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彼岸でも此岸でも(葬儀屋の老女百合。第三者視点)
「そういえば、社長たちもエンディングノートとか書いてるんですか?」
「そら書いてるよ。葬儀屋だしね」
「ええ、もちろん」
にこにこと微笑みながら、副社長が言う。
「絶対ここでお葬式してもらうって決めてるし、最後はキミちゃんにキスをしてもらうっていうのも決めてるのよ。細かく書いてあるから、みんなよろしくね」
「社長、副社長が先にお暇する気満々ですけど」
「こういう薄情な奴なんだよ」
社長は、やれやれと首を振った。
「あの世でキミちゃんをどうお迎えするかも考えてるのに」
「そんなこと考える暇があるなら、夕飯何するか考えな」
「今日はねぇ、厚揚げとオクラのチーズ焼きとトマトのおみおつけ。ふふふ、全部キミちゃんの好きなもの」
「……ビール買って帰るよ」
「ええ、そうしましょう」
「……」
彼岸だろうが、此岸だろうが。
お互いしか見えてない。
END.
一つ前の話の二人、現在。




