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第3話:幼馴染との特訓

「制服って以外に高いんだな……」


俺は美緒とカリバーンの制服等必要な物を買いに来た。


「まぁカリバーンは質がいいのを使ってるからね

「流石…一流学校……」

「その中に入っていくんだよ? 双君は」

「マジ不安だわ」


今の自分でついていけるかと聞かれるとはっきり言って自信が無い。


「じゃあ、辞める?」

「いや、入ってしまえば人生イージーモードなんだ、それに婆ちゃんも安心させられる」

「自分の事はどうでもいいの?」

「なるようになるさ、それに俺の中のレアスキルって奴にも興味あるし」

「馬鹿!!」


怒鳴られた。


「いや、馬鹿って言われても……」

「双君みたいに弱っちい人なんてカリバーンじゃ絶対生き残れないの!! 私も必死にならないといけないの!!」

「あの……ここ店内なんだけど…」

「私でも双君を守れないの!!」


たまに入るんだよなぁ……

美緒のスイッチ……


「美緒、別に俺はお前に守ってもらわなくてもいい」

「どうして!? 私の方が強いんだから双君を守るのは当然じゃない!!」


一種のヒステリーなんだろうか?これは……


「美緒、それ俺の部分を赤の他人に当てはめれるか?」

「え……あ………」


美緒の勢いが無くなる。

俺の部分を赤の他人に当てはめれないからだ。

美緒は強いから俺を守るんじゃない。

他に理由があるのだ。


「その気持ちは嬉しいけどな……」


そう言って頭を撫でる。

大体これで大人しくなる。


「けど、これからは俺自身の問題だ。心配するな、何かあったらすぐ相談する」

「絶対だよ…? 何かあったらすぐに相談してよ…?」

「あぁ、頼りにしてるぜ?」


よし、これで何とかなったな……

でも、俺が居ないときに暴走したらどうなるんだろうな……

想像すると怖いな……


「あ、そうだ、ちょっと付き合って欲しい事があるんだけどいいか?」

「ん? 何? デート?」


そんなに期待をこめた眼をしないでくれ……


「ちょっと練習相手になって欲しい」

「なんの?」

「魔法の練習、美緒なら俺が全力を出しても大丈夫だろう? なら今からでも練習をしておきたいって思ってるんだ」

「成程ね…うんいいよ、私にしか出来ないしね」


買い物を終わらせると早速学校に行き、理由を説明して戦闘部屋を貸してもらった。


「案外簡単に借りれたね」

「卒業生とは言え、生徒は生徒って事なんだろうな」

「じゃあ俺が攻撃するから避けるなり、防御するなり、適当に頼む」

「OK、何時でもどうぞ」


お互い魔力を開放する。

だが美緒は圧倒的だ。

待機状態で恐らく今俺が出せる最大の魔力を纏っている。

つまり戦闘状態になったらこれよりもっと上がるのだ。

今のままじゃ話にならない。


イメージする。

あの時の自分を。

喧嘩をしていた頃。

なぜ喧嘩をするようになったかの理由。

殴られたときの痛み。

殴ったときの感触。

それらを全て繋げて行く。

思い出していく。

怒り。

恐怖。

悲しみ。

興奮。

達成感。

それら全てを一つずつ丁寧に……

その瞬間、自分の中に何かが見えた。


…今!!


開放する。

自分をガチガチに縛り上げた鎖を……


「嘘……」


美緒が驚いている。

俺も驚いている。

今の俺は美緒と互角とまでは行かないが、美緒に近い魔力になっている。

問題はこれからだ。

カリバーンに入ればこれ位の魔力は当たり前だろう。

この俺にとって手に余る魔力をどう活用する。

当然の事ながら技術面でも美緒の方が断然上なのだ。

俺がしたかったのは少しでも早くこの状態に慣れる事とこの状態になった際の戦闘の練習だ。


「今回は上手く行った。イメージトレーニングは昨日徹夜でやったけど、実際出来る自信が無くてな。これだけでも美緒を頼った甲斐がある」

「でも、これで終りじゃないよね?」

「あぁ、だからこれからカリバーンに入る日まで……付き合ってくれるよな?」

「しょうがないにゃぁ……いいよ」


次の瞬間俺は美緒に突っ込むと、すかさず魔法でカウンターを仕掛けてきた。


「っぐ!」

「先ずは小手調べだよ?」


シールドで防御するが、思ったより衝撃が強い。流石首席卒業だぜ……


「こんのっ!」


動きも美緒の方が早い。

これは単純に魔力慣れをしていないからだろう。

生身同士なら俺の方が運動神経は良い。

おまけに美緒は浮いているが俺は走っている。

まだ飛び方がよく分からない。

なら俺は遠距離魔法を盾にして押し通る!!


「そら!」


遠距離魔法を威嚇にを使い距離を詰めようとするが簡単に避けられる。

俺とは動きがまるで違う。

あれでは俺が美緒の2倍の魔力を持ってても勝てないだろう。

戦闘スタイルそのものが違う。

美緒は自分の戦闘スタイルを確立している。

俺は急に手に入れたこの力をどう使っていいか分っていない。

そんな事では美緒に勝つどころか一矢報いる事すら出来ないだろう。


「甘いよ! 魔力だけあったって有効に使えなきゃ全く意味が無いんだから!」

「手厳しいねぇ!」


軽口を叩くものの、防ぐか避けるので精一杯。

既に何発か直撃も食らっている。

せめて弾く事が出来れば……

弾く? そうか! その手があった!!


いつも喧嘩ばかりをしていた毎日、そんな毎日も決して無駄にはならない!

それにこの場所なら……


「よっし……行くぜ!」

「また同じ攻撃? とりあえず現段階では勝てないって事を認識してくれればいいかな……」


さっきと同じ様に突っ込む。

だが美緒はこの無謀とも思える突込みをシールド無しで迎撃を行う。

シールド無しで十分と判断したのだ。

それが一番の誤りだと気付かずに…


「返すぜ、それ!!」


キィン!!


「!?」


その言葉通り美緒の攻撃は一直線に美緒へ帰ってきた。

突然の事にシールドは間に合わず攻撃を避ける。

だがその避ける行為を双真は待っていた。

その瞬間は美緒は双真を見ていない。

この戦闘中で初めて美緒が双真から視線を外した。

完全な隙である。

回避したその先に双真は既に待ち構えていた。


「もらったぁ!」


全力で拳を叩き込む。だがギリギリシールドに阻まれる。


「まだまだぁ…!」

「はぁぁぁ!!」


今を逃すと勝機は無いと考え、ありったけの魔力を注ぎ込み強引にシールドの突破を試みる。

危険と感じたのか美緒は後ろに下がろうとした……が、


ダン!!


「え!?」

「残念だな、もう後ろには下がれないんだ」


遠距離攻撃を基本とする美緒は室内では自然と壁よりにポジションを置く事が多為追い詰めやすい所にいる場合が多い。

場所とタイミングさえ見極めればこの様に追い込むことも可能なのだ。

後はこのシールドさえ突破してしまえば俺の勝ちだ。


パリィィン!!


シールドの砕ける音がする。


「勝負ありって所?」

「あーもー…油断したぁ……甘く見すぎたぁ……」


勝敗は自分でも分っているらしく、かなり悔しそうだ。


「どうやって魔法を返したの?」

「これ」


俺は自分の拳の周りのみに展開したシールドを見せた。


「成程ね……そのシールドで打ち返したのね……」


美緒はやられたぁ……という顔をしている。

まぁ、シールドの表面が小さいので魔力が込めやすく衝撃も思ったより少なかったので成功したのだが……


「喧嘩だと殴ることしかしてなかったからな、防御とか回避なら魔法でもそれなりに出来ると思うぞ」

「まさかそんな方法でカウンターされるとは思わなかったよ……完全に魔力切れで私の勝ちだと思ってたのに……」


ビギナーズラック…? とは違うな、どっちかと言うと発想力の勝利だな。


「今戦った感じでさ、俺に合いそうな戦闘スタイルとかない?」

「んーそうだね、双君は近接戦闘向きだと思う、さっきのカウンターからの攻め方を見る限り、後遠距離攻撃はしないほうがいいよ、魔力の無駄」

「そっか、ありがとなって…無駄とか言っちゃう位遠距離は駄目なのか……」

「あーあ、中学校時代じゃ負けたことなんて数えるほどしかなかったのに……ショック……」


ガックリうなだれている。

そんなに俺に負けるのがショックか……?

小学校の頃は俺の方がずっと強かっただろ……


「そんな事言うなって、俺だってこれを閃かなかったら勝てる見込み無かったんだから」

「明日も勝てると思わないでね!! この程度なら対策なんて幾らでもできるんだから!!」


ヤベ…本気にさせちゃった……明日が怖いな……


「お手柔らかに頼む……」

「知らない!」


けど、機転を利かせることが出来ればあの美緒の不意を付く事だって出来ると言う事が分っただけでも十分だ。

後は自分の発想力次第で自分のスタイルが拡がっているのだと思うとなんかワクワクしてきたな……


「よし今日は帰るか」

「明日は負けない」

「分った分った……じゃあ負けた罰として今日の夕飯頼むな」

「ちょっとぉ! 今日は双君の番でしょ!?」


初めて本格的な魔力に触れて、実は結構疲れている。

慣れない事を急にやったからだろう。


「流石に今日は疲れたよ……それに今日は美緒の料理が食べたいな?」


「っ!! き、今日だけだからね…!! 明日はちゃんと双君が作ってよ?」


うん、こういうところは扱いやすい。


「分ってるって」

「明日、相当痛めつければ、憧れの「はい、あーん」が出来るかもしれない…!?」

「ん?何か言ったか?」


今さらっと凄い事を言っていた気がするが……


「なんでもないよ?」

「…? まぁいいや、腹減っちまったよ……」

「はいはい、じゃあ買い物して帰ろう」


こうして、俺はカリバーンに入学するまで美緒と特訓をする事になった。

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