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第11話:素材問題

「んー、やっぱり実家はよかったなぁ」

「そうだね、ずっと暮らしてきた家だもん」

「私は初めてでしたが、とても楽しかったです」


こうして3人は午前中に買い物と用事を済ませ、カリバーンに帰ってきた。

今度実家に行くのは早くても来週だろう。用事が無ければ一ヵ月後位かな?


「君? 宮元双真君かな?」


知らない人に声を掛けられた。

選択としては、大声を出す。助けを求める。逃げる。だが……


「いいえ、違います」

「あれ? でもこの写真って君だよね?」


相手はどうやら俺の写真を持っているらしい。

一体誰なんだ?


「君……嘘付いてる?」

「逆に聞くけど、あんた誰? いきなり人の事名前で聞いておいて自分は言えないなんてこと無いよね? 寧ろ先にそっちが自己紹介するものじゃない?」


流石に鬱陶しくなって来た。


「確かにそうですね、私はアヴァロンの研究所に勤務しているプーレと言います。宮元双真君に用事があってきました」


なんだ、研究所って事はバビロン関係の事だろう。


「あぁ、と言う事は素材の事ですか?」


大事にはしたくないので部分のみを出していく。


「はい、素材提供の件で…」


確かに、生態の研究の為には素材が必要だから要求が来るってエヴァンス先生も言ってたっけ……


「その件に関してはグランと相談と言う風に担任の先生に話しておいたはずですので、グランが居ないと話し合いが出来ません」


「はい、グラン君は既に研究所に居ますので、来てもらえますか?」


成程、簡単に言えば、早く研究させてくれって事か……


「分りました。美緒とホーミィは先に帰っててくれ。俺は研究所に行って来る」

「分ったよ」

「分りました」

「じゃあ、行きましょうか。プーレさん」


そしてプーレさんに連れられて、研究所のとある一室に招かれた。


「よぉ、グラン」

「全く、昨日は何処へ行っていたんだ? 昨日は研究所が血眼で君を捜していたぞ?」

「実家に行ってたんだよ。掃除とかしてきた。そっか、次元が違うと思念会話も携帯も使えないからな……」


グランと雑談をしていると、誰か入ってきた。


「こんにちは、私はこの研究所の一斑の責任者をしているアルシードだ。この度は新種のドラゴンの素材提供の件について話したいと思い来てもらった」


なんか高圧的だなぁ……偉くなると皆こういう風になるんだろうか?


「宮元双真です」

「グラン=スフィアです」


お互い自己紹介をすると、早速本題に入った。


「勝手ながらドラゴンを拝見させてもらったが、鱗が一枚欠けていたね? 誰が持っているんだい?」

「それは俺がファーストドロップ権を使って一足先に貰いました」

「なぜだい?」

「見せたい相手が居たからです」

「そんな急にかい?」


別にそんなの個人の勝手じゃないか。


「別に何時ファーストドロップ権を使っても個人の自由でしょう? そのまま一枚貰おうとすると現状維持等で色々言われるのが面倒だったのでファーストドロップ権を使っただけですが?」

「成程。ではその鱗を見せてもらっても構わないかな?」


(探ってるぞ)


バビロンの言葉の意味を考える。

ひょっとすると宝玉と感づいているのかもしれない。


「どうぞ」


鱗を見せる。


「ふむ……ちょっと失礼」


アルシードは興味深く鱗を見る。


「やはりね……」

「どうかしたんですか?」

「この鱗どんな感じで刺さってた?」

「確かこっち向きに刺さってましたけど……」


アスカロンでバビロンを剥がした時を思い出し説明する。


「君はこれを逆鱗と知っていたのかい?」

「凄いですね、一目でこれが逆鱗って分るんですか?」


寧ろ初耳だよ。

逆鱗とはドラゴンの表皮にある鱗の中で唯一逆さに刺さっている鱗の事である。

素材の質としてもかなり高い。


「まぁね、鱗から発せられる波長みたいな物があってね、逆鱗だけ違うんだ」

「双真、お前は運が良いな。ファーストドロップが逆鱗とは……」


まさか、頭の中にこの鱗を取れなんて情報が流れてきた何て言えないよなぁ……


「まぁ見せるのなら綺麗な奴って思って剥がしただけだったからな……ひょっとしてグラン欲しかった?」

「まぁ、羨ましいとは思うが、ファーストドロップは侵害できないし、その分別の素材で優遇させてもらうさ」

「研究所としては是非ともその逆鱗を提供してもらいたいのだが…? 駄目かね?」


おいおい……いきなりファーストドロップ権限を無視してきたな。

学生だから相当舐められてる感じがする。


「駄目です」


こういう時は、最初にはっきりとさせておいたほうが良い。

相手に期待するだけ無駄だと思われなければいけない。


「そうか……では、代わりに他の部分を全体の10%程提供して貰いたい」

「先ずは具体的な部分をお願いします。その後2人で検討します」


少し困っていた所で、すかさずグランが割り込んでくれた。

おぉ、流石だグラン……思わず俺は10%なら良いんじゃないかと思ってしまった。


(全体の10%提供は新種とは言えかなり多い、研究所は素材保管業務も行っているが、通常は素材3つかそれと同等の金額を払えば半永久的に保存してくれる。素材は場所代のような物だ)


(つまり、珍しいから多めに欲しいって所か)


こう言う話は全く分らないのでグランが居てくれると非常に助かるな……


「鱗2、牙、爪、の各種を数本、内臓各種重量の10%、眼球1つ、以上の提供をお願いする」

(よく分からないが、相場から考えてどうなんだ?)

(よほど御執心と見えるな。これだけ提供したのなら、かなりの見返りが貰えるだろう)

「それだけ提供したら、研究所はどういう事をしてくれますか?」

「我々が学生に提供できる事は非常に少ない。しかも、これ以降同じドラゴンが出現し捕獲された場合、更に価値が下がる事が予想されるので、今の君達には提供できる物は殆ど無いのが現状なのだ。しかし、技術の進歩の為協力はして欲しい」


つまり、自分達は欲しいだけ持っていって、見返りは何もなしって事か……


「それっておかしくないですか? 新種ですよ? せめて価値が分ってからお金で払ってくれるとか……」

「実は生息地がある程度絞り込めそうなのだ。そうなってくると自然とこのドラゴンの価値も下がってくると私は予想している」

(生息地が分れば、確かに素材の価値はかなり下がってくるだろう。どうする双真? 早い段階で素材提供をして研究所のご機嫌を取っておくのも悪くは無いぞ?)

(ちょっと納得の出来ない点があるんだ。詳しく突っ込みたいが、グランは研究所のご機嫌とか気にする?)

(俺は家の名前がある、無名の双真の方が少しでも名前を売っておいたほうが良いと思っていたのだが、ご機嫌とかは気にしない)

(ふむ……俺も特にそう言うの要らないから、この場を仕切らせてもらっていい? グランの言ってる事と総合すると明らかに俺達から良い様に素材をふんだくろうとしてるようにしか見えなくてさ)

(なら納得が行くまで話すといい。ただしやりすぎるなよ?)

(じゃあ俺のやりたいようにやるから、何か言われたら俺に賛同する形で頼む)

(分った)

「じゃあ、通常保管でいいです」


「「え……?」」


グランとアルシードの表情が固まる。

さて、反撃開始といこうかね。

あんまり舐められるのは好きじゃないんだ。


「生息地が絞り込めそうと言う事は大まかな生息地は分ってると言う事ですよね? そして俺達学生レベルでも倒せるドラゴンなら、アヴァロンの騎士団やトレジャーでも十分に勝てるんじゃないですか? そうなってくるとこのドラゴンを重要視する必要が無いと思います。なら俺達のドラゴンは通常保管して、他の人が捕獲してきたドラゴンの素材を提供してもらってください。こんなチンケなドラゴンで研究所に恩を売ろうとは思っていません」


アルシードに教えられた情報を元にバビロンの価値を著しく下げてみた。


「なっ!? 君はこのアヴァロンにお世話になっているのだろう? その恩を仇で返すのかい?」

「すみません、俺スカウト組なんでアヴァロンの方から入ってくださいって言われました」


スカウト組は学費全額アヴァロン持ち。

一部はスカウトした教師持ち。

今度はアルシードの表情が強張る。


「ぐっ…! だが、考えてみてくれ。素材の研究は早ければ早いほうが、技術の進歩も早まる。君達はその技術の進歩に貢献した事になるんだ。これはとても凄い事なんだよ?」

「では、それ相応の対価を払ってください。俺達は一歩間違えたら死んでいたんです。そんな命懸けの戦いをして倒したドラゴンです。技術の進歩の為とはいえ殆ど無償で提供する事は出来ません。それなら、研究所で保管する際に預ける素材3つを技術の進歩に役立ててください」


バビロン達は次元を飛んで生活をしていたんだ。

決まった生息地など存在しない。

もし絞り込んだとしてもそれは住んでいたと言うだけだ。

大した物は見つかりはしない。

アルシードの言葉は嘘ではないかもしれないが、間違いなく成果のあがる物ではない。


「君は強情だねぇ。折角私が君達の未来の事を思って話をしていると言うのに……ここで素材を提供しておけば、君達2人はアヴァロンに入った時の待遇がとても変わるのだよ?」


その言葉を裏返せば、とても貴重な素材でお前達学生には勿体無いから俺が貰ってやるって言ってるようにしか聞こえないんだが……


「それって、わい……」


グランが言いかけた言葉を俺は遮った。


「もう良いです、他の所預けます。この研究所には預けません」

「何ぃ!?」

(おいおい、本気で言ってるのか?)

(大丈夫だって、ここまでは想定してる。この人じゃ話にならないし)


アルシードがガタンと音を立て立ち上がる。

グランも流石に信じられない様子だ。


「君は自分の言っている事が本当に分っているのかい!? この私が優遇すると言っているのだよ!? 第一斑の責任者であるこの私が!! 君達の素質を見込んで!!」

「そこまで価値の無いドラゴンの素材に偉く御執心ですね?」

「私は君達の才能を評価しているのだ。素材の提供は表向きの表現だ。分りにくくてすまなかったね」


すまないと言いつつも、眉毛がピクピクしている。


「それでも全体の10%と言うのは多すぎでは?」


正論をストレートで聞いてみる。

まぁこれも必要だから聞くんだけど。


「あぁ、もう、最近の子供は……全体の10%は結構妥当だよ? 君達学生ではまだ分らないが、熟練のトレジャーならすぐに快諾してくれるだろう」

「アルシードさん達から見れば、小物のような相手でも俺達にとっては強大な敵だったんです。その部分を考慮してください」

アルシードがどんどんイライラしていくのが表情で分る。完全に俺達を舐めていたが、自分の思い通りにならないのが我慢ならないのだろう。

「君……いい加減にしてくれないか? 私にも時間と言う物がある。早く素材を提供して貰いたい」

「ですから、もう預けないって言ってるじゃないですか……返してください」


ここでアルシードは笑いながら勝ち誇ったような顔をした。


「ははははは!! あんな巨大なドラゴンを何処に保管すると言うんだい?」


笑っているアルシードに俺は何事も無いかのように答える。


「新種のドラゴンで募集をかければ他から申し込みが来ると思ってます。駄目でもアレくらいの大きさなら家の納屋に入ると思います」


今度は笑顔のまま固まる。

なんだろう、この人の表情の変化を見ていて楽しいと思えるようになって来ちゃったな。


(双真、一応俺達はアヴァロンの所属って事になってる、これ以上ゴネるのはマズイぞ?)

(じゃあ必要な事だけ言うけど、研究所に預ける事はもう決めてる。だけどこの条件は飲めない、そしてアルシードが間違いなく折れる)

「あのドラゴンを納屋などと言う極めて劣悪な場所にあの保管する気か!? 君は……そんな事が許されると思っているのか!!」

「許されますよ? 別に納屋に入れなくても、今この場でグランとの配当を分け、俺の分は必要な部分を除いて全部競売に掛ければいい。多少安くても、一生暮らしていくお金には困らないと思います。売り捌けば預ける必要性もないですよね?」


アルシードの顔が完全に怒り一色になった。


「ふざけるなよ!! そんな事をしてみろ!! そうなったら!!」

「他の研究所が買い漁って、独占研究が出来なくなる。でしょう?」


ここで核心を突く。

グランが知らなくて俺が知っている事。

それはバビロンの価値。

そして価値をある程度知っていて詐称したアルシード。

その理由は独占研究したいか、自分用に素材が欲しいかのどちらかに決まっている。

提供の数自体が多いとなると恐らくは後者だろう。


(これで王手だ)

(双真の言っている事が違っていたら、とんでもない事になるぞ…?)


「他の研究所に持っていかれたくない。このドラゴンは大変な希少価値がある。だから独占して研究がしたいんですよね? 他の研究所へ売り捌いた場合、鱗一枚すら手に入らないかもしれませんよ? 現状保管扱いになってるのは、全ての素材の品質劣化を避ける為ですよね? 俺達の為じゃない。自分達の研究の為だ」


「このアヴァロン以上に整った保管施設など存在しない!!」

(人間と言う物はなかなか愉快な生き物だな)


その点は俺も同意する。


(まぁ、欲が出るとこういう風になったりもするよ、バビロンは恐らく今後500年は見ないであろう大発見だと俺は思ってるから)

「それは研究の目線ですよね? 別に俺達はドラゴンを研究したいわけじゃありません。とりあえずあの巨体を置いておければいいんです。その上での劣化なら仕方のない事だと割り切ります、保存だけなら他の施設が幾らでもあります。なのでこれ以上あのドラゴンの価値を誤魔化さないでください」


アルシードからすれば半分ぐらいはハッタリをかましていると予想しても、俺の言葉を覆す事ができない。

否定する事が出来ないからだ。


「価値を誤魔化した貴方とは話したくありません。この研究所の責任者に伝えてください。帰ります」

「待ってくれ!! それは困る!!」

「別に俺達は困りませんから」


そう言って立ち上がる。


「分った!! 分ったから!!」

(ほら、折れた)

(双真、君は将来大物になると思う……色々な意味で)


アルシードが内線を使いなにやら話している。


「所長が来てくださる……」





その後5分程した後に、ドアが開いた。


「どうなってるの? 素材を提供してくれないと言う話になったと言うのは?」


金髪、巨乳……あれ? この人どっかで見た事ある?

おかしいな、初対面のはずだけど……


「初めまして、私はシルウィ=ミクフィール、この研究所の総責任者です」


ミクフィール……?

あ、ホーミィのお母さんか。

面影があるから多分実母なのだろう……


「宮元双真です」

「グラン=スフィアです」


お互い自己紹介をする。


「アルシードから聞いたけど、素材の提供をしないと聞いたのだけれど、何故かしら?」


今までの経緯を話す。


「成程、そう言う理由ね。分りましたが、アルシードが本当にそのような事を言ったのかしら? 彼は優秀なリーダーだと評判です。あまりそう言うことは考えたくないのですが……」


猫でも被ってるのだろうか?

それとも今回の素材はそう言う人をも狂わせてしまうような代物なのだろうか……?


「では、シルウィさん。新種の素材提供で全体の10%と言うのは多いのですか? 少ないのですか?」

「多いわね。研究をするだけなら2~3%が妥当よ? それ以上でも助かるけど……生態の研究をするだけならそれだけあれば十分ね」

「俺はアルシードさんに10%は妥当だと言われました。このドラゴンはあまり価値の無いドラゴンだとも言われました」

「いいえ、そんな事はありません。このドラゴンは多大な可能性を秘めています。決して価値の無いドラゴンではありません。将来性のある貴重なドラゴンです」

「では、これを聞いてください」


取り出したのは携帯電話、その中に先ほどの会話内容を録音した物を再生する。


「途中から録音しましたが、証拠としては十分だと思います」


グランから10%の提供は多いと言われた辺りから怪しいと思い録音をしておいた。

これなら魔法で捏造が出来ない。


「とりあえず、あのドラゴンそっくりそのまま返してもらって良いですか? 売り飛ばすので」

「ちょ、ちょっと待ってください。アルシードは出て行きなさい」


売り飛ばすという言葉には流石に驚いたらしい。


「そんな! 所長!!」

「先程録音されていた件に関して後で話があります。それまで待機していなさい」

「……はい」


アルシードは部屋から出て行った。


「まずは、大変な失礼をした事を謝罪します」


シルウィさんは深々と頭を下げてくれた。


「貴方が私を呼んだ理由も分りました。今回のドラゴンの素材提供に関しては、以後私が担当します」

「じゃあ、手っ取り早く聞きますが、どれ位欲しいですか?」

「私も興味本位からあのドラゴンを拝見しましたが、鱗3枚、爪2本、脳の一部分と必要に応じて追加提供をお願いします」

「俺はそれ位なら構わないけど、グランは?」

「少し少ない位だと思う」

「ですが、条件を設けさせてもらいます」

「なんですか?」

「このドラゴンの素材を使った武具を作る場合、必ずこの研究所で作る事です。よほど特殊なものでない限り、作成が出来るはずです。お金は貰いますが優遇もします」

「例外がある場合はどうすれば良いですか?」

「相談してください。可能な限り貴方達の意見を尊重します」

「ドラゴンの保管の方はどうします?」

「研究所が責任を持って保管します」


うん、今度は大丈夫かな……よし、ちょっとこの人を驚かせてみよう。


「分かりました。ドラゴンの保管もお願いします。ついでに、娘さん貰っても良いですか?」

「……はい?」


いきなり空気をぶち壊したのは流石にまずかっただろうか……


「ええと……なぜ私が子持ちだという事を知っているの?」

「クラスメイトだからですよ。ホーミィの」


そこでシルウィさんの表情が崩れた。


「成程……という事は君がホーミィが最近話してくれてる男子ね!? 最近のメールの内容はいつも君の事ばっかりよ?」


急に話し方が変わった……何と言うかこっちの方が素らしい。


「でも、ホーミィには良くして貰ってます。ドラゴンを倒した時の過出力症の時も、実家の掃除の時も、お世話になってばっかりです」

「そうかぁ、君がその男子だったのかぁ……名前なんだっけ? もう一度教えてもらえる? 後でホーミィをからかってやろうかしら?」

「宮元双真です」

「うん、覚えたわ。あの子の事よろしくね? 引っ込み思案な所があるから、リードしてくれると嬉しいわ、親として」

「じゃあホーミィ貰っても良いですか?」

「それとこれとは話は別よ? 簡単にはあげないわよ?」

「ふむ……2人は何時の間に付き合っていたんだ? 双真には美緒がいたと思ったが…?」


ヤバイ、調子に乗りすぎた……


「すんません、嘘です。友達なのは間違いないですが、まだ恋人とかそう言う風にはなってません……」

「ふふふ……面白いわね宮本君は、でもずっとホーミィの友達で居てあげてくれる? 1人暮らしを始めたのはいいけど、やっぱり親としては心配なのよ」

「ホーミィに彼氏が出来るまでなら良いですよ?」

「そう言う報告はいち早く伝えてくれると助かるわ」


流石親、そう言う話題については人一倍敏感だな……


「グランはそう言う話聞かないけど、あるの?」

「俺は、生まれが貴族だから、自然と人が集まってくる。大抵は家柄とか俺の力が目当てだけどな。蔑ろにしては家に傷が付く、なので仕方なく傍に置いているといった感じだ。友達とは言いにくい、告白してくる女性も何人かいたが、同等の理由で断っている」

「難しいな、貴族って言うのは」

「だが、双真は家柄とかを気にせずに付き合ってくれている、その事には感謝している」

「まぁ、本気で殴り合いをして、その後あのドラゴンとの命懸けの戦闘だったもんな……2人で力を合わせなかったら間違いなく死んでたよ。だから俺はあの場にグランが居てくれた事に感謝してる」

「成程ね、2人はその時に友達になったのね」

「んー…何と言うかいつの間にか……かな?」

「そうだな、いつの間にかと言うのが一番しっくりくるな」


そう、友情と言う物は突然芽生える物なのだ。

その後は3人で雑談を少しして、研究所を後にする事にした。


「アルシードさんの事ですが、出来れば穏便に済ませてやってください」

「どうして? あの提供の多さからするとある程度は横領する予定だったかもしれないのよ?」

「でも、アルシードさんは他の人から必要とされてるじゃないですか、きっと今回は素材が珍しすぎたんだと思います。どうしても欲しい物があると、狂ってしまう時があるじゃないですか……」

「まぁ、分らなくないけど、それを抑えるのも研究者の仕事なの、けれど、一応参考にはさせて貰うわね」


これで、なんとか丸く収まったかな。





「グラン、昼飯食べた?」

「いや、食べてない」

「どっか食いに行こう。俺腹減ったよ……」

「良いだろう、お勧めの場所がある」

「おぉ! それは楽しみだなぁ~」


さて、飯食った後何しようかな。

何か忘れている気がする。

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