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ちょっと漫画みたいなことをしてみたい(百合。先輩×後輩。僕っ娘×私っ娘)
「あ、ハク。疲れたなら、僕の肩に頭乗せていいよ」
二人でちょっと遠出をした、その帰り。
電車のボックス席を陣取り、一息ついたタイミング。そこで僕は、意気揚々とそう提案した。
ハクの眉が微かに顰められる。
「……どうしたんですか。いきなり」
「いや、眠そうにしてるからさ」
窓の外は、すっかり暗くなっていた。街灯が、淡々と後ろへ流れていく。
「まあまあ眠いですけど。でも有田さん、いつも私より先に寝るじゃないですか」
「うっ。それは、そうだけど」
うん。気付いたら、ハクにもたれて寝てるね。こういうときね。
「だからこそ、今日は僕が枕になって差し上げようかと」
「はあ。何か見ました?」
「……萌える漫画を読みました」
何でわかるのか。
「そんなこったろうと思いました」
別に要らないです、と彼女はすげなく言った。
「寝にくいんで」
「ひどっ」
本当のことですもん、と言いながら、ハクがニヤッと笑った。
……現実に、萌えは難しい。
END.
ハクは、白山さんという苗字の娘です。




