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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
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その6

 ハヤトは剣を振り切って、アンバーを弾き飛ばす。アンバーは一回転して着地したが、すでにハヤトが迫ってきていた。


 ハヤトは勢いをつけて剣をなぐ。アンバーはしゃがみ込んでそれをかわしながら彼の脚をつかみ、彼を上空へと投げ飛ばす。

 彼女はすでに忍術を使うため、もう片方の手で“波動”を練っている。


「『氷遁・氷柱針つららばり』!」


 鋭い氷柱が何本も精製され、ハヤトへとめがけて飛ぶ。

 しかし彼は、宙を蹴って横っ飛びし、それをよけた。ほぼ同時に「翼」をはやしたマヤが彼をキャッチして遠目に着地した。


 アンバーは舌打ちした。


「おんばあから『空踏そらふみ』を習ったか。だが、それで勝てると思っているのなら、勘違いもいいところだぞ」


 空踏み。空中に極小の「ウォール」を精製し、宙を蹴る技である。

 夏の遺跡でジョバンニが見せた、空を歩く技と同様の技術を、ハヤトはわずか数歩だけではあるものの修得していた。


「あんたこそ、よそ見はよくないぜ!」


 ロバートが背後から矢を発射する。

 アンバーはそれを見ることすらせず体をずらし、回避した。

 だが、ロバートはそれを見て笑った。


「『グローエッジ』なの」


 ブーメラン状の魔法の刃が、すでにアンバーの移動地点に向けて向かっていた。アンバーは空を踏み、体をひらめかせる。

 だが、ルーの「グローエッジ」はその場で形を変え、方向転換しながら三つに分かれ、三方向から再び彼女を襲った。


 アンバーはけだるげに“波動”を練った。


「『火遁・陽炎かげろう』」


 「グローエッジ」がアンバーの体を通過する。

 アンバーは着地すると、息をついた。


「貴様ら、それで強くなったつもりか? ハヤト以外の連中に用はない。『火遁・幻影陣げんえいじん』」


 アンバーの姿が三つに分身した。

 ルーが驚きの声を上げる。


「『グローエッジ』のまねなの!」

「真似をしたのは君のほうだ。付け焼き刃の忍術もどきで、私に勝てると思うな……!」


 ルーとロバートに向け、一人が走っていく。

 もう一人のアンバーは、シェリルに向かって歩いていく。


「私の元から消えないというのなら、お前は私が消す」

「あ、あね様……」


 コリンがシェリルを守るように道をふさいだ。


「ふざけないで。この旅には、シェリルの力が必要なの。あなたに勝手なことはさせない」

「へっ……」


 彼女に続き、神妙な面もちのミランダが槍を構えて現れた。


「……クソピンク、たまにはいいこと言うじゃねえか」

「あなた、この間から様子がおかしいけれど。頼むから足を引っ張らないでね」

「言ってろよ……」


 二人はアンバーと対峙する。


 分身したアンバーの最後の一人は、ハヤトとマヤに向かって言った。


「戦うというのなら、私はお前を殺すぞ、ハヤト」

「上等だっ!」


 ハヤトは剣を正眼に構える。

 こうして、三人のアンバーと勇者一行の戦いが始まった。

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