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イモータル・マインド  作者: んきゅ
第13話「オータムの決闘」
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その5

「ここは……」


 玉に取り込まれたハヤトが見たのは、大きな屋敷だった。どうやらその中庭の部分にいるようだ。フローラ婆のそれによく似ていたが、細部が違って見える。


「どうやら、結界の中みたいね。あの屋敷のモンスターの時と一緒よ」


 マヤが辺りを見回しながら言う。

 ロックがつぶやく。


「だとすればこれは、アンバーが作った世界だとでも言うのか」

「来たか」


 返答が、屋根の上から聞こえてきた。


 屋根に立つアンバー・メイリッジが、苛ついた表情で彼らを見下ろしていた。

 ロックが猛る。


「アンバー! きさま、一体どういうつもりだ!」


 アンバーは応えず、ハヤトを見る。


「ハヤトが、蒼き“波動”を使ったのだな。それにしても早すぎるが」

「フローラさんから、力の使い方を教わったんです。アンバーさん、俺たちは聖域に行かなきゃならないんです。秋の精霊と契約させてください」

「まったく、よけいなことを……ハヤトよ、唐突な提案になるが……どうか旅をここでやめてはくれないか」

「い、いきなり何を……?」

「ソルテスは、私が倒す」


 アンバーの目は本気だった。


「私は神器を用いて力を得た。だから『蒼きつるぎ』の力を、これ以上使わないでくれ。このままでは、同じことの繰り返しに……」


「答えろ、アンバー!」


 言い終わる前に、ロックが抜刀してアンバーに襲いかかった。

 しかし、彼女は人差し指と中指の間でそれをつかみ、手首をひねらせた。


 直後、ロックの体が、上空へと吹き飛ばされる。


「なにっ!?」

「……これ以上、私にその顔を見せるな」


 アンバーは飛び跳ねて彼の頭をつかみ、投げ飛ばした。

 彼の体ははるか先の障壁の壁にぶつかり、地面へと落ちた。


 全員が戦闘体勢に入る。


 シェリルが一歩前に出た。


「あね様! あなたは一体、何を抱え込んでいるというのです! みんなで……みんなで協力すれば、解決できることではないのですか!?」

「説明してどうにかなる問題ではない」

「でも! 私はもう、恋人同士だったあに様とあね様が戦うのは……見たくありません!」


 アンバーはそれを聞いて、表情を変えた。

 彼女は、シェリルよりも悲しげに言った。


「……頼むからそれ以上、何も言わないでくれ」

「い、嫌です……! 私はもう耐えられません。あね様、どうか里に戻ってきてください」

「やめろ……! それ以上言えば殺す……!」

「私も、忍術はてんでダメだったけど、また里に戻ります。それであね様に教わって、あに様にしかられて……!」

「やめろおおおっ!」


 アンバーは叫び声を上げながらシェリルに襲いかかる。

 ハヤトは判断よく飛び出すと、瞬時に「蒼きつるぎ」を呼び出し、シェリルを守るようにしてアンバーの攻撃を受け止めた。


「アンバーさん……! あなたの言っていることはよくわからないけど……俺は、俺たちは、進んで行かなきゃならない! 俺は、ソルテスに会わなきゃならないんだっ! その邪魔をするというのなら……あなたを倒す!」

「力の差は、この間見せてやったはずだ! お前には何もできはしない」

「だったら……」


 ハヤトは、目をかっと開いた。


「今から覆すッ!」

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