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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
109/212

その12

 ハヤトを吹き飛ばしたアンバーは、刀を納めようとしたが、はっとして飛んできたクナイを弾いた。

 弾かれたクナイは、そのまま消滅してしまった。


「これが、お前の狙いだったというのか」


 ロックが、苦しげに肩を掴んで歩いてきた。

 アンバーは無表情で答えた。


「お前が知る必要はない」

「その力で、あのソルテスという女と戦うのだな」

「黙れ、関係ないことだ」

「関係は、ある」


 ロックは、折れてしまった忍刀をアンバーへと向ける。

 彼は、変貌した彼女の姿を見て、少し悲しそうに言った。


「お前はなぜ、拙者に何も話してくれなかったのだ……。里を襲うなどという形でなければ、力になれた可能性もあった」

「これはもはや、そんな生ぬるい話ではないのだ。もう私に顔を見せるなと、言ったはずだ」

「いいや。拙者はお前を連れ戻し、また……」

「言うな。お前の言葉は、私には届かぬ」

「ならば、届かせてみせる……アンバー、拙者に全て話せ。そして楽になれ。あの頃のように」


 アンバーは、髪を少しばかり逆立てた。


「あの頃……あの頃とは、いつのことだ……!」

「お前がまだ旅に出る前……お前が私に寄り添い、私もそうした……あの頃に」


 アンバーはそれを聞くや否や表情を変え、かっと目を開いた。


「偽物……!」

「なんだ、何を言っている……?」

「偽物なのだ。どれもこれも……! まったく不愉快だ……! 不愉快でならないっ!」


 アンバーは地面を蹴り、刀を空中で振り“魔力”を精製する。


「散れ!『風遁・豪螺旋ごうらせん』!」


 アンバーが刀を一回転するように振ると、強大な風が起こり、風は竜巻となった。


 竜巻はどんどん範囲を広げ、周囲の全てを拒絶し始めた。

 ロックはそれが近づいてくるのを、ただ見ているしかなかった。


 だがその時。彼の目の前に、人が現れた。

 竜巻を、蒼き“波動”が受け止めた。

 ロックは思わず声をあげた。


「勇者、ハヤト……!」

「偽物って……ロックさんは、ここにいるじゃないか!」


 ハヤトはもはやぼろぼろだったが、「蒼きつるぎ」を竜巻に向ける。

 アンバーが叫ぶ。


「お前も本当に聞き分けが悪い奴だ。力の差は歴然。それ以上抵抗すれば、殺さざるを得なくなるぞ!」

「こんなところで死んでたまるか! 俺は、ユイに会うんだっ!」


 アンバーは、ハヤトの名前を叫んだ。

 竜巻は、里全体を包み込んだ。

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