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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
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その8

 ミランダとコリンは、悲痛な表情で膝をつくシェリルを守りながらアンバーの分身と戦う。


「オラァッ!」


 ミランダが突きを連射するが、アンバーはそれ以上の速さでその場を動きまわり、彼女を翻弄した。

 時折、ナイフを持ったコリンが死角をついて攻撃するも、それすら読まれている様子だった。

 コリンは苛ついた様子で舌打ちした。


「やみくもに攻撃しないで。邪魔なだけ」

「うるせえぞ、チビ……! あんたは黙ってアタシにあわせてればいいんだよッ!」


 ミランダは踏みこんでさらに攻撃を続けようとするが、アンバーはその一瞬の隙をつき、懐に入る。


「『雷遁・やり』」


 アンバーの掌底打ちと共に、ばしんと“魔力”がはじけ、ミランダの体じゅうに電撃が走る。彼女は体をはねさせ、その場に倒れ込んだが、なんとかこらえ、顔を上げた。


「おおおっ!」


 ミランダは必死にアンバーにつかみかかるが、アンバーは表情を変えずに“魔力”を練る。


「『雷遁・つるぎ』」


 さらに強力な電撃がミランダを襲う。体からぶすぶすと煙をあげながら、ミランダは地面に倒れた。

 だが、その手はなおアンバーを掴んだままだった。そこをコリンが狙う。

 アンバーは瞬時にミランダの手を弾いて短剣を手に取り、コリンのナイフを受け止める。


「君たち二人は、術を使えないのか。それでよく私に挑もうと思ったものだな」

「私、そういうのは嫌いなの。魔法はシェリルに全部任せてる。……だから、私にはあの子が必要なの」


 近くで顔を伏せていたシェリルが、はっとする。


「クソピンク……あんた案外、悪い奴じゃないのかもな」


 意識を取り戻したミランダが、アンバーの両肩を腕でホールドした。

 アンバーは術を使おうとするが、ミランダはさらに強い力で彼女を拘束する。

 そして、叫んだ。


「おい、デカブツ女!」


 シェリルが思わずきょとんとする。


「で、デカブツ……」

「そうだよ。そのでかい乳と尻を明らかに持て余している、残念なあんただ。お前がこいつをやれ」


 シェリルは後ずさりする。


「わ、私は……」

「ホントにうざってえ奴だな。今の状況、見てみろよ。あんたのあに様とやらは、この女にぶっとばされたぞ。悔しくないのかよ」

「う……」

「なんとか言いやがれ、たかが男相手におびえやがって、ほんとに気に食わねえ。アタシは女だぞ。だからはっきりしゃべれ。こいつを取り戻したいんだろ? だったら、お前がやるんだよ! ぶっとばして、お前は間違ってるって、わからせてやれ! じゃねえと、何にも戻ってきやしねえぞッ!」


 シェリルは明らかに混乱している。

 さすがに、アンバーもそれ以上は待たなかった。ミランダの体に再び電撃が走る。

 彼女はミランダの額に手を当てた。


「『風遁・羅刹陣』」


 ミランダの体が忍者屋敷に向けて吹っ飛んでゆく。

 コリンが、その一瞬の硬直を再び狙い、ナイフを投げる。


 アンバーは空踏みでそれをよけたが、上空から大量の「エッジ」が降ってきた。

 アンバーの分身は煙になって姿を消した。


「やったの、二連勝!」

「大丈夫か!?」


 ご満悦のルーが、ロバートと共にその場にやってきた。


 コリンが息をつく。


「シェリル。あんまり同調したくないけど……あの女の言うとおり、だと思う。今は戦わなきゃ、何も戻ってこない」


 シェリルはせっぱ詰まった表情で、ミランダが吹き飛ばされた屋敷へと走っていった。コリンもそれに続く。

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