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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
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その11

 その場にいる全員が、目をみはった。

 さっきまで屋敷だった世界が、大きく開けている。

 やはり秋の忍び里に酷似したもので、長屋や武家屋敷、遠目には山も見える。


 そしてご神刀を突き刺したアンバーは、明らかに先ほどまでと様子が変わっていた。


 黒ずくめだった衣装は、髪の色と同じ、紫色の屈強な鎧のようなものに変化し、束ねられていた髪は不自然なほど伸び、彼女の力を誇示するかのように、ゆらゆらと揺れていた。

 そしてその瞳は、真っ赤に染まっていた。

 アンバーはそれを確認すると、手をぐっと握った。


「成功だ……。これで私は、魔王と戦える。だがその前に……」


 アンバーは、両腰に下がる刀を同時に抜いた。短剣ではなく、先ほどのご神刀に近い、長い太刀である。


「聞き分けの悪いお前らを、全員立てなくする必要がありそうだ」


 ハヤトたちは武器を構えた。

 “魔力”を練りながら、マヤが言う。


「ハヤト君、あれは……」

「ああ……。原理はわからないが、マヤの『翼』の力と同じだ!」


 ロバートが矢をつがえた。


「あんなの、どうせこけおどしだ! 『オーラアロー』!」


 アンバーは“魔力”の矢を、剣で軽々と弾く。

 彼女は上を見る。すでに無数のエッジが向かってきていた。


「『インフィニティ・エッジ』なの!」


 どかどかどか、と激しい音を立てながらルーの「エッジ」が落ちる。

 だが、その全てを受けたアンバーには傷一つついていなかった。

 彼女は、ロバートとルーをにらみつけた。


「どけ」


 瞬間、“魔力”の衝撃波が起こる。ロバートとルーの二人が、はじき飛ばされるようにして屋敷の壁にたたきつけられた。


「マヤ、二人で行くぞ!」

「ええっ! 『ライトニングブースト』!」


 マヤとハヤトが地を蹴った。目標への到達が速かったのはマヤである。


「はあああっ!」

 

 マヤは思い切り「紫電」をたたきつける。

 アンバーは刀でそれを軽々と受け止めた。


「私の分身と互角以下では、『相応の力』とは呼べぬ」


 アンバーは雑に腕をないだ。

 それだけで、マヤは猛烈な勢いで上空に飛ばされていった。


 その隙をめがけ、ハヤトが「蒼きつるぎ」で攻撃に出る。


「おおおおっ!『蒼刃破斬』!」


 アンバーは、もう片方の刀でそれを受けた。


 “魔力”の火花が散ると同時に周囲の空間がじわりとゆがみ、地面がはじけた。

 それでも、アンバーはまだその場から一歩たりとも動いていない。


「くそっ! 『障壁』か!?」

「ハヤト……残念だが私は、まだそれすらも使っていないぞ」

「なっ……!」

「そうだ。これが、今のお前と魔王軍の使っている力の差だ! お前には、勝てる要素が何一つないッ!」


 アンバーが、ようやく動く。

 彼女はハヤトの剣をはじくと、一歩踏み込んで強烈な突きを胸に打つ。


「吹き飛べッ!」


 ハヤトの鎧は一瞬にして剥がれ、彼の体はきりもみ回転しながら屋敷の方向へと飛ばされた。

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