「人民寺院」再訪!?
〈風狂は心の月よたゞ眠き 涙次〉
【ⅰ】
永田です。突然だが、サザン・デス・カルトつて云ふアメリカのロックバンドの、80年代に一枚だけ殘したLPをYouTubeで聴いた。バンド名通りの無茶苦茶なデスメタルを期待してゐたのだが、内實はポップなポジティヴパンクで、ずつこけた私であつた。彼らは後にザ・カルトと名を改め、ヒットチャートにも登場する、人氣者となる。
で、恐らくこのサザン・デス・カルトと云ふバンド名の元となつてゐるのが、ジム・ジョーンズなる人物に率いられた「人民寺院」。キリスト教左派のコミューン思想を持つカルト集團だ。
【ⅱ】
詳しい事は紙幅の関係上、こゝでは述べない。彼らについて知りたいのなら、ググッて調べてみて下さい。きつと何で「サザン」で「デス」な「カルト」なのか分かると思ふ。
『カンテラ』咄に戻るとすると、涙坐の魔界での「面談」、はまだ續いてゐた。そこで彼女、興味深い話を聞く。上の「人民寺院」の人びとが900名の大量集團自殺を果たした、11月18日を國民の祝日に、なる、飛んでもない事を主張してゐる者がゐる、と云ふ。世界的な活動をしてゐるらしく、外國では既に一定の支持を集めてゐる、とか。
【ⅲ】
オウム眞理教の関係で、日本ではカルト的主張は一切ご禁制となつてゐるが、自死したくて、然し自分獨りでは勇氣がない、共に死んでくれる人を求める聲は、何処の國にでもあるだらう。ともあれ、この世はまさに天罰覿面な譯だが、自分の関はつたカルトの事は、出來れば忘れてしまひたい、と云ふのが、大方の反應なのではないか。
...では 一體誰がその活動をしてゐるのか。何と* 天才豚のとんちやん、だと云ふ。
* 当該シリーズ第30話參照。
※※※※
〈秋めきて我が崇めたる藥師醫王日本の秋ぞ寒からんかな 平手みき〉
【ⅳ】
とんちやん、惡靈的存在であつたのが、カンテラに斬られ、魔道に墜ちたらしく、然も魔界では結構な重きをなしてゐる、と云ふ事。彼こそは、「獨りで死に切れない」の境地を彷徨ふ者の代表格な譯だが、まさかの3度めの蘇生、カンテラとんちやんの執念には參つてしまつた。
【ⅴ】
然しカンテラ、大のカルト嫌ひなのは、昔からの事である。大體何故、惡事を働くのに、集團化しなくてはならないのか、何故小難しい屁理屈が必要なのか、さつぱり分からない。
で、とんちやん、斬つて精肉にしてしまはう、とこれは冗談ではなく、カンテラ本心からの決定であつた。
「トンチャン、【魔】ニナッタノ?」元はと云へば、彼の友達だつた「ぴゆうちやん」、心配さうである。カンテラ「そのやうだ。然も人を自殺へと誘つてゐる」。「ぴゆうちやん」、「ソレハイケナイネ。かんてらヲヂサン、斬ッチャフノ?」-「だうやらそれしかないやうだね」
【ⅵ】
魔界には、念の為じろさんにも同道して貰つた。「重きをなして」ゐるさうだから、とんちやん使ひ魔を多數使用してゐる虞れがある。
「惡い子はゐねがー」これは秋田県男鹿半島に傅はる「なまはげ」の使ふ口上である。出來れば冗談に紛らはせてしまひたい、カンテラであつた。
「その『惡い子』つてのは、だうせ僕の事なんだろ?」-とんちやん。特に使ひ魔は用いてゐない。ハナから負ける氣か。とんちやんの例の「生命輕視」病の現れだらうか。
【ⅶ】
カンテラ、嫌な物を見たやうな顔。じろさん「俺が殺らうか?」と氣を使つてくれるが、「いや、こゝは俺が」とカンテラ。「ほら、こんなに隙だらけだ。斬るなら斬つてくれ」-とんちやんの口振りに嘔吐を催しつゝ、カンテラ「しええええええいつ!!」
とんちやん、斃る。後はじろさんが、持參の出刃庖丁で(なまはげだから・苦笑)とんちやんの遺體を精肉化せしめて、これも持參のポリ袋に入れ、魔界を去つた...
※※※※
〈腥き小便垂れる秋夜更け 涙次〉
とは云へ誰もそんな物を食べる氣はしない。【魔】體保存用の大型フリーザーに入れ、冷凍保存する-
【ⅷ】
嫌な仕事であつた。11月18日- カンテラは回向したかつたが、その為の墓がない。「魔界壊滅プロジェクト」に申告して、現金化。このカネは、収入にすると共に、もう一つ。人民寺院忌迄に、塚を建てやう。カンテラ、心に決めた、と云ふ。お仕舞ひ。




