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第33話:始祖の村の日常?

族長に村を案内して貰った。

エルフと言う種族素晴らしい種族だった。

男女問わず頭脳明晰で容姿端麗。

男の俺としてはある意味ハーレムだ。

きっとホーミィも同じに違いない。


そして彼女は村の入り口に居た。

族長に少し待っていてくれと言われたので待っていると、族長と一緒にこちらにやってきた。



(イデアです。この村を守っています)


金色の瞳に金髪の髪を腰まで伸ばしていた。

服装は他の民族衣装とは違う。

自作衣装だ。

緑色を主体に動きやすく、且つ無駄の無い服装だ。

腕の部分は二の腕から上が無く、上着は腰から胸の半ばまでしかないが俊敏な動きが出来るよう別の布地で首から胸下まで左右から支えている。

背中の部分は何も身につけていない。

正面から見れば胸の谷間が見え、後ろから見れば背中が丸見えだ。


本当に戦士なのだろうか?

秋葉原にきたらカメ子が押し寄せてくるだろう。

でもスカートは太ももがちょろっと見える位の長さだ。

奥ゆかしいがそこが良い。

ちゃんと分かってるじゃないか。

でも動き回ると見えると思う。

っといかんいかん、思わず見とれてしまった。


(双真です。早速ですが、俺が魔族に対抗出来るか手合わせをして貰いたいのですが)


途端にイデアの体がビクッと跳ねた。


(手合わせですか……?)


どうやら相当怯えているようだ。

俺がエロい視線で見ていたのがバレているのかもしれない。

流石村一番の戦士。

こう見えても戦闘になったら滅茶苦茶強いんだろうな。


(駄目ですか?)

(いえ……駄目と言うわけではないのですが……その……)


このパターンは先ほどの族長と同じだ。

何か俺とは戦えない理由があるのだろうか?

魔族相手では全く問題がないと言っていたが。


(私、男性恐怖症なんです……人族限定ですが……)


成程。

族長が渋った理由も分かる。

彼女から見たら俺はゴキブリのような存在なのだ。

自分と同じ大きさのゴキブリ画目の前に居たら俺は迷わず逃げ出すね。


手を出して握手でもしようと思っていたが、ゴキブリから握手を申し込まれたら悲鳴をあげて逃げていくだろう。

おそらく美緒も同じ反応に違いない。

って事は俺はゴキブリと同類……

その事実に愕然とした俺の顔を見た彼女は慌てていた。


(いや、その、苦手意識とかはありますが、別に拒絶するとかそういう事はありませんから……)


その言葉は彼女なりの気遣いだったと思う。

だが俺の中でゴキブリよりは嫌われていないんだと言うことが分かり少し持ち直した。


(まぁ、そういう事情ならしょうがないですね。じゃあ他に俺が魔族に対抗出来るかどうかを判断する方法は……?)

(動きを見せてもらえればそれである程度は判断出来ます。魔法も使ってください。判断がしやすくなります)

(分かりました)


とりあえず、他の村人の遠距離魔法の対処法で判断してもらうことにした。


しかし、この世界の魔法は凄かった。

涼しい顔して打ってくる魔法の威力が美緒の全力と同じぐらいだ。

これは単純にエルフの方が人族より魔力が高いのか、高威力にする技術を持っているかのどちらかだと思う。

なんとかシールドや回避で何とか捌き切った時には結構息が切れていた。

バビロンに頼りすぎてると少し反省。

精進しないと……


(まずまず……と言った所です。魔族相手でも油断をしなければ勝てると思います)

(そっか、ありがとう。助かったよ)


礼を言って、村の外に出ようとするとイデアに止められた。


(待って! 何処に気ですか!?)


慌てて止められた。


(何って適当に魔族を倒して来ようと思っただけだけど?)

(今さっき村人と模擬戦をしたばかりじゃないですか! 無茶は止めてください!)


まぁ思ったより辛かったけど、この程度で魔力が切れるほどやわな鍛え方はしていない。

それに、早くホーミィだけでも帰さなければいけない。

それには魔族の数を減らすしかないのならやる事はひとつしかないだろう。


(無茶って……なんで?)

(なんでって……武器も持ってないじゃないですか! 魔族相手に武器無しで勝てると思っていたのですか?)

(え……割と勝てると思ってたけど……)

(私が油断しなければ勝てると言ったのは武器を持もっていて、それを適正に扱える事が前提です。武器を持っていない者を村から出すことは出来ません!)


ハッキリ言われた。

村一番の戦士がそこまで言うのだから、魔族というのは俺が考えている以上に手強い存在なのだろう。

油断しなければ勝てるからと言ってこちらから打って出るのはまだ早かったようだ。


(そうか、それは悪かった。魔族の事を甘く見すぎていた)

(わ、分かって貰えればそれでいいです)


イデアに近づいて謝るとまた口調が元に戻った。

彼女は男性恐怖症なのに俺の事を心配してくれたのだ。

優しいエルフだ。


と言うことで俺の武器探しが始まった。

エルフはイメージ通りというか弓が得意な種族だったので種類は多かったが、俺の得意とする剣は種類が少なく、必要最低限しかなかった。


(作ってもらうしかないか……)


サバイバルの時に使ったエレメンタルブレイドは魔法の形を変えただけであって剣その物ではない。

剣のような殺傷能力は無いのだ。

しかも、宝玉が無ければ使えない。

宝玉自体は俺の実体の傍にあるはずだが、果たして力を引き出すことが出来るのだろうか?

先ほどの模擬戦では無理だった。

困ったので族長さんに相談してみた。


(剣ですか)

(はい、元の世界で俺が使っていたのが剣です。剣があれば魔族に遅れを取ることも無いと思います)

(今この村にある剣は殆ど使い物になりません。唯一使える剣はイデアが持っていますが、イデアにも必要な物なので借りることは不可能でしょう)

(じゃあ、造ってもらう事は?)

(製造方法は知っていますが、エルフは元来力が弱い種族ですので作ることが出来ません)


知識はあっても、技術は持っていないと言うことか。

いや、技術も持っているから足りないのは単純に筋力なのだろう。

ならば、もう自分で作るしかないだろう。


(材料はありますか?)

(えぇ、ありますが)

(工房と作り方を教えてください。自分で作ります)


ブライティア騎士団で鍛えたこの筋力があれば剣の一本や二本楽勝だぜ!

……なんて考えていた頃がありました。


(もう少し右だ。今度は左。違う! そこじゃない!)


俺は全身汗だくになりながら俺は金槌を振るっていた。

剣の作り方自体は簡単で熱した金属を金槌で叩けば後は後はエルフが形を作ってくれる。

金槌を振るい続けて6時間。

やっと剣が完成した。


(おぉ、悪くないですね。初めてにしては上出来ですよ)


手伝ってくれた村人に合格ラインを貰ったのでイデアに見せに行くことにした。

彼女の許可無しに村を出ることは出来ないからだ。


(少し心もと無いですが……武器としては大丈夫でしょう)


そう言うイデアの腰には綺麗な装飾の施された剣があった。


(それが、イデアの剣?)


指を指しただけなのだがイデアは恐ろしい速度で後ずさりした。

ちょっとショックだ……


(えぇ、この剣は父が残してくれた物です。父はエルフでは有数の鍛冶職人でした。この剣はその形見です……)

(興味があるんだけど、見せてもらっていい?)

(まぁ、見るだけなら……)


片手剣、以外に軽い。筋力の少ないエルフ用なのだろう。

俺には軽く感じた。

柄の部分に宝石が埋め込まれている。

俺の剣とは違い、繊細な部分もしっかり作りこまれている。

見比べると俺が作った剣はかなり情けなく見える。


(ありがとう)


そう言ってイデアに剣を返した。

イデアは夜も見張りをしているそうだ。

たまに仮眠を取っているそうだが、かなりハードだろう。


そして、俺は自分の部屋に戻りそのまま寝た

6時間も金槌を振り続けていたせいだろう。

寝付きはとても良かった。


次の日汗臭さ全開で族長に挨拶をしたら、村の泉で体を清めてきなさいと言われたので朝飯の前に体を洗うことにした。

この村には風呂と言う文化はなく、村にある泉で体を清めるそうだ。

一応石鹸はあったので問題もなさそうだ。


「さて……教えて貰った場所はこの辺だけど……」


村の中にある森林を抜けた所に泉はあった。


「おぉ~綺麗だな……」


とりあえず服を脱ごうとしてふと視界にに入るものがあった。


「ん…?」


そこには金髪の村一番の戦士様が一糸纏わぬ姿で水浴びをされていた。

うん、スタイルも抜群ですね。

やっぱり運動をしっかりしている女性は自然とスタイルが良くなるものだよな。

いやぁ目の保養目の保養……


等と思っていると目が合った。

大声で叫ばれると思ったがそんな事は無かった。

なぜなら彼女は震えていたからだ。

読み取れる表情は恐怖。

それに気が付いた俺は……


「ご、ごめん! まさか誰か居るとは思わなかったんだ!!」


と土下座をした後、全速力でその場から離脱した。

森を全速力で駆け抜けふと気が付いたら知らない景色が広がっていた。


「あれ……? ここ何処だろ?」


一直線に走ってきたので帰る方角は分かっているが、此処が何処なのかは分かっていない。

どうやら走りすぎて村の外に出てしまったらしい。


「まずいな、イデアには村の外に出るなって言われてたっけ……」


一応武器は持ってきているが、出来れば魔族は相手にしたくない。

イデアの見立てでは今の俺では必ず勝てると言う相手ではない。

ならば速やかに村に戻るべきだろう。

そう思い戻ろうと振り返ると……


体長5m程の白い獣が立っていた。


「こ……これが魔族!?」


赤い瞳がギロリと俺を睨む。


逃げるか…?

そもそも逃げ切れるのか…?

更に今村に逃げ帰ったらこの魔族まで村に来てしまう。

村にはホーミィが居る。

覚悟は決まった。

剣を抜く。


「さて……と、出来れば穏便に済ませたい所なんだけど……」


剣を抜いた瞬間、魔族が吼えた。

振動で周りの木々も震えた。

けど、こんな程度でビビると思うなよ……

俺だってそれなりに経験を積んできたんだ。

やれる、信じるんだ。

そして剣を構え飛び出そうとした瞬間、緑色の影が俺を遮った。


「!?」


突然の事に驚いたが、俺と魔族の間に割って入ったのはイデアだった。

ちゃんと服を着ている。


「――――――――――!」

「――――――――――!」

「―――――――――!!」


イデアが知らない言葉で喋っている。

魔族はじっとイデアを見ている。

すると魔族は目を逸らし去っていった。


どういうことだ?

なぜイデアは魔族を逃がした?

魔族を倒さないと瘴気は消えない。

ひょっとして、俺と言う足手まといが居たからだろうか?

そんな事を考えていたらイデアがこちらを振り返った。

その表情は……大激怒していた。


(貴方! 何に剣を向けたか分かってるの!?)


もの凄い剣幕だ。

こんなに怒っているイデアを初めて見た。


(ま、魔族じゃないのか?)

(彼は森の守護者よ! 魔族なんかじゃない!! 村の付近を守ってくれているの!! そんな彼に剣を向けるなんて……!)


イデアから初めて殺意を感じた。

自分の水浴びの姿を見られても男性恐怖症から怯えていたイデアが今俺に殺気を放っている。


(ま、待ってくれ! 勘違いなんだ! 俺だって出来れば穏便に済ませたかった!!)


だが、剣を向けたことも事実だ。

イデアが止めに入らなかったら間違いなく戦闘になっていただろう。

イデアに経緯を説明すると、殺気が収まった。


(確かにあの時はビックリしましたが、村から出る必要は無いですよね)

(動揺してたんだよ……族長さんに水浴びをしてこいって場所を案内されたらまさかイデアが先に居るなんて分からないだろう?)

(ホーミィさんはあんなに良い人だと言うのに貴方ときたら……!!)


どうやらホーミィとは仲良くなれたらしい。

だが、そこは察して欲しい。

知らない土地に知らない文化、おまけに村の外には魔族が出る。

不注意とはいえ村の外に出てしまった。

そこででっかい獣が俺を睨んできた。

此処まで条件が揃ってしまえば、魔族と勘違いしてもしょうがないだろう。


(こんな人の何処が良いんだか……!! どうせ人族の男なんて全部アイツと一緒なのよ!)

(……すまない、迷惑を掛けた)


謝ったが、村に着くまでイデアから返事は来なかった。

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