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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第15話「再会」
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その7

 体が街へと引き寄せられていくようにして、落ちていく。

 以前にもこんなことがあったなと、マヤは思った。

 そうだ。オータムの里にいた頃、いざという時にパニックを起こさないようにと、何度か空中で能力を解除する訓練をした。


 だけれど、そんなことをする必要はなかったのかもしれない。

 いざという時は今まさに、やってきている。

 しかし、どうしても訓練の成果を発揮しようとは思わなかった。


 体が、重い。

 風がびゅうびゅうと耳に吹き込んでくる。

 どんどんと地面が近づいてゆく。


 やがてマヤは、目を閉じた。


「マヤーーーッ!」


 その時、大声と共に空中へ飛び出したハヤトが、彼女の体を抱き留めた。


 二人はそのまま民家の屋根をぶち抜いて落下した。


「大丈夫か!? 一人で無茶するなって!」


 ハヤトはすぐさま体をおこし、マヤの無事を確認する。

 彼女の瞳からは、涙がこぼれていた。

 

「ハヤト君……兄さんに、会えた……。兄さん、だった。でも……」

「マ、マヤ……?」


 マヤは、民家の絨毯に伏したまま、力なく言った。


「どうしよう、ハヤト君……。兄さん、私のことなんか、知らないって……。私は一体何のために、ここまで……」

「どういう……ことだ?」


 ハヤトの質問は、民家の壁を破壊して登場した人骨型のモンスターによって遮られた。

 ハヤトは舌打ちし、全身に“魔力”を練る。


「マヤ! モンスターが街中に現れたんだ。一人でも多く助けたい! 今は……今は力を貸してくれっ!」


 だが、マヤはすっかり戦意を失っている。

 ハヤトは判断する。これは今、どうにかできる問題ではない。

 モンスターを両断すると、彼はマヤの肩を掴んだ。


「動けないのなら、ここにいてくれ。後で、迎えにくるから。俺たちは、どちらにせよ君の兄さんの所まで進んでいかなきゃならない」


 ハヤトの瞳が蒼く染まると共に、「蒼きつるぎ」が姿を表す。


「だからマヤ! こんなところで、折れるなッ!」


 ハヤトはその場を跳躍すると、蒼い光をほのかに残して姿を消した。

 マヤはそれをただ、ぼうっと見つめていることしかできなかった。

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