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百花繚乱~一日一作短編集~  作者: 飛鳥井 作太


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 これは私の我が儘(歳の差男女。年上×年下。どちらも成人済。同棲か夫婦か)

「おひいさん。苺どーぞ」

 嘉助さんが、ケーキのトップに乗った苺を私に差し出した。

 それは今フォークに刺さり、私のお口の前にある。所謂「はい、あーん」だ。

「嘉助さんの分は?」

「ん? ケーキの中にも入ってるし。それでいいよ」

 何てことないように、あなたは言う。

 いつもそうだ。いちばん良いところを私にくれようとする。「かっこつけさせてよ」と言って。優しい人。

「ありがとうございます」

 私は、まずは真っ直ぐそれを頂いた。ぱくり。視線をあげれば、嬉しそうに微笑むあなた。……ずるい。

 ならば。

「では、私も。はい、あーん」

 お返しに、私の苺も差し上げる。

 同じようにフォークに刺して、お口の前へ。

「え、でも」

「あーん」

 嘉助さんは困ったように眉を下げた。でも、結局食べて下さった。その顔が愛らしく、私は「ふふっ」と声を上げ笑う。

「……ありがとね。美味しい」

「はい、美味しいです」

 いちばん良いところを贈られるのは嬉しい。

 でも。

 一緒に味わう方が、もっと嬉しい。


 END.


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