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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
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その10

「す、すごい……」


 マヤが思わずつぶやいた。

 剣を振り切ったハヤトが、爆発で起こった煙から飛び出して着地すると、空に放り出されていたアンバーが力なく、地面にどしゃりと倒れた。


 ハヤトも、驚きを隠せなかった。

 たった一週間の修行だけで、これほど変わるとは。

 確かに言霊を込めることで、今までにないくらい、攻撃がうまく決まった感じがした。


「すごいな、今のがハヤト君の新しい技か。まさか一発で倒しちまうなんてな」

「さすがルーの未来のお婿さんなの!」


 ロバートとルーが歩いてきた。


「みんな大丈夫だったみたいですね」

「ああ、ミランダがちょっとばかりやられたみたいだが、すぐに戻って来るだろ」


 五人は倒れるアンバーを取り囲んだ。

  

「アンバーさん。神器を渡してください」


 アンバーは、その場に大の字になって言った。


「いいや……ダメだな」

「どうして!」

「わからないのか……? ハヤト、今のお前の技は確かに強力なものだった。だが、私の分身を殺せないくらいでは、ソルテスに勝てる訳がない」

「分身……?」


 その時、屋敷の壁が爆発し、二人の人影が現れた。


 片方は先ほどアンバーにやられたはずロックだった。必死に忍刀を振るっている。

 それをパリーしながら戦っていたのは、アンバーその人であった。


 彼女の周りには、小さな勾玉、装飾の施された鉛色の鏡が浮かんでおり、腰には精霊のご神刀が下げられていた。


 マヤが驚きの声を上げる。


「そんな! じゃあ今まで戦っていたのは……」


 全員が、囲っていたアンバーを見る。

 アンバーの「分身」だったものは、跡形もなく消えていた。


 本物のアンバーとロックは、またしても超スピードで戦いを繰り広げていた。

 しかし、今回は多少、ロックが劣性だった。


「ちいっ……!」

「時間稼ぎは終わった。お前は用済みだ」


 アンバーが精霊のご神刀を抜くと、“魔力”の衝撃が起こり、ロックは吹き飛ばされた。

 アンバーはその場で立ち止まり、ハヤトを見据えて言った。


「本番はここからだ、『蒼きつるぎ』の勇者! 私はもう、お前をこれ以上進ませないッ!」


 勾玉と鏡が、アンバーの体へと吸収される。同時に、紅い色のオーラが彼女の体を包み込み、胸の部分に輝くひびが入った。


「あ、あれは……!?」


 ハヤトとマヤが反応する。

 見覚えがある。

 「ザイド・アトランティック」号の一件で、マヤが見せたものと同じだ。


 アンバーはご神刀を逆手に持ちかえると、雄叫びと共に、それを自分の胸に突き刺した。


「『ブレイク』ッ!」


 アンバーの「亀裂」が、はじけとんだ。

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