。

 ロバートがリカバリに入ろうとすると、背後から別のドールが現れ、彼を拘束した。


「くそっ!」

「ロバートは反応がだいぶ遅いな。君はまだと見た。これで用事は済んだ。また会おう」


 ビンスはその場に手をつくと、瞬時に姿を消す。

 同時に、空中に待機していたドラゴンが動き出す。どうやら空へと戻っていったようだ。


「くそっ、ナメやがって! ここでアタシらを殺さずに見逃したことを、絶対に後悔させてやるからな!」


 ミランダの叫びはむなしく響いた。

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