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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
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その15

 シェリルは必死に自分を追う手裏剣をよけ続けた。アンバーはそれをただ見ている。


「あね様っ! どうか……どうかこの戦いを!」


 アンバーはそれを聞いて、手裏剣をひとつ増やした。彼女の表情に、感情はない。


 シェリルは「ウォール」を精製するが、複数の手裏剣がびしびしびしと命中すると、すぐに壊れてしまった。

 アンバーはつまらなそうに、手裏剣をもうひとつ手のひらに作り、確実に彼女の顔にねらいを定め、投擲した。

 シェリルは反応できない。


「うっ!」


 そこに、小柄な少女が飛び出してかばった。


「コ、コリン!」


 コリンは腹に手を押しつけて転がり、自分にも向かってくるそれをかわす。手裏剣が次々と地面に突き刺さる。


「シェリルは、私が守る」


 コリンは、手裏剣の飛び交うシェリルの前に立ち、ナイフで必死にはじく。だが、三、四回ほど手裏剣を叩いただけで、ナイフの刃はボロボロになってしまった。


「ダメか……!」

「いいえ、まだよ!」


 今度はマヤがやってきた。彼女も竜巻の攻撃の影響で、体のそこらじゅうに傷を作り、髪も衣服もぐしゃぐしゃだった。

 それでもマヤは力を振り絞って「紫電」を振り回す。


「……不愉快極まりない光景だな」


 アンバーがつぶやいた。

 これだけの力の差を見せつけられて、なぜ諦めないのだろうか。

 このパーティに勝ち目はもはや、ないはずだ。


 アンバーは、指をはじいて現在の倍以上の手裏剣を精製する。


「終わりにさせてもらう。……さらばだ」


 アンバーは、ほんの少しばかり名残惜しげに、手をかざす。

 手裏剣が、彼女らの元へと向かう。


「うおおおお!」


 その時。

 手裏剣に向かって、人影が現れた。


 手裏剣全てが、強烈な勢いでその人物に向け、命中する。

 土煙が立ち上り、アンバーは勝利を確信したが、声が返ってきた。


「おい、くそ女」


 ミランダの声だった。

 アンバーが少しばかり驚く。


 煙から出てきた彼女は、白銀の甲冑を身にまとっていた。

 ほぼ全身を包んでいる鎧には傷ひとつなく、きらきらと光を反射していた。顔まで包む兜の部分から、ミランダの力強い瞳が、アンバーを見据えていた。


「おめーは……一回ぶっとばさなきゃ気がすまねえ」


 アンバーの眉間にしわが寄る。

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