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ニートとギャルゲと招待状 (やっぱりギャルゲは最高ダゼっ!)

まだまだ話数も少なく物語りが大きく動き出しません。

弊社のラブサーバー・mazeでお時間を潰してお待ち(ry

サブタイトルは2つで、()内はアニメ好きな方用のタイトルです。

 「宅急便でーす」


 ドアホンの向こうから声が聞こえる。両親は海外出張中でありここ最近、月夜野ツキヨノ家には1人の人間しかいない。普段なら面倒な事この上ないのだがこの日の紘燈ヒロトは違っていた。即座に財布と印鑑を握り締めて玄関に向かい商品を受け取った。ついでに郵便物も回収をする。


 「ktkrキタコレ」 


 ようやく待ちに待った、新作ギャルゲー<君と過ごした日>が届いたのだ。階段を上りながら開けてみようかとも思ったのだがカッターのある部屋まで我慢する事にした。


 注意しつつ箱を開けて中身を取り出す。中からはCD-ROMと有名声優のサイン入りポストカード、キャラクター画集など色々出てきた。さすが高いお金を出して初回限定版にしただけの事はある。ポストカードと画集は一旦袋から出して手に取ると丁寧に袋に戻した。


 CD-ROMの袋を破りながらパッケージを見た。表にはメインヒロイン裏には4人の女の子達が今か今かと紘燈に微笑みかけている。箱を開けようかと思ったその時、パッケージ右下の文字にようやく気づいた。


 「特別仕様スペシャルエディション?」


 確かに薄い赤の文字でそうかかれてあった。


 「<キミスゴ>に特別仕様なんてあったっけ……」


 まぁきっと初回限定版の事なんだろう。そんな事より早くインストールしなきゃ。箱からCDを取り出してPCでインストールを開始した。


 


 今は秋晴れが目に眩しい月曜日の朝10時。大学を卒業したにも関わらず就職が見つからなかった紘燈は平日の朝からギャルゲーに専念できるのだ。元々口五月蝿い部類では無い両親は、離れた事でより干渉しなくなっている。生活費もキッチリ頂いて悠々自適なニートライフを送っていた。


 


 ダウンロードが完了してクリックするとPC画面にはオープニングムービーが流れた。OP曲を歌っているのは人気アニソン歌手だった。<キミスゴ>はフルボイス仕様だし、制作費すごいだろうなと紘燈は思う。


 説明書など読まない紘燈はまずシステムをクリックした。短いキャラクター紹介文とキャラ画像を眺めつつサンプルボイスを楽しむ。出てくる4人の女の子は有名声優さんであり紘燈もアニメでよく知っている方々だった。そのうちの1人は大好きな若手声優さんであり見た目も大変可愛い。キャラに声がマッチしていて大満足であった。


 ただ1人、ゲームの案内役として出てくるキャラの声優さんは紘燈の知らない人だった。その名前をアニメで見かけた事は無い。18禁ゲーじゃないのだから裏名義を使うとも考えにくい。新人さんなのだろうか?


 そんな事を考えつつスタートを押した。まずは3人の攻略から始めよう。お気に入り声優さんのキャラ攻略は最後、紘燈は好きな食べ物を最後に取っておくタイプの人種だった。



 1日中PCに向かいゲームをする事7日。今は例のキャラを攻略中であった。途中バッドENDやノーマルEND、ハッピーENDになって中々トゥルーENDを見るのに手間がかかった。このゲームはオートセーブ機能が付いているのだがロードという物がなかった。


 普通であればロード画面からセーブデータを選んでルート分岐選択をし直すのだが、このゲームでは案内役の女の子が<redo>機能を使い、戻りたい場面に戻ってやり直しができるのだ。お気に入りのキャラのトゥルーENDを見るにはそれはもう何度も<redo>のお世話になった。


 ようやくトゥルーENDに辿り着き、スタッフロールと思い出の場面と共にテーマ曲が流れる。感動して少し涙を浮かべた紘燈の姿がそこにはあった。画面には4人のヒロインと案内役の女の子が映っている。


 紘燈はコンプリートしないと気が済まない派なので他のキャラの未回収ルートをやろうと思ったのだが、少し疲れていたため休憩を取る事にした。ペットボトルのミルクティーを飲みつつ近くにあった郵便物に目を向けた。ゲームしか頭になかったので見てすらいなかったのだ。


 公共料金の領収書やピザ屋のチラシに加えて、1通だけ紘燈に宛てられた郵便物があった。その白い郵便物の封を切ると結婚式の招待状が入っていた。


 幼馴染でもある月見里ヤマナシ 克輝カツキと2人の大学での友達でもある四十川アイカワ 優李ユリからであった。最近少し疎遠になっていたためメールなどで聞かされてはいなかった。


 優李とは紘燈が先に出遭った。学部もクラスも同じで天文サークルの仲間でもあった。仲良くなった後で克輝に紹介をした。そして気が付くと2人は交際を始め、今では結婚も決めていたのだ。


 「結婚か……」


 招待状を持つ右手に力が入る。ポトリと落ちた雫が招待状のインクを滲ませた。


 親友と友達の結婚なのだから、もちろん御目出度い事だ。祝福してあげたい。でも紘燈は素直に喜ぶ事はできなかった。


 優李の事が好きだった。この気持ちは今まで口にした事はない。何度か言おうとしたができなかった。そうしている内に2人は付き合う事になった。


 添付されていた手紙に目をやった。


 「キューピッドが式に来ないのは困るからなっ!ちゃんと来てくれよ?」


 克輝の字だった。


 「来てくれると嬉しいナ。久しぶりに会えるのを楽しみにしています」 


 こっちは優李の字で書かれている。




 もし自分が……優李にちゃんと気持ちを伝えていれば。どうなったかはわからないが後悔だけが今では残る。


 俺は何やってたんだ、チキショウ。友達を祝福できない自分にも、不甲斐無さにも苛立ちを覚える。手紙は強く握り締めてしまってグシャグシャになっている。グッと唇をかみ締めた紘燈から止め処なく涙が溢れ出した。



 PC画面は先ほどまで5人の女の子が映っていたのだが、今は案内役の大櫛オオクシ 美香ミカのアップに切り替わっていた。もちろん紘燈はそんな事には気づきもしない。


 

 やり直したい。気持ちを伝えたい。そんな紘燈の心の声に答えるかのようにスピーカーから先ほどまで何度も耳にした、聞きなれた声が聞こえてきた。


 「redo」


 その声を聞いた瞬間、紘燈は意識が薄れていくのがわかった。


 崩れ落ちる体に力は入らない。遠ざかる意識の中でPC画面を見ると美香が笑っていたように見えた。

お気に入り若手声優さんは、三森すずこさんでも大久保瑠美さんでもお好きな方で脳内変換どうぞ。

OP曲はMay'nさんやkotokoさんLiaさんErisaさんで。

今期NO.1アニソンは「緋色の欠片」の「ねぇ」だと思います。

作者は演技面で斉藤千和さんを尊敬しています。


ktkrキタコレ=ネット用語・略語 キター!と喜んでいる様

キミスゴ     =ゲーム<君と過ごした日>の略称

やっぱり○○は最高だぜ(ロウきゅーぶ)

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